予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

元自衛官が任期付で自衛官として働く方法

※当記事は一般公開しても支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。また、記事の内容は投稿日現在のものです。

 

 自衛隊には任期付自衛官という制度があります。

 

 任期制自衛官自衛官候補生)の似た名前で紛らわしいのですが、内容は全くの別物。育児休業等で抜けた自衛官の代替要員としてあらかじめ決められた任期で働く自衛官の事です。陸上自衛隊だけで毎年20~40人程の採用実績があるとのこと。

 

 防衛省のホームページによれば採用条件はだいたい以下の通りです。

 

任期 最大3年以内

 

身分 自衛官(現職と同様の業務に従事)

 

採用対象 元自衛官(勤務期間が1年以上)

 

採用方法 選考(口述試験、身体検査及び経歴評定等)

 

採用階級 退職時と同階級又はそれより下位の階級

 

給与 採用階級と勤務期間により決定(各種手当有)

 

(詳細は各自衛隊のホームページをご覧ください)

www.mod.go.jp

 

www.mod.go.jp

 

www.mod.go.jp

 

 希望者は募集の都度応募するか、事前登録してオファーを受ける形で採用されることとなります。なお、海自と空自はホームページに求人情報を多く記載していますが、陸自は事前登録者に対して募集があった場合に通知する方式が主の様です。

 

 応募方法、事前登録の方法については各自衛隊で異なりますので、上記ホームページを参考にしてください。

 

 任期付とは言え、従事する業務は現職の自衛官と変わりません。任期が延長されたとしても3年を超えることはなく、また退職時にも就職援護のような制度はないと思われます。

 

 業務内容としては海自、空自のホームページを見ていると庶務業務等、デスクワークがほとんどを占めます。採用階級はおおむね士長~3曹が多いですが、たまに幹部の募集もかけられています。空自のホームページで採用者の体験談等を見ていも、どちらかと言えば女性隊員の需要が高い制度といった感じでしょうか。

 

 自衛隊を退職して専業主婦になった人や、子育てが一段落してまた働きたいと考えている人にとっては経験を生かせる制度だと思います。給料もそこらの役所で臨時職員をやるのに比べたら格段に良いでしょう。

 

 防衛省では隊員の育休取得にも力を入れているとの事なので、任期付自衛官はピンチヒッターとして現職自衛官の職場環境改善に寄与し、自衛隊に貢献できる機会でもあります。興味のある方は応募してみてはいかがでしょうか。

技能労務職の公務員採用試験について

 少し前に兵庫県宝塚市氷河期世代を対象とした公務員試験(応募資格35歳から45歳まで)を実施するという事で話題になりました。一般的に事務系公務員の受験年齢上限は30歳以下であることが多く、それ以上の年齢となると社会人経験者を対象とした採用試験を受験するしかなくなります。

 

 一方で公務員試験では社会人経験者採用試験以外にも受験年齢上限を比較的高めに設定している区分が存在します。技能労務職の採用試験もその内の1つで、俗に現業と言われる職員になります。職務内容としてはごみ清掃員、運転手、学校用務員、調理員など(自治体によって異なります)、事務仕事よりも主に現場作業に従事する職員です。

 

 現在、技能労務職の従事していた業務は民間委託化が進み、技能労務職の人数は昔に比べれば大幅に減っていますがそれでも採用を続けている自治体は多くあります。

 

koumuwin.com

 

 受験年齢は自治体にもよりますが35歳ぐらいまでのところも多く、高いところだと40歳ぐらいまで受けられます。ただし、職種によっては大型免許や調理師免許等を持っていないと受けられないことがありますのでその点は注意が必要です。

 

↓八王子市(生活環境職)の例(募集期間はすでに終了しています)

www.city.hachioji.tokyo.jp

 

 現場仕事を主とするいわばブルーカラー的な職種ですので事務系の公務員程人気はなく、倍率もそこまで高くありません。定型的な仕事をこなしていくのが向いているという方や、ぶっちゃけ公務員になることができれば何でもいいという方にはお勧めです。

 

 試験内容はおおむね学科試験と作文、体力測定と面接で、2次試験で合否が決まるところが多いです。事務職みたいにプレゼンテーション試験や3次面接を課しているところはほとんどありません。学科試験といってもそこまで難しくはなく、高卒事務職と自衛官候補生の中間ぐらいの難易度でしょうか。勉強方法としては地方初級公務員試験を受けるつもりで取り組めば何とかなるでしょう。地方上級に向けて勉強している人ならば8割ぐらいは余裕で取れるのではないかと思います。

 

 作文についても論文試験のような政策提案を行うものではなく、例えば「あなたがこれまで一番頑張ったこと」のような自身の経験に基づいて記述するものです(勿論、対策は必要ですが)。

 

 体力測定については自治体によって種目は異なりますが、腹筋、背筋、握力、長座体前屈は実施されることが多く、その他には反復横跳びやシャトルラン等も課される自治体もあるようです。特に腹筋については試験1週間前からでも少しづつやっていけばだいぶ違いますので、頑張ってみましょう。当たり前ですが試験前日にいきなり腹筋を始めて試験当日に筋肉痛みたいなことにはならないようにご注意ください。

 

 面接についても聞かれるのは一般的なことですが、ここは場慣れするためにも公務員予備校の面接対策講座等を受けることをお勧めします。

 

 最後に、技能労務職の勤務条件ですが給与については多くの自治体で行政職とは別の給与体系となっているため、だいぶ安くなっています(上記八王子市の例では採用時18歳で164,450円、40歳職歴加算ありでも235,870円)。昇給しても給与の天井が30万円台で打ち止めという自治体もありますので、採用試験を受けようと思っている方はその点も踏まえて志望してください。

 

 その代わり定型的な業務に従事するため残業はほとんど発生しないと思います。ただし、浄水場や排水処理施設などで勤務する場合、シフト制や夜勤になる場合もあります。

 

 自治体によっては技能労務職から試験を経て事務職や技術職に任用替えする制度があるところもありますが、民間委託化で業務自体が消滅した場合は強制的に事務職等に任用替えさせられる場合もあるようです。この場合、現場仕事から全く畑違いの事務仕事へと職場が変わるので結構きついみたいです。

 

 志望する方はこれらのメリット、デメリットを考えて、判断して頂ければと思います。

予備自衛官等雇用企業の部隊訓練見学について

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 各地方協力本部では年に1~数回、コア部隊において予備自衛官等雇用企業に対して訓練見学を実施しています。

 

www.mod.go.jp

 

 この訓練研修ですがコア部隊で行われるため即応予備自衛官の雇用企業しか参加できないと思われている方もいるかもしれませんが、地本によっては予備自衛官を雇用している企業でも参加できます。年度初め(4月)辺りに「今年度、予備自雇用企業の訓練見学があれば教えて欲しい」と伝えておけば、実施前に案内を送付してくれます(担当は地本の援護課もしくは予備自衛官課、予備自衛官室)。

 

 一般の人に予備自衛官が普段どんな訓練をしているか知ってもらうためにも良い機会ですし、少し規模の大きい会社ですと自衛隊好きが1人ぐらいはいたりするものなので喜ばれるかもしれません。また、お子さんが参加できることもあるので、もし自衛隊に興味のあるお子さんいらっしゃるならぜひ参加して頂きたいと思います(地本も喜びます)。

 

 見学内容は、実施場所が駐屯地か演習場かによって変わりますが、おおむね即自(現職の場合もある)の訓練見学や資料館の見学、装備品展示、食堂での喫食体験などです。なお、駐屯地の食堂で体験喫食する場合はわずかですが食事代がかかります。また、当日の集合場所は地本かその近辺の駅あたりになることが多いですが、そこまでかかった交通費(電車代、バス代等)については地本が負担してくれます。ここら辺の事情については今後、変わるかもしれませんので案内が来た時に確認しておきましょう。

一般公募予備自衛官から即応予備自衛官になれます

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 なかなか公式情報が無かった一般公募予備自から即自への任官ですが、兵庫地本のホームページで制度について記載されていましたので紹介したいと思います。

 

https://www.mod.go.jp/pco/hyogo/pdf/yobijieikandayori-7gatu.pdf

 

 これによると、即自任官制度の概要については以下の通りとなります。

 

〇応募資格

一般公募予備自衛官で以下の年齢制限を満たす者から志願により選考

2士~2曹 50歳未満

1曹~2尉 51歳未満

即応予備自衛官採用時年齢

 

〇訓練招集部隊

コア普通科連隊

 

〇必要訓練日数

基本軽火器特技取得 約40日基準

基本迫撃砲特技取得 約40日基準

 

〇教育訓練期間

3年(やむを得ない場合は1年を超えない範囲内で延長可能)

年間最大参加日数20日(5日間訓練を含む)

 

〇即自任用後の運用

コア普通科連隊の即応予備自衛官として勤務

 

 制度としては、予備自衛官補と同じように3年以内で約40日の訓練をこなし即応予備自衛官に任官するというもののようです。訓練日程の詳細がどうなるのかは不明ですが、訓練部隊がコア普通科連隊ということで恐らく訓練招集も土日が中心になるのではないかと思います。その点、平日中心の予備自衛官補の教育訓練招集に比べると日程調整は楽かもしれません。

 

 訓練の年間参加日数が上限20日と決まっておりますので(自衛隊法第七十一条第3項の規定による)、即自任官までは最短で2年はかかることになります。仮に予備自補に任官後1年で教育訓練を修了して予備自に任官できれば、予備自補の任官から最短3年で即応予備自衛官に任官できる可能性があります。

 

 また、取得する特技が軽火器(普通科中隊に配属)か迫撃砲普通科中隊の迫撃砲小隊か重迫撃砲中隊に配属)ですので配属先はコア普通科連隊のみと思われます。補給大隊や弾薬大隊(中隊)への配属は無いようです。

 

 即応予備自衛官については年々求められる技能が上がってきており、訓練も大変だという話ですが、その分予備自衛官以上の達成感や隊員相互の連帯感を味わうことができます。任官に約40日の訓練が必要である上に、即自任官後も年間30日の訓練出頭は色々ときついかもしれませんが、我こそはと言う方は是非、地本に連絡を取って詳しい話を聞いて頂ければと思います。

訓練招集の「枠」について

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 予備自衛官等のうち、即応予備自衛官は普段から所属するコア部隊が決まっており、訓練招集で出頭する駐屯地もだいたい同じです。一方、予備自衛官の所属は各地方協力本部となり、訓練招集の部隊が決まっていないため様々な部隊で訓練招集を受けることができます。

 

 陸自出身の予備自衛官ならば、現職時に所属していた部隊や元の職種に関係ある部隊で招集訓練を受けたいと思う人も多いのではないかと思いますが、実はこの訓練招集、希望すればどこの訓練でも参加できるというわけではありません。

 

 予備自衛官の訓練招集については、地本ごとに「枠」が割り当てられており、参加したい部隊があっても所属する地本にその部隊の「枠」が回ってこなければ参加することができません。

 

 例えば大阪地本の令和元年度訓練予定を見ると同地本に所属する予備自衛官は伊丹の第36普通科連隊や千僧の第3後方支援連隊の訓練招集に参加することができますが、京都地本に所属する予備自衛官については枠がないのでこれらの部隊での訓練に参加することができません。

 

 逆に京都地本の予備自衛官は福知山の第7普通科連隊の訓練に参加できますが、大阪地本の予備自衛官は同連隊の訓練招集には参加できないことになります。

 

www.mod.go.jp

 www.mod.go.jp

 

 ただし、訓練招集でたまに遠方から参加している予備自衛官を見ることがあるので、何らかの例外措置はあるのかもしれません。気になる方は一度、所属地本に問い合わせてみましょう。

官公庁等が予備自関係の給付金対象から外れていることについて

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 国家公務員、地方公務員が予備自衛官になれることはいくつかの記事で紹介しました。

 

reserve-f.hatenablog.com

 

reserve-f.hatenablog.com

 

 さて、一般企業の場合、即応予備自衛官を雇用していれば即応予備自衛官雇用企業給付金が、また、雇用している予備自衛官即応予備自衛官が有事に招集されたり、招集訓練中に負傷して職場を離れなければならなくなった際には90日を上限として雇用企業協力確保給付金制度が支給されます。

 

www.mod.go.jp

 

www.mod.go.jp

 

 一方、国、地方公共団体及び公共団体(正確には「法人税法(昭和四十年法律第三十四号)別表第一に掲げる公共法人」、国立大学法人地方独立行政法人等)はこれら給付金の対象から除外されています。元々、民間企業が即自の訓練や災害時の招集で負う負担に報いるための制度ですので、営利を目的としない公共団体等は対象としない、という事なのかもしれません。

 

 しかしながら、予備自衛官等を雇用することによる負担は官公庁だろうと民間だろうと同じです。中小企業よりはマシとは言えこのご時世、役所だからと言って無駄に人を余らせているわけではありません。

 

 訓練招集や災害派遣招集で職員が仕事から離れれば他の職員に負担が及び、行政サービスに影響が出るのは当然のことです。公務員と言えど訓練招集や災害派遣招集に出られるのは本人だけでなく周囲の職員の協力があってこそ。当然、防衛省側としても民間企業と同等の補償をしてもよいと思います。

 

 また、地方公共団体の中には企業として運営されている部門(水道局や交通局等)もありますが、これらの部門は独立採算制の事業体であり、雇用企業の負担に報いるという制度の本旨からすれば当然に支給対象とされてしかるべきでしょう。

 

 例えば平成31年4月以前の大阪市営地下鉄職員は地方公務員であったため給付金の対象ではありませんでしたが、大阪メトロとして民営化後は給付金の対象となります。業務内容はほぼ変わらないのに公務員時代は給付金の対象外で、民営化されたとたんに給付金の支給対象になるという何とも腑に落ちない状況となっております。

 

 その他、「法人税法別表第一に掲げる公共法人」というくくりで給付対象を除外しているため、公務員ではない国立大学法人一般地方独立行政法人(公立病院等)の職員についても給付金の対象から外れております。私からしてみれば、どうしてこの基準で給付対象を制限しているかが正直よく分かりません。

 

 防衛省が国や地方公共団体等を給付金の対象から外した経緯については存じませんが、現在の基準は実情に沿ったものとは言い難いのではないかと思います。給付対象外の職場で働く職員からしてみれば、職場に気を遣って30日の即自訓練や災害派遣招集に出頭しても本来支払われるべき給付金すら支給されず肩身も狭くなるだろうというもの。

 

 それならば、いっそのこと国や地方公共団体等を含めて予備自衛官即応予備自衛官の雇用者すべてを給付金対象とした方が不公平感も無くて良いのではないかと思います。

防衛省に行政文書開示請求を行う方法

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 防衛省の行政文書については防衛省情報検索サービスを使えばネット上で検索、閲覧ができますが、ここで見られるのはあくまで行政文書の一部にすぎません。それ以外の行政文書を閲覧したい場合は防衛省に行政文書開示請求を行わなければなりません。

 

 行政文書開示請求とは「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」(平成11年法律第42号)に基づき行政機関が保有する行政文書の開示を請求できる制度です。分かりやすく言えば、国や地方自治体等が保有する文書を一般人が「見せてくれ」と要求できるわけですね(もちろん国防や犯罪捜査に関わる情報等は非開示となる場合もあります)。

 

 例えば、先日当ブログで掲載した「予備自衛官等関連資料 国家公務員等が予備自衛官補を兼ねる場合の教育訓練招集手当の支給について(通知)(平成27年3月31日防人育第5841号)」についても防衛省に行政文書開示請求を行い取得したものです。

 

reserve-f.hatenablog.com

 

 行政文書開示請求と聞くと何やら難しそうに感じるかもしれませんが、手続きとしてはいたって簡単なものです。防衛省のホームページを見て頂ければ分かると思いますが記載例を見ながら開示申請書に必要事項を記入し、1件あたり300円分の収入印紙(郵便局で買えます)を貼り付けて完了です。

 

 ここでの注意点は請求する行政文書の名称等をできるだけ具体的に書くことです。必要ならばe-Govの行政文書ファイル管理簿の検索を活用しましょう。

 

files.e-gov.go.jp

 

 また、請求する文書の名称が分からない場合でも知りたい内容を出来るだけ具体的に記入した方が防衛省の担当者の負担も減ります。

 

 開示請求書の宛先と送付先については、予備自衛官関係の開示請求ならば防衛大臣宛で、送付先は防衛省情報公開室で大丈夫です。

 

 こうして開示請求書を郵送したら後は待つだけです。なお、防衛省から請求受付番号が記載された通知書が送られてきますので無くさないように保存しておきましょう。普通ならば受付日より30日以内に「行政文書開示決定通知書」もしくは「行政文書不開示決定通知書」が送られてきます(だいたい期限ギリギリのことが多いです)。

 

 「行政文書不開示決定通知書」の場合は、決定があったことを知った日から3カ月以内に防衛大臣に対して審査請求を行うことができるのですが、今回は「行政文書開示決定通知書」が来たとして話を進めます。

 

 請求した行政文書のコピーもしくはデータを受け取るには「行政文書開示決定通知書」に同封されている「行政文書の開示の実施方法等申出書」に必要事項を記入し提出しなければなりません。

 

 開示の方法については窓口での閲覧または写しを受け取るか、郵送で送ってもらうか選択できます。方法は以下の通り。

 

①用紙に出力したものの閲覧

 

②専用機器により再生したものの閲覧

 

③用紙に出力したものの交付

 

④CD-Rに複写したものの交付(PDFファイル)

 

⑤閲覧

 

複写機により用紙に複写したものの交付

 

⑦スキャナにより電子化し、CD-Rに複写したものの交付(PDFファイル)

 

 私は開示資料を郵送してもらっているので、だいたい④か⑦の安い方を選んでいます(④と⑦がどう違うのかと言われると私も正直よく分かっていません(笑))。支払方法は請求書と同じく収入印紙で行います。なお、郵送を希望する場合は用紙(紙)の場合120円、CDの場合140円の切手を同封する必要があります。

 

 郵送してもらう場合は申出書を送ってから手元に着くまで10日ほどかかります。最初に開示請求書を送付してからすべての手続きが完了してコピーが送られてくるまで全部でおおむね1ヶ月半ぐらいはかかりますのでもし何かの事情で必要な方は余裕をもって請求しましょう。

 

 ちなみに著作権法第13条により行政文書に著作権はありませんので、行政文書開示請求で取得した文書をネットなどで一般に公表しても問題はありません。

 

第13条次の各号のいずれかに該当する著作物は、この章の規定による権利の目的となることができない。

(中略)

二 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)又は地方独立行政法人地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)が発する告示、訓令、通達その他これらに類するもの

自衛隊の定員割れが行きつく先は?

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 自衛官候補生の入隊が5年連続計画割れとの事です。

 

www.tokyo-np.co.jp

 

 直接的な原因は少子化や景気回復による民間採用の増加との事ですが、別の背景として所謂3K、体育会系の職場が若者から忌避されているからともいえるのではないかと思います。

 

 公安系職種である警察官(一般の公務員より給料は良い)も自衛隊と同じく成り手不足に苦しんでいるようですので“綺麗な仕事”をしたがるというのは今時の若者全体の傾向なのかもしれません。とすればもしこの先、消費税増税東京オリンピック終了に伴い景気が悪化したとしても(いや、悪化はしてほしくないですけど)、急激に進行する少子化と相まって自衛隊の入隊志願者は簡単に増加しないと考えた方がよいでしょう。

 

 昔は「就職先がないから自衛隊でも行くか」なんて時代もありましたが、これからは「自衛隊に入るぐらいなら派遣社員でもしていた方がまし」という考えが主流になるのかもしれません。

 

 そうなったときにいかにして自衛隊の戦力を維持するか。思いつくところでは以下のような対策が考えられます。

 

① 選抜徴兵制を施行する

 

② 自衛官の待遇を良くする

 

③ 予備自衛官等を拡充し不足分を補う

 

④ AIの導入や無人化等で省人化を進める

 

⑤ 外国人の入隊を認める

 

 ①についてはスウェーデンが人員確保を目的として2018年より徴兵制を復活させた事例がありますが、我が国での徴兵制導入は例え解釈改憲によって徴兵制が違憲でないとされても政治的に不可能でしょう。国民の支持も得られないものと考えられます。

 

 ②の自衛隊の待遇を良くするというのはよく保守系評論家からも聞こえてくる意見ですが、実際にやるとなると難しい。単純に俸給を上げたり居住環境を改善しようとしても結局の所、予算がつかなければ絵に描いた餅にしかなりません。政府が防衛費を大幅増額すれば可能かもしれませんが現在の財政難ではそれも望み薄。

 

 しかも自衛隊には過去に輝号計画の失敗という苦い経験があります。いくら最近の若者が個人主義でプライバシーを重視するとは言え、おいそれと営内の規律を緩めるわけにはいかないでしょう。

 

 その点③の予備自衛官等制度の拡充は、幹部や曹の充足率が高い自衛隊にとって平時に人件費を圧縮し有事になれば教育済みの士(兵隊)や技術を持った曹(下士官)を即急に集めることのできる点において現実的かもしれません。ただし、即応予備自衛官予備自衛官の充足率が年々低下している中で、常備隊員の不足を補えるかという問題があります。

 

 予備自衛官等制度の一番の問題点は予備自衛官を雇用する民間企業に負担をかけてしまうという点です。世論調査自衛隊に対して好印象を持っている人が90%を超えているとはいえ、実際の職場において予備自衛官等の負担を甘受してくれるかどうかは別問題です。予備自衛官等の充足率が年々低下している背景には雇用企業の理解を得ることができないという厳しい現実があり、まずこの課題を解決せねばなりません。

 

 ④のAIの導入や省人化についても結局は②と同じく予算の制約があるため、近い将来に実現する可能性は低いと思われます。

 

 最後の⑤についてはフランス外人部隊や、アメリカのように永住権を持つ外国人の入隊を認める等の事例がありますが、民間軍事会社による外部委託なども考えられるかもしれません。何しろ現在、政府は外国人労働者の受け入れ拡大中です。諸外国では軍での勤務と引き換えに帰化に必要な期間を短縮できる所もありますが、自衛隊も国籍付与などを呼び物に外国人へ声をかければ志願者は結構集まるのではないでしょうか。

 

 兵役の経験がある外国人なら自衛隊生活もさして苦にはならないでしょうし、日本国籍を取得できるうえに退職時には仕事まで紹介してくれるという好待遇です。自衛隊には存在しない実戦経験者が入隊してくれば自衛隊としても得るべき点が多くあるというもの。日本人の入隊志願者がこのまま減少していくのならば、人材の供給源を他に求めるのは致し方ない事でございます。

 

 ・・・「そもそも国の防衛を外国人に依存するという発想はどうなんだ」とか「他国籍の人間を自衛隊に入れていいわけないだろ」というご意見もあると思います。いや、私もまったくその通りだとは思いますが、正直、今の世情だと⑤が一番実現可能性が高いような気がしてなりません。何しろ金がかからず、なおかつ自分がやりたくない3K仕事を外国人がやってくれるというのですから。

 

 個人的には人材のパイが少なくなっていく以上、②、③、④を組み合わせて国防力を維持していくのがかろうじて出来る事ではないかと思いますが、実際にはどうなることやら・・・。

 

 もっとも、日本の経済的衰退を見るに自衛隊に入ってまで日本国籍を欲しがる外国人などほとんどいなかった、等というオチになるかもしれません。これはこれで笑えませんが・・・。

予備自衛官(元自・一般公募)が技能資格を取るとどうなるのか

※当記事は一般公開しても支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。

 

※下記の記事も参照ください。

reserve-f.hatenablog.com

 

 予備自衛官には任用区分によって3種類に分かれます。

 

自衛官予備自衛官を志願した者

 

一般公募予備自衛官補から任官した者

 

技能公募予備自衛官補から任官した者

 

 一般公募予備自衛官補は予備自衛官任官時に予備2等陸士の階級を指定されますが、技能公募予備自衛官補は医療や語学等の資格や技能を持つ者が対象であり、予備自衛官に任官する際は資格等に応じて2佐~3曹の資格が指定されます。

 

 詳しくは以下の記事を参照ください。

 

reserve-f.hatenablog.com

 

 では元自の予備自衛官や一般公募予備自衛官補から予備自衛官に任官した者が技能公募の対象となる資格を取得した場合、どのようになるのか?

 

 実は技能公募予備自衛官と同等の階級が付与されます(下記リンクの一番下辺りを参照)。

 

www.mod.go.jp

 

 例えば、元自や一般公募出身者が看護師の資格を取得した場合、一気に2等陸曹(49歳以上かつ実務経験おおむね18年以上の者は1等陸曹)に昇進することになります。

 

 方法は簡単で地本の予備自衛官担当部署(地本により援護課、予備自衛官課。予備自衛官室等)に申し出て、証明する書類(看護師の場合は看護師免許証)を提出すればそれで終わりです。

 

 ただし、予備自衛官の昇進は7月なので、事務手続の都合上、遅くとも2月位までには地本に申し出ておかないと昇進が翌年度に持ち越しになることがあるようです。希望する方は早めに申し出ることをお勧めします。

 

 なお、資格を取得したからと言って必ずしも地本に申し出る必要はありません。そのままの待遇で予備自衛官として勤務を継続することも可能です。というのは、地本に資格保持者である事を申し出ると階級が上がると同時に予備自衛官としての身分も技能区分へと移ってしまうため、即応予備自衛官への志願が不可能になってしまう場合があるからです(元自でも即自志願が不可能になります)。

 

 現在、防衛省は一般公募予備自衛官即応予備自衛官に志願出来るように制度改変を行っているとも聞きますが、もし即応予備自衛官を志願したいと考えている方は、一度、地本に確認を取られたうえで判断していただきたいと思います。

公務員の為の予備自衛官等志願手続きマニュアル(仮)

※当記事は一般公開しても支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。

 

はじめに

  予備自衛官等制度には予備自衛官即応予備自衛官予備自衛官補の三つ(以下予備自衛官等という)が存在するが、予備自衛官等には各種手当(報酬)が発生する。

 

 従って国家公務員は国家公務員法及び関係法令等の規定により所定の手続きを得て内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長等の兼業許可を得なければ予備自衛官等に任官することが出来ない。地方公務員においても地方公務員法及び条例等により任命権者の営利企業等従事許可を得なければ予備自衛官等に任官することができないのは同様である(拙稿「公務員は予備自衛官になれるのか?」「国家公務員の兼業基準と予備自衛官について」及び「予備自衛官等関連資料 地方公務員法実例判例集(抜粋)」参照)。

 

 許可を得るためには申請書を提出しなければならないが、恐らく人事部門経験者を除く大多数の公務員にとってこれらの手続きは初めての経験であると思料されるので、稚拙ながらこの度自分の経験を元に予備自衛官等の従事許可申請を提出するにあたって有用だと思った知識及び情報を取りまとめてみた。予備自衛官等を志す公務員の方で役に立つと思しき点があれば参考にしていただきたい。

 

 なお、本案については誤りや加筆すべき点も多々あるかと存ずるが、適宜コメント等で指摘して頂ければ幸いである。

 

申請手続きの確認

  まず、第一に進めるべきは営利企業従事許可の基準及び許可を取得するためにどのような申請手続きが必要か調査することである。国家公務員については以下の資料を参照されたい。ちなみに兼業許可申請書の様式については「職員の兼業の許可に関する内閣官房令」で確認できる。

 

国家公務員法(昭和22年法律第120号)

職員の兼業の許可に関する政令(昭和41年政令第15号)

職員の兼業の許可に関する内閣官房令(昭和41年総理府令第5号)

職員の兼業の許可について(昭和41年2月11日付総人局第97号)

「職員の兼業の許可について」に定める許可基準に関する事項について(平成31年3月28日内閣人事局参事官通知)

国家公務員の兼業について(概要)(平成31年3月内閣官房内閣人事局)

 

 地方公務員については各自治体ごとの条例、規則等により文言が異なるものの、概ね国家公務員を準拠とした許可基準となっている。現在は各自治体の例規をインターネットで検索することも可能なので(「○○市 例規」などで検索すると出てくる。なお、営利企業等従事許可に関する規則は「人事」の「服務」関係に記載されていることが多い)、あらかじめ申請書の書式や申請手続きについて調べておきたい。

 

 地方公務員の注意すべき点として全ての職員が首長を任命権者とするわけではない点に留意されたい(例えば教育委員会職員の任命権者は教育委員会、議会事務局の職員は議会議長等。また、一部事務組合の場合は管理者もしくは企業長となる)。

 

 各自治体の例規以外で地方公務員の営利企業等従事許可申請で参考になりそうな資料は以下の通り。

 

地方公務員法(昭和25年法律第261号)

地方公務員法実例判例集

 

 「地方公務員法実例判例集」についてはネット上では原本のデータが確認できないため、出来れば図書館で必要箇所をコピーした方が良いだろう。

 

 国家公務員の兼業許可基準は「職員の兼業の許可について」によれば以下の通りであるが、地方自治体の許可基準についても文言は違えど概ね似たような内容となっている。予備自衛官等についてはこれらの許可基準を満たすものであり問題はないと思われる。

 

第3 許可基準に関する事項

2 事業の許可に関する申請が次の各号の一に該当する場合には、原則として、許可しない取扱いとされたいこと。

(1)兼業のため勤務時間をさくことにより、職務の遂行に支障が生ずると認められるとき。

(2)兼業による心身の著しい疲労のため、職務遂行上その能率に悪影響を与えると認められるとき。

(3)兼業しようとする職員が在職する国の機関と兼業先との間に、免許、 認可、許可、検査、税の賦課、補助金の交付、工事の請負、物品の購入等の特殊な関係があるとき。

(4)兼業する事業の経営上の責任者となるとき。

(5)兼業することが、国家公務員としての信用を傷つけ、または官職全体の不名誉となるおそれがあると認められるとき。

 

 ちなみに、予備自衛官労働基準法第7条に定める「公の職務」に該当するか否かは「労働基準法関係解釈例規について(昭和63年3月14日基発第150号)」において明確に否定されている点、注意されたい。

 

地方協力本部への相談 

 具体的な手続き方法を把握したら、次の段階として居住地の地方協力本部(担当部署は援護課(地本によって予備自衛官室、予備自衛官課))に相談する。予備自衛官等が許可されるかまだ分かっていない状況で相談するのも時期尚早と思われる方もいるかもしれないが、場合によっては地本担当者に職場まで来てもらい予備自衛官制度について説明してもらうことになる可能性もあり、早めに相談しておくことが望ましい。

 

 その他にもパンフレット等資料の提供を受けたり、災害派遣招集の現状や他の省庁や自治体での事例等を聞くことも出来るので、職場に申請を出す前にあらかじめ相談しておいた方が得策である。勿論、地本も出せる情報と出せない情報があるが、もし、他省庁や自治体の事例を聞くことが出来るのならば、特に招集訓練について必要な手続きはあるかとか、職免や年休を使用して参加している公務員がいるか等を確認しておきたい。

 

 また、勤務先の所在地と居住地が別の都道府県の場合は勤務先所在地を管轄する地方協力本部で志願するのも一つの手である。基本的に予備自衛官予備自衛官補は居住地の地方協力本部に所属するが、勤務地と接点がある地方協力本部に所属すれば予備自衛官任官後に地本とも接点を持ちやすい。部隊訓練見学等のイベントについても調整が容易である。

 

申請書の提出

  準備が出来たら実際に申請書を提出することになる。ここから先のやり方は人それぞれだが、著者の場合はいきなり申請書を提出するのではなく、パンフレットや訓練日程表等を元に予備自衛官等制度を説明したうえで、予備自衛官に任官したいので営利企業等従事許可を申請したい旨を上司に伝えた。この際、重点的に説明したのは、職場に負担をかけないという点である。

 

  • 予備自衛官の訓練が年5日で2日と3日に分割することも可能であること。

 

  • 訓練は土日が中心で、祝日等を利用することができれば職場に負担をかけず訓練を終えることができるということ。

 

  • 災害派遣招集は本人の意向を確認したうえで招集命令書を発出しているということ。

 

 以上の点を特に強調し理解してもらえるように努めた。

 

 時間に余裕があれば、パワーポイント等で予備自衛官制度及び関係諸法令等の概要をまとめた資料を作成しておけば説明が容易になり望ましいだろう。可能ならば他の省庁、自治体の事例も紹介できるとなお良い。なお、これらの作成した資料は事前に地本の担当者にチェックしてもらった方が後々、認識の齟齬を発生させないためにも望ましいであろう。

 

 省庁や自治体によっては申請を認める代わりに無給であることを条件としてくるところもあるかもしれないが、予備自衛官補については「国家公務員等が予備自衛官補を兼ねる場合の教育訓練招集手当の支給について(通知)(平成27年3月31日防人育第5841号)」により手当を受け取らないことも可能である。この通知が予備自衛官即応予備自衛官に準用されるのかは不明であるが、必要ならば事前に地方協力本部へ確認されたい。なお、この通知は原本を確認したければ防衛省に行政文書開示請求を行わなければ閲覧できない。請求からコピーが自宅に届くまでおおよそ1ヶ月半以上はかかるので、必要な方は早めに申請されたい。

 

 過去に予備自衛官等で許可を出したことのある省庁や自治体であれば前例を参考にして比較的早く判断が下るが、初めての事例となる場合は所属課と人事担当課が調整のうえ法令上問題がないか検討するため比較的長い時間がかかるものと思われる。場合によっては必要な資料の提出を求められる可能性もあるため、あらかじめ今まで準備した資料は手元に用意しておこう。

 

 職場から地本担当者の説明を求められた場合は遠慮せずに地本に連絡を取ること。その際には事前に部内でどのように話が進んでいるかをあらかじめ地本の方に情報提供しておいた方が良い。

 

訓練参加について

 予備自衛官等の訓練参加については平日と被る場合も多いが、その場合、防衛省としては国家公務員、地方公務員共に職務専念義務免除での訓練参加を基本とする考えである。但し、勤務先の状況により年次有給休暇を取得し訓練参加することも排除しないとしている。

 

 詳しくは「予備自衛官等を兼ねる国家公務員等が訓練招集等に応じた場合の勤務先である所轄庁の取扱いについて(通知)(令和元年7月24日防人育第4666号)」を参照されたい。

公務員の職場での付き合い方

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 公務員が予備自衛官をやりたいと職場に申し出た場合、最初の関門となるのは直属の上司(課長等)が予備自衛官になることを認めてくれるかどうかです。

 

 そこでは勿論、業務との兼ね合いや普段の勤務態度が重要視されます。特に普段の勤務態度が悪く仕事もろくにこなしていないようだと、予備自衛官の兼業申請を認めてもらうのも難しいでしょう。仕事で上司の信頼を得るのは予備自衛官を志願する上での最低条件です。

 

 ただ、役所の場合はその他にも「人間関係」というものが重視されます。人間関係と一言で言っても色々とあるのですが、まず第一に挙げられるのが付き合いの良さ。そう、今は若い世代から目の敵にされつつある職場の飲みニケーションというやつです。

 

 元自衛官の方なら「役所の飲み会なんて余裕だろ~」と思われるかもしれません。確かに営内班、小隊、中隊の飲み会に加え同期会や検閲後の飲み会など自衛隊は飲み会の多い職場です。でも、役所の飲み会ははっきり言ってそれ以上です。

 

 まず回数が多いです。付き合いの広い人だとほぼ毎日飲み会に行っているというのが普通にいます。しかも一次会で終わるという事がほぼありません。今はそんなに遅くなることもありませんが、一昔前は二次会、三次会と続いてそのあとスナックへ。終わってみれば午前様が当たり前みたいな世界でした(おまけに翌日、皆さん普通に出勤して仕事をしています。ある意味、自衛官より化け物です)。

 

 因みに私が思い出せる限りでは一週間毎日、日付が変わるぐらいまで飲んだのが最高記録だと思います。

 

 かといって全ての部署が飲み会まみれというわけではありません。主観ですが、特に税務系、生活保護関係、技術系(特に土木関係)、現業系は飲み会が多い印象です。逆に総務系や保健福祉系の部署はそれほどでもないようです(基本的に女性の割合が多い部署は飲み会も少なめです)。

 

 このご時世ですので強制的に参加させられるという事はなくなりましたが、やはり飲み会に良く参加する人の方が周囲から好印象を受ける傾向にあるようです。無論、それで勤務成績が上がったり大きな仕事を任せられるといったことはありませんが、公務員も人間なので仕事を進めるうえで色々と親切にしてもらえることもありますし、飲み会で知り合いになった他部署の人が何かの機会に助けてくれるという場面もあります。

 

 当然、予備自衛官をやりたいといった時に、普段飲みについてきてくれる部下だと「認めてやるか」と思ってしまうのが人情というもの。「しょうもないなぁ」と思われる方もいるとは思いますが、役所というところはそういう面で動くところもありますので、上司が飲み会好きなら全部が全部付き合わずとも休日の前日位はついて行ってみてあげてはと思います。

 

 ただ、現在はだいぶ減ってきましたが、飲み会で説教垂れるだけだったりアルコールを強要する上司には別に付き合う必要もないと思います。今回書いた内容はあくまでも物事をスムーズに進めるための方法の一つですので、信頼関係が構築できない人間とまで飲みに行く価値は私はないと思います。

 

 また部署によっては飲み会以外にも付き合い方はあると思います。その場合は職場の雰囲気に合わせながら上手くコミュニケーションをとっていけばいいのではないかと思います。

予備自衛官廃止論への(今更ながらの)反論

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 予備自衛官でネット検索していると「今すぐやめたほうがいい予備自衛官制度(著者 部谷 直亮氏)」という記事がよく引っかかります。何年も前の記事について書くのも今更ですが、あまりにも納得できない内容ですし、他に反論している方もいないようなので一文書いてみました。

 

 2011年の東日本大震災では、予備自衛官に対する初の招集命令が発令されました。しかし、打診に対して出頭可能と回答した予備自衛官は4497人とたった17%程度でした。しかも、実際に出頭できたのは103人と全体のわずか0.4%でした。これを受けて、財務省が制度見直しを防衛省に勧告し、対処しなければと慌てている構図なのです。

 

 東日本大震災時の出頭率の割合が低かったことを問題とされていますが、この数値は出頭調整の初期段階のもので、最終的には即応予備自、予備自ともに約7割が応招可能と回答しています(平成23年度中間段階の事業評価 予備自衛官等制度における信頼性の向上(大規模・特殊災害等に対応するための基盤強化及び予備自衛官室の新設))。ちなみに災害招集に応じなくとも罰則はありませんが、防衛招集の場合は招集義務違反に対する罰則が科せられています。

 

 当然ですが、当時は史上初の予備自衛官等災害招集で、防衛省・地本も災害対応中の招集事務であり、混乱の極みにあったと思います。また、予備自衛官の側でも出頭の打診に対して即答できるものではなく、会社や家族の状態を確認するため保留とした方が多かったのでしょう。ゆえに、初期は2割のみしか応招可能と回答できなかったのではないでしょうか。

 

 実際に出頭した予備自衛官が少なかったのも、防衛省側に有事の予備自運用について確固とした運用計画がなかったためだと考えられます。それでも最終的には即応予備自衛官延べ2210人、予備自衛官延べ496人が招集され被災地で任務に当たりました。

 

 ちなみに103人という数値は恐らく「財務省平成24年度予算執行調査資料 総括調査票(予備自衛官制度の運用)」あたりが元ネタだと思いますが、招集された予備自衛官の一部しか算入されてないと思います(大部分を占めた岩手、宮城、福島の招集者が除外されている)。

 

 で、この誤った前提を元に部谷氏は4つの理由をあげ予備自衛官制度を廃止すべきだと主張しています。

 

 その第1の理由は、制度自体が社会的に容認されていないからです。通常の訓練への参加は無論のこと、東日本大震災のような危急存亡時でも、予備自衛官が招集に応じなかったのは、職場がそうした行為を是認しなかったからです。つまり、日本社会自体が予備自衛官としての出頭よりも、自らの職場で義務を果たすことを望んでいる以上、予備自衛官制度は無理があるのです。

 

 まず事実誤認として前述の通り約7割の予備自衛官は出頭可能と回答していました。また、「日本社会自体が予備自衛官としての出頭よりも、自らの職場で義務を果たすことを望んでいる」だとすれば、予備自衛官制度が理解を得られるように一層のPR活動とインセンティブを実施していくべきでしょう。制度が社会的に許容されていないから無くしてしまえというのはあまりにも乱暴な議論です。

 

 第2の理由は、人道的かつ戦力としての問題です。年間5日しか訓練を受けていない人間を、たとえ基地警備等の「後方任務」だけであっても、「実戦」に出すのは、沖縄戦鉄血勤皇隊や「イスラム国」兵士よりも人道的にも戦力的にも問題なのではないでしょうか。そして、近年の作戦環境に鑑みた場合、有事の基地警備こそが最も重要かつ危険です。

 

 「年5日間しか訓練を受けていない人間なんて使えない」という仰りたいのでしょうが、予備自衛官には現役時代の数年から数十年にわたる勤務経験が、予備自衛官補出身者にしても50日の教育訓練を受けていることを認識されていないようにお見受けします。正規の軍事訓練を受けた人間は何の経験もない素人とは明らかに違います。

 

 それに、もし5日間しか訓練を受けていないのが問題だと仰るなら、予備自衛官転地訓練の割合を増やすとか、予備自衛官が訓練招集に出やすいように休暇を取得できるよう法改正するとかそういうアイディアを出すべきではないですか?

 

 さらに続いてストレステスト(これが何を指すか私はいまいち分からないのですが)を受けてない人間を過酷な状況に関与させるのは避けるべきだと文章は続くのですが、ならば予備自衛官にストレステストを受けさせれば? という話です。

 

 第3の理由は、確度の高いシナリオで役に立つかが疑問だからです。予備自衛官を招集しなければならない、もしくは招集する時点では手遅れだということです。

 

 仮に尖閣諸島などの戦いで自衛隊が壊滅し、人民解放軍の九州などへの上陸が現実化したとして、国民は戦争継続を望まないでしょうし、政治的には「耐え難きを耐え」講和すべきでしょう。

 

 そもそも、継戦したとしても、沖縄から北九州の拠点は中国からの弾道ミサイル等の攻撃で壊滅し、航空・海上戦力はほぼ払底した状況で予備自衛官を、どこに、どうやって投入するのでしょうか。

 

 いやいや、有事になった段階で自衛隊の部隊は駐屯地から前線に移動するんですよ? そのあとの駐屯地警備や恒常業務は誰がやるんですか? しかも勝っているにしろ、負けているにしろ戦争となれば部隊に損耗が生じます。その損耗を新規募集隊員で全部埋めるんですか? それらの事態に備えての予備自衛官ではないですか。

 

 東日本大震災では駐屯地業務隊の業務が飛躍的に増大し、招集された予備自衛官がその一翼を担いました。有事となれば開戦直後から予備自衛官が必要なのは間違いありません。

 

 第4は、我が国の自衛隊の役割です。

 

 中国国内の治安維持を担う人民解放軍、南侵のための北朝鮮の膨大な地上軍、そして、その北朝鮮に備える韓国軍、全世界に展開して戦闘を行う米軍、周囲の巨大な地上兵力と向き合うインド、パキスタンイスラエルの軍隊・・・。こうした軍隊と自衛隊は違うということです。

 

 では、部谷氏は自衛隊の役割をどのようなものだと考えていらっしゃるのでしょうか? 「米軍が来るまでの繋ぎなんだから、継戦能力が皆無で短時間で壊滅しても問題ない」と仰るなら確かに予備自は必要ないかもしれませんが、私はそれでいいとは思えません。

 

 部谷氏はこのような主張を述べられたうえで、「以下のような反論をよく受けます」と5つの反論に答えています

 

 例えば、第1の反論は、現在の予備自衛官の中でも、通訳や医師等の特殊技能者は残すべきというものです。しかし、これは「軍属」なり、他省庁と同じように、あらかじめ契約を結んで、臨時雇いの防衛事務官扱いにすればよいだけです。素人に階級を与えてややこしくするよりも、そちらの方が筋として正しいし、部隊を混乱させないでしょう。実際、米軍も通訳には階級を与えていません

 

 その「臨時雇いの防衛事務官」が有事に予備自衛官より確実に来てくれるという根拠は何なのでしょうか。ちなみに日米合同演習に行けば階級を持つ米軍の通訳はいくらでも見ることができますし(YouTubeにあがっている日米合同演習の動画でもたまに映ったりしてます)、階級を持たない者が軍隊組織の中に混じればそれこそ余計に部隊を混乱させるだけだと思いますが。

 

 また、予備自衛官の役割を「臨時事務官」代替させようとすれば、特殊技能者とはいえ比較的最前線に近い部隊にも配置される可能性がありますが、軍人ではないためハーグ陸戦条約の定義する捕虜の対象と見なされないリスクがあります。アメリカがわざわざ海洋大気庁に士官部隊を保有し、所属技術者に軍の階級を与えている理由もそれなのですが。

 

 第2の反論は、日本が直接侵略を受けた際にはとにかく人手が必要である、というものです。しかし、これは極めて蓋然性が低いシナリオです。仮に真剣に考えるとしても、年間10億円の予算で有志の退役自衛官によるNGOの「郷土防衛隊」創設を支援すればいい話で、わざわざ80億円の予備自衛官制度を維持すべき理由にはなりません。

 

 ですからその「有志の退職自衛官によるNGOの「郷土防衛隊」」が有事に予備自衛官より確実に(以下略)。そもそもNGOなら防衛招集時に予備自衛官に課せられる招集義務違反の罰則も適応されないわけで、まともに機能するかどうかも怪しいと思います。そもそも予備役と民間防衛組織を混同されていませんか?

 

 第3の反論は、「即応予備自衛官制度」は残すべきだという主張です。即応予備自衛官は、一般市民でもなれる予備自衛官とは違い、自衛隊出身者だけが志願でき、戦闘任務にも参加する、より即応性が高い実戦向けの自衛官です。しかし、これも23.7%しか実際には出頭せず、有効性に疑問が付きます。

  

 前述の通り、即自も約7割が応招可能と回答しております。東日本大震災ののち、熊本地震西日本豪雨、北海道胆振東部地で即応予備自衛官が災害招集されましたが応招者が少なくて派遣できないという事態は一度も発生していません。

 

熊本地震では、予定していた300人規模に対して162人の招集に留まりましたが、西日本豪雨では同じく300人規模の災害招集に対し最大266名が参加北海道胆振東部地震でも当初予定とほぼ同数の最大200名規模に達しています。

 

 第4の反論は、民間企業に危険を冒せとは言えない以上、技能者を予備自衛官として囲い込んでおくべきだというものです。

 

 民間企業に頼らず、自衛隊だけで戦うというのは、理想論としては素晴らしいでしょう。しかし、これは現実を無視しています。例えば、陸上自衛隊の通信系等は有事でもNTTに相当依存しています。離島への輸送にしても民間のフェリー等を使わざるを得ないでしょう。その意味で「民間活力に頼らない」という発想は現代戦では捨てるべきなのです。民間は信用できない、危険なことをさせない、ではなく、彼らのリスクを下げつつ、どのように巻き込むかが大事なのです。

 

 船員組合からの反対で民間の船員が活用できないから有事には予備自衛官で運用しようとしているのではないですか? そこら辺の事情はご存じないのでしょうか。

 

 第5には、有事に民間船舶を輸送用として危険な地域に突入させるために、船員を予備自衛官にしておくというものです。このために、予備自衛官制度を維持すべきだというものです。確かに自衛隊の輸送能力不足は離島防衛において深刻な課題ですし、もっともな主張に思えます。

 

 しかし、これについても間違いです。海上自衛隊側は2隻の高速輸送船に専従させる隊員がいないとしているようですが、それならば正面装備を削ってでも、隊員を回すべきですし、予備自衛官制度の予算で正規隊員を増員し、それを専従させるのが筋でしょう。そもそも、その予備自衛官に有事に拒否されたらどうするのでしょうか。

 

 防衛招集には招集義務違反に対する罰則があります。予備自衛官が招集を拒否することは出来ません。大体、平時に高速輸送船を自衛隊が直接保有するのは不経済だから、普段は民間会社が運用し、有事には予備自衛官によって運用させようというのがこの制度の趣旨でしょう。専従の隊員を配置して何もないときは遊ばせておくよりも予備自衛官で対応した方がよっぽど効率的だと思いますが。

 

 そして最後に部谷氏は予備自衛官制度廃止対する代替案を以下のように書かれています。

 

・元自衛官等を中心とする災害時や有事の避難や救難のための民間防衛NGOへの補助金(47億円)

・日本版「ROTC」(予備役将校訓練課程)に15億円(毎年75人採用)

・臨時事務官として特殊技能者への契約金12億円

・広報費等6億円

 

 やはり、予備役と民間防衛組織を混同されているようです。ROTCは現代日本で需要があるとは思いますが予備自衛官制度を廃止する理由にはなりません。むしろ同時並行で進めるべき制度です。「臨時事務官」なるものについても上述した通り予備自衛官を代替できるとはとても思えず、広報費6億円はそもそも意図が不明です。

 

 全体的にみて、2015年に書かれた記事であることを考慮しても、予備自衛官制度について制度の趣旨や現状を調べることもせず、思い付きだけで書かれたという印象しか受けない記事でした。

 

 予備自衛官等制度に様々な改善点があるのは勿論でしょう。ですが、事実誤認に基づいた軽薄な論評は国民の予備自衛官等制度に対する理解を低下させ、また予備自衛官の士気を低下させることにもつながりかねません。

 

 例えば、社員から「予備自衛官をやりたい」と申し出を受けた経営者が「予備自衛官ってどういう制度何だろう」とネット検索して部谷氏の記事を読んだとしたらどう思うでしょうか? 「なんだ、実際には立たない制度なのか。社員を行かせる意味もないな」と考えてしまうかもしれません。

 

 そういうわけで、反論がネット上に1つぐらいあっても良いかなと思い、今回この記事を投稿してみました。一応、関係資料等も調べてできるだけ正確な記事にしたつもりですが、もし誤り等ありましたらコメント等で教えていただけると幸いです。

公務員と予備自衛官の訓練は両立できるか?

※当記事は一般公開しても支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。

 

 公務員が予備自衛官をやる上でネックとなるのが業務と予備自訓練の両立です。

 

 かつては定時退庁が当たり前、年休使い放題などと言われていた公務員(というか働く人は死ぬほど働いて、働かない人は全然働いてなかったという方が実態に近い気がする)ですが、実際は90年代から続く人員削減と行政に対する需要の増加によりなかなか休みも取っていられないのが現実。

 

 こんな環境で予備自衛官の訓練に参加できるのか、心配されている方もいるかもしれませんが、私の経験と独断から書かしていただければ目安として実際には以下のような感じではないかと思います。

 

予備自衛官→よっぽど激務の部署でない限りは余裕で可能

 

即応予備自衛官→年休を年10日位使えるなら可能

 

予備自衛官補(一般)→余裕のある部署でないと難しいかも

 

予備自衛官補(技能)→激務の部署ではない限り可能

 

 予備自衛官については週末に分割出頭(2日+3日)すれば職場を1日休むだけで済みますので、よほど余裕がない部署ではない限り両立は余裕で可能だと思います。

 

 即応予備自についても土日訓練が主ですので上手く行けば5~6日、職場を休むだけで30日出頭は達成できます。年間10日ほど年休を取るぐらい余裕がある部署ならなんとかこなせるでしょう。

 

 一方、予備自衛官補(一般)については3年間で都合10回ほど5日間の休みを取らなければならないため、毎年度年休を使い切れるぐらい余裕があり、なおかつ5日間連続で職場を空けても大丈夫な部署でないと難しいのではないかと思います。

 

 予備自衛官補(技能)については2年間で5日間訓練を2回ですので多少余裕がある部署ならば問題ないでしょう。

 

 参考までに平成29年度の国家公務員の年次休暇平均取得日数は14.4日とのことです。

 

 なお、個人的な考えですが訓練参加予定を立てる際には、7~9月は出来るだけ外した方が良いと思います。というのもこの時期は台風やゲリラ豪雨などの影響で警報の出ることが多く、特に地方公務員は突発的に防災配備に就かされることも多いので。

 

 災害に備えて職員が庁舎に待機しなければならないときに「予備自の訓練に行ってきます」というのはさすがに職場への印象もあまり良くないでしょう。即応予備自衛官予備自衛官補(一般)の方は出頭日数も多いので職場と上手く調整するしかありませんが、予備自の方は年5日の訓練ですので、それ以外の時期に訓練出頭するのがベターかなと個人的には思います。

 

 ちなみに私は概ね12月から2月の間に出頭するようにしています。年度末ギリギリの出頭は出来れば避けたいのですが、繁忙期の都合上この辺りが一番日程調整しやすいので・・・。

予備自衛官等関連資料 国家公務員等が予備自衛官補を兼ねる場合の教育訓練招集手当の支給について(通知)(平成27年3月31日防人育第5841号)(抜粋)

解説 

 国家公務員及び地方公務員が無報酬で予備自衛官補を兼ねる場合の手続きについての通知。要するに予備自衛官補になっても手当(お金)を受け取らず訓練に参加するための手続き内容を定めたものである。

 

 防衛省情報検索サービスでは閲覧できないため、取得するには行政文書開示請求を行う必要がある。

 

reserve-f.hatenablog.com

 

 防衛省から送付してもらったPDFデータも載せたかったのだが、はてなブログでは画像以外のデータをアップロードできないため手入力し直したものを掲載している(都合により一部省略した)。

 

 手続内容については任命権者(所轄長)から「無報酬を要件とする兼業・兼職許可書」を受けた場合、その写しと「教育訓練招集手当を受け取らない旨を自署した念書」を提出することにより教育訓練招集手当が支給されなくなる。念書の書式については特に規定されていないが、一応地本担当者に問い合わせた方が良いと思われる。

 

 なお、許可書については条文上「職員が無報酬で予備自衛官補としての教育訓練を行うことを所轄長等が承知していると証明できる書類を含む」となっているので単なる同意書でも良いかもしれないが、これについても細部は地本に確認されたい。

 

 省庁や地方自治体では報酬の発生する兼業を認めなかったり、報酬を伴う兼業に有給の取得を認めないところもあるので、それに応じた措置であると考えられる(そもそも手当を受けない=報酬が発生しないなら兼業申請自体不要ではないかとも思うのだが・・・)。

 

 この手当不支給措置が予備自衛官即応予備自衛官にも適用されるかどうかについては地本にお問い合わせ願いたい。

 

以下、抜粋。

 

防人育第5841号

27. 3. 31

 

陸上幕僚長

海上幕僚長 殿

航空幕僚長

 

人事教育局長

 

国家公務員等が予備自衛官補を兼ねる場合の教育訓練招集手当の支給について(通知)

 

 標記について、下記のとおり定めたので、これにより実施されたい。

 

 

1 概 要

 国家公務員又は地方公務員(以下「国家公務員等」という)が予備自衛官補を兼ねる場合については、法令及び所轄長等の定める手続きに従い、兼業・兼職許可(無報酬又は有報酬)を受ける必要がある。

 有報酬を条件として兼業・兼職許可を認められている場合において、当該予備自衛官補が教育訓練招集に応じた際は、防衛省の職員の給与等に関する法律(昭和27年法律第266号)第24条の6の規定に基づく教育訓練招集手当を支給することとなる。

 他方、無報酬を要件として兼業・兼職許可を認められている場合において当該予備自衛官補が教育訓練招集に応じた際の教育訓練招集手当については、支給しない措置が必要なことから、その要領は次項により実施するものとする。

 

2 支給しない措置の要領

 (1) 要 領

ア 当該予備自衛官補は、担当する地方協力本部長に対し、無報酬を要件とする兼業・兼職許可書の写等(職員が無報酬で予備自衛官補としての教育訓練を行うことを所轄長等が承知していると証明できる書類を含む。以下同じ。)とともに教育訓練招集手当を受け取らない旨を自署した念書を提出する。

イ 担当地方協力本部長は、当該予備自衛官補から提出された書類を給与簿とともに保管するとともに、給与簿に「兼業・兼職許可(無報酬)により教育訓練招集手当不支給」と記述する。

 (2) 手続きの流れ

 

(中略)

 

3 その他

 (1) 有報酬を要件として兼業・兼職許可を認められている予備自衛官補の処置

ア 前項の支給しない措置の要領の実施に合わせ、当該予備自衛官補は、担当する地方協力本部長に対し、有報酬を要件とする兼業・兼職許可書の写等を提出する。

イ 担当する地方協力本部長は、当該予備自衛官補から提出された書類を給与簿とともに保管する。

(2) 上記のほか、各地方協力本部長は、予備自衛官及び即応予備自衛官が国家公務員等の場合は、従前のとおり、それぞれ国家公務員法又は地方公務員法の適用を受けるため、法令及び所轄長等の定める手続に従い許可を受けなければならないことに留意し、必要に応じて当該予備自衛官及び即応予備自衛官に対し、兼業・兼職許可書の写等の提出を求め人事記録とともに保管する等の所要の措置を講ずる。

予備自衛官等関連資料 予備自衛官及び予備自衛官補のき章について(通達)(平成14年4月25日陸幕人計第150号)(解説)

 


 「予備自衛官き章」及び「予備自衛官補き章」の取扱いについて定めたもの。「徽章」ではなく「き章」となっているのは「徽」の字が常用漢字に入っていないためと思われる。何故か分からないが即応予備自衛官き章は無い。

 

 文量の少ない通達なので、き章の形状等、興味がある方は下記リンクより閲覧されたい。

 

予備自衛官及び予備自衛官補のき章について(通達)(平成14年4月25日陸幕人計第150号)

 

 本通達によれば予備自衛官に任用したときに地方協力本部長が交付するものとしている・・・はずなのだが、恐らく予備自衛官として長年勤務していても存在すら知らない人の方が多いのではないかと思われる。私の所属する地本でも任用時に交付された記憶はない。

 

 訓練招集の際や身分を明らかにする必要のある場合には必要に応じ着用させることができるらしいが、防衛省や地本のホームページを見ても着用事例はほとんど見られない。予備自衛官中央訓練で制服着用時に確認できる程度である。

 

www.mod.go.jp

 

 小さくて分かりづらいが左胸ポケットのふた部分に着用されているのが確認できる(因みに右胸ポケットにも同じような徽章を着用している予備自衛官がいるが、これは「予備自衛官勤続記念き章」)。

 

 一方、「予備自衛官補き章」については「常装用」と「作業服用」があり、常装用については予備自衛官補採用時に地方協力本部長より交付され、式典などで制服に着用している場面が多々見受けられる。予備自衛官き章と違いこちらはちゃんと予備自衛官補に交付され、教育訓練招集以外は各人で保管しているようだ。予備自になったときは返納するとのこと。

 

※現在では必ずしも採用時に交付されるわけではなく、最終訓練時にのみ配られる(修了式の制服着用時に必要な為)という方式になっているみたいです。最新の情報を確認したい方は各地本へお問い合わせください。(R2.8.8追記)

 

 通達に定められている以上、予備自衛官き章についても交付すべきはずなのだが、一連番号が入っている上に管理簿で記録されている官品なので、亡失を防ぐために交付してないのではないかと私は邪推している。まぁ、予備自側としても普段から管理しなければならない官品(と言っても予備自衛官手帳ぐらいしかないが)が一つ減るので有難いことではあるが。