予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

国家公務員の兼業基準と予備自衛官について

※当記事は一般公開しても支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。

 

 国家公務員の兼業について、前年度より政府が後押しする方向で動いています。

 

www.nikkei.com

 

 今回は原則として、NPO法人やNGO組織など非営利団体のみ認めるとの事ですが、国家公務員で予備自衛官等をやりたいと思っている方には朗報かと思います。

 

 国家公務員の兼業についてはそもそも国家公務員法第百四条で以下のように規定されています(第百三条にも規定されているが予備自衛官には関係しないと思われるので略)。

 

(他の事業又は事務の関与制限)

第百四条 職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。

 

 今回の取り組みはこの「内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可」を出す為の基準を具体的に定めたものと言えるでしょう。

 

 そこで今回は内閣官房内閣人事局の資料「国家公務員の兼業について(概要)」を元に、今回の改革が国家公務員の予備自衛官を志願に際してどのように関係していくか見ていきたいと思います。

 

国家公務員の兼業について(概要)

 

 ここで基準を設けられているのはおおむね以下の4つ。

 

 

 それぞれ予備自衛官等に照らし合わせて兼業許可基準に合致するか見ていきましょう。 

 

「兼業」の定義

 この資料によれば、まず国家公務員法第百四条の指す「兼業」について、「労働の対価として「報酬」を得て、事業又は事務に「継続的又は定期的に従事する」場合」と定義しています。予備自衛官については訓練招集手当等の「報酬」を「定期的」に得るため、法の指す「兼業」該当すると考えられます。

 

非営利団体」の定義について

  次に、「職務の公正な執行の確保及び公務の信用の確保の観点」から「非営利団体」における兼業が可能としています。この「非営利団体」については、地方自治体、独立行政法人、学校法人、自治会・町内会等と共に「国」もしっかり入っていますので、予備自衛官についても該当すると思われます。ちなみに前提条件として「在職する機関と兼業先に利害関係がないこと」「非営利団体の目的が公務員の信用を傷つける恐れがないこと」等の条項があげられていますが、予備自衛官と関係なさそうなので割愛します。

 

報酬額について

  報酬額については「兼業することによって得る報酬として、社会通念上相当と認められる程度を超えない額であること」とされています。予備自や予備自補は小遣い程度の金額ですし、即応予備自衛官になれば手当の金額は大きくなりますが「社機通念上相当と認められる」額を超えているとは言えないでしょう。即応予備自の最高階級である即応予備2尉でも30日出頭で年間618,000円(税込)です。兼業するに当たっては問題ないかと思われます。

 

兼業に従事する時間について

 一番ネックとなりうるのが実はこの項目です。資料では兼業時間数を「週8時間以下、1箇月30時間以下、平日(勤務日)3時間以下であること」としています。即応予備自衛官予備自衛官補については明らかに範囲をオーバーしますし、予備自衛官についても分割出頭すれば「1箇月30時間以下」の時間制限はクリアできますが「週8時間以下」の制限に引っ掛かります。ただし、「原則として」という事なので状況によって認められる可能性は十分にあるのではないかと思います。

 

 以上、解説してきましたが結局の所、申請時の上司と人事担当の見解に左右される面が大きいと思います。可能ならば上司に申請を上げる前に、地本と相談して他省庁の事例はないか調べてもらうのも良いでしょう。結局、役所というのは前例で判断することも多いので…。