予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

官公庁等が予備自関係の給付金対象から外れていることについて

※当記事は一般公開しても支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。また、記事の内容は投稿日現在のものです。

 

 国家公務員、地方公務員が予備自衛官になれることはいくつかの記事で紹介しました。

 

reserve-f.hatenablog.com

 

reserve-f.hatenablog.com

 

 さて、一般企業の場合、即応予備自衛官を雇用していれば即応予備自衛官雇用企業給付金が、また、雇用している予備自衛官即応予備自衛官が有事に招集されたり、招集訓練中に負傷して職場を離れなければならなくなった際には90日を上限として雇用企業協力確保給付金制度が支給されます。

 

www.mod.go.jp

 

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 一方、国、地方公共団体及び公共団体(正確には「法人税法(昭和四十年法律第三十四号)別表第一に掲げる公共法人」、国立大学法人地方独立行政法人等)はこれら給付金の対象から除外されています。元々、民間企業が即自の訓練や災害時の招集で負う負担に報いるための制度ですので、営利を目的としない公共団体等は対象としない、という事なのかもしれません。

 

 しかしながら、予備自衛官等を雇用することによる負担は官公庁だろうと民間だろうと同じです。中小企業よりはマシとは言えこのご時世、役所だからと言って無駄に人を余らせているわけではありません。

 

 訓練招集や災害派遣招集で職員が仕事から離れれば他の職員に負担が及び、行政サービスに影響が出るのは当然のことです。公務員と言えど訓練招集や災害派遣招集に出られるのは本人だけでなく周囲の職員の協力があってこそ。当然、防衛省側としても民間企業と同等の補償をしてもよいと思います。

 

 また、地方公共団体の中には企業として運営されている部門(水道局や交通局等)もありますが、これらの部門は独立採算制の事業体であり、雇用企業の負担に報いるという制度の本旨からすれば当然に支給対象とされてしかるべきでしょう。

 

 例えば平成31年4月以前の大阪市営地下鉄職員は地方公務員であったため給付金の対象ではありませんでしたが、大阪メトロとして民営化後は給付金の対象となります。業務内容はほぼ変わらないのに公務員時代は給付金の対象外で、民営化されたとたんに給付金の支給対象になるという何とも腑に落ちない状況となっております。

 

 その他、「法人税法別表第一に掲げる公共法人」というくくりで給付対象を除外しているため、公務員ではない国立大学法人一般地方独立行政法人(公立病院等)の職員についても給付金の対象から外れております。私からしてみれば、どうしてこの基準で給付対象を制限しているかが正直よく分かりません。

 

 防衛省が国や地方公共団体等を給付金の対象から外した経緯については存じませんが、現在の基準は実情に沿ったものとは言い難いのではないかと思います。給付対象外の職場で働く職員からしてみれば、職場に気を遣って30日の即自訓練や災害派遣招集に出頭しても本来支払われるべき給付金すら支給されず肩身も狭くなるだろうというもの。

 

 それならば、いっそのこと国や地方公共団体等を含めて予備自衛官即応予備自衛官の雇用者すべてを給付金対象とした方が不公平感も無くて良いのではないかと思います。