予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

予備自衛官の災害派遣と公務員

※当記事は一般公開しても支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。

 

 近年では即応予備自衛官災害派遣招集も当たり前のように行われるようになり、平成30年度だけでも平成30年7月豪雨と北海道胆振東部地震即応予備自衛官が招集されています。

 

 北海道胆振東部地震の際、小野寺防衛大臣(当時)は「即応予備自衛官の多くは地域に居住し、地の利をよく知っている。災害時の生活支援での役割は有効だ」と、現地住民ならではの能力を期待されるコメントをされています。熊本地震の際も同じようなコメントが出されていましたが、防衛省としては即応予備自衛官に期待するのは(少なくとも表向きは)「現地の事情に通じている」という点のようです。

 

 しかしながら、本業が公務員の予備自衛官にとって、この期待は心苦しいものがあります。なぜかというと、勤務先の自治体が被災しているのに自衛隊から災害派遣招集に来てくれと言われても”絶対に”無理だから。

 

 都道府県や市町村等の役所は大規模な被災となると通常の業務体制から災害時の体制へと移行します。学校の先生のように防災には一見関係なさそうな職員でも災害時には役割が割り振られています。当然、業務量は平時の何倍にもなりますし、当該自治体職員だけでは全く人員が足りないので国や他の地方自治体から応援職員もやってきます。

 

 場合によってはインフラや役所の設備も崩壊している中で、住民の要望を聞きつつ応援職員に指示を出し、ボランティアや自衛隊、警察、消防等とも調整を行わなければなりません。特に現在では自治体の正規職員数が大幅に減らされているので大規模災害ともなれば発災から数カ月は文字通り不眠不休のデスマーチ状態です。

 

 こんな状況で予備自の災害派遣招集に応じられるか? 絶対に無理です。

 

 実際に、平成28年の熊本地震の際には国、公共法人に勤務する即応予備自衛官にも招集を打診していますが、応じたのは6人中1人でした(応諾率16.7%)。全体の平均値である36.7%を大幅に下回っています(租税特別措置等に係る政策評価の点検結果(防衛省))。

 

 公務員の予備自衛官からしてみれば、逆に勤務している自治体から遠方で発災した方が招集に応じやすいでしょう。削減が続いているといっても平時であれば、都市部の自治体ならまだ職員に余裕はあります。中小企業に比べれば人員をやりくりする苦労は少ないはず。

 

 特に市町村は政令指定都市レベルでなければ遠方の被災地に職員を派遣することはほぼありませんから、東日本大震災級でもない限り災害が起こったからと言って急に忙しくなることはありません。予備自の1人や2人送り出すのにも支障はないかと思われます(勿論、時期にもよりますし、絶対に職場を空けられない仕事をしている職員もいたりしますのであくまでも一般論ですが)。

 

 防衛省熊本地震の際には地元在住の即応予備自衛官を中心に招集を打診していたようですが、平成30年の7月豪雨や北海道胆振東部地震では被災地から遠方の即応予備自衛官にも招集の打診を行っていたようです。本業が民間人にしろ公務員にしろ自分の家や職場が無茶苦茶になっている中で招集に応じろというのはやはり酷な話でしょう。

 

 自衛隊法施行令第八十八条でも「親族が死亡し、又は住居が滅失し、若しくは重大な災害をこうむつた場合において、当該予備自衛官以外にその後始末をする者がないとき」は災害招集命令の取り消しが認められています。

 

 個人的には災害派遣招集は被災地から遠方の即応予備自衛官を中心にしてもらい、被災地の即自は志願者を除き復興に専念したもらうのもよいのではないかと思います。

 

 手当をもらっているんだから招集に応じて当然だ、と思われる人もいるかもしれませんが、被災して招集に応じることができなかった予備自衛官は、また別の場所で災害が起こった時に活躍してもらえばよいではありませんか。

 

 予備自衛官には当然ながら本業があり、守らなければならない生活があります。今後も災害派遣招集は続くでしょうが、今までの経験を通して防衛省がより良い運用体制を築いてくれるよう願っております。

予備自衛官の永年勤続者表彰について

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 自衛官には諸外国の勲章、記念章に相当するものとして防衛記念章や防衛功労賞が制定されていますが、予備自衛官即応予備自衛官には基本的に無縁です

 

 その代わりかどうかは分かりませんが、予備自衛官即応予備自衛官を一定期間以上勤務すると、永年勤続者表彰を受けることができます。条件は以下の通り。

  

防衛大臣表彰

ア 予備自衛官等として勤務した期間が30年以上であること。

イ 招集時の勤務成績が良好であること。

ウ 表彰を受ける年度及びその直近の2箇年間を連続して訓練招集に出頭していること。 

 

陸上幕僚長表彰

ア 予備自衛官及び即応予備自衛官(以下「予備自衛官等」という。)として勤務した期間が20年以上であり、かつ、招集時の勤務成績が良好であること。

イ 表彰を受ける年度及びその直近の2箇年間を連続して訓練招集に出頭していること

 

方面総監表彰

予備自衛官等として勤務した期間が10年以上であり、かつ、招集時の勤務成績が良好であること。

 

地方協力本部長表彰

予備自衛官等として勤務した期間が5年以上であり、かつ、招集時の勤務成績が良好であること。

 

参考資料

予備自衛官及び即応予備自衛官の永年勤続者表彰実施基準について(通達)(防人2第6163号(3.10.29))

予備自衛官及び即応予備自衛官の永年勤続者表彰の実施について(通達)(陸幕人計第356号(3.11.15))

 

 勤務期間ですが、途中で空白期間があっても合算されます。また、即自と予備自の両方で勤務したことがある方も勤務期間が合算されます。

 

 地本のホームページなどを見ると、防衛大臣表彰や幕僚長表彰と言っても、実際に大臣や幕僚長から渡されるのではなく招集訓練時に地本本部長が授与することが多い様子(予備自中央訓練の時は陸幕長から直接授与される場合もあるようです)。とは言え、大臣や制服組トップの名前で表彰を受けるなど一般人にはめったにない機会です。20年~30年と長い時間はかかりますが予備自継続のモチベーションとしてみてはいかがでしょうか。

 

 なお、防衛大臣表彰と陸上幕僚長表彰については副賞が付きます(ネットで見ると金杯らしい)。

 

 この他、予備自衛官しか着用できない徽章として「予備自衛官勤続記念き章」があります。第1号から第4号まであり、訓練招集に出頭した日数によって等級が上がっていきます。着用条件は以下の資料をご参照ください。

 

参考資料

予備自衛官の任免、服務、服装等に関する訓令(昭和37年防衛庁訓令第1号)

予備自衛官勤続記念き章に関する事務手続について(通達)(陸幕人計第390号(59.10.31))

 

隊友会について

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 元自衛官ならばご存知の方も多いと思いますが陸海空自衛隊の全国的なOB会組織として公益社団法人隊友会が存在します。私も一会員として微力ながら尽力しております。

 

www.taiyukai.or.jp

 

 この組織は昭和35年に自衛隊と国民の架け橋として相互の理解を深めるために各地の自衛隊OB組織を統合して結成されました。具体的にどのような事業を行っているかというと、身近なところでは地域ボランティア活動や自衛隊部隊への協力活動、また防衛省に対しては毎年政策提言書を提出しています。この他、隊友会独自の福利厚生制度や予備自衛官等福祉支援制度の運用も隊友会で行っています。

 

 正会員として入会できるのは自衛隊退職者と予備自衛官補で採用された方(公募予備自衛官)です。年会費は3千円になっておりますが、10、15、20年単位で一括納付すれば一定額が割引されます(以前は3万円を一括納付すれば以後、会費が不要となる終身会員という制度がありましたが廃止されました)。入会すると各都道府県隊友会支部に所属し、活動も基本的にはこの支部単位で行うことになります。

 

 入会方法は隊友会のホームページに掲載されているのでそちらをご確認下さい。

 

www.taiyukai.or.jp

 

 私は自衛隊退職時に隊友会に入会しましたが、会員としてやっていることは年一回の支部総会と懇親会(同じ日に行われる)への出席が主となります。この他にも忘年会や新年会、各種イベント等行っているところもあるようですが、これは所属する支部によります。

 

 自衛隊のOB会と言えば駐屯地や部隊ごとのOB会もありますが、私の個人的な感想では、駐屯地や部隊のOB会は元陸曹が多く、隊友会は元幹部自衛官が多いような印象を受けます。共通するのは士長退職者の参加が少ない=若い人が少ないという事(泣)。まぁどうしても定年退職者が多くなりますので士長で退職した若者が出席しづらいというのは仕方がないかもしれません。

 

 ただ、若い人が少ない分、支部の総会や懇親会では歓迎してくれます。また、支部の懇親会には地本の援護課長や予備自係長も来賓として出席されるので、予備自衛官にとっては地本の担当者とコミュニケーションをとる良い機会にもなると思います。支部によっては総会に伴い現職自衛官を講師に招いて一般ではなかなか聞けない現在の情勢や自衛隊の活動について講演を行ってもらうところもあります。

 

 予備自衛官補出身の方でも大歓迎ですので、特に若い方で興味があればぜひ参加して頂きたいと思います。隊友会防衛省に提出する政策提言書には予備自衛官の待遇改善についても盛り込まれているので、隊友会は謂わば予備自衛官の要望を代弁してくれている側面もあります。今のところ、予備自衛官防衛省に対して要望を上げる機会はほとんどないので隊友会のような組織を通して予備自衛官が訓練しやすい環境を整えるためにも会勢の拡大にご協力頂ければと思います。

 

 ちなみに余談ですが中隊OB会に出席すると意外に陸曹で残った同期たちから喜ばれます。というのも懇親会では年配者が多いため若手陸曹にとっては知らない人も多いですし、どうしても気を使う立場になりがちです。出席者に話の合う同期が一人二人でもいればそちらの方が楽しいのでしょう。もし機会があれば同期の顔を見に行くと思って参加してみてはいかがでしょうか。

国家公務員の兼業基準と予備自衛官について

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 国家公務員の兼業について、前年度より政府が後押しする方向で動いています。

 

www.nikkei.com

 

 今回は原則として、NPO法人やNGO組織など非営利団体のみ認めるとの事ですが、国家公務員で予備自衛官等をやりたいと思っている方には朗報かと思います。

 

 国家公務員の兼業についてはそもそも国家公務員法第百四条で以下のように規定されています(第百三条にも規定されているが予備自衛官には関係しないと思われるので略)。

 

(他の事業又は事務の関与制限)

第百四条 職員が報酬を得て、営利企業以外の事業の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、その他いかなる事業に従事し、若しくは事務を行うにも、内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可を要する。

 

 今回の取り組みはこの「内閣総理大臣及びその職員の所轄庁の長の許可」を出す為の基準を具体的に定めたものと言えるでしょう。

 

 そこで今回は内閣官房内閣人事局の資料「国家公務員の兼業について(概要)」を元に、今回の改革が国家公務員の予備自衛官を志願に際してどのように関係していくか見ていきたいと思います。

 

国家公務員の兼業について(概要)

 

 ここで基準を設けられているのはおおむね以下の4つ。

 

 

 それぞれ予備自衛官等に照らし合わせて兼業許可基準に合致するか見ていきましょう。 

 

「兼業」の定義

 この資料によれば、まず国家公務員法第百四条の指す「兼業」について、「労働の対価として「報酬」を得て、事業又は事務に「継続的又は定期的に従事する」場合」と定義しています。予備自衛官については訓練招集手当等の「報酬」を「定期的」に得るため、法の指す「兼業」該当すると考えられます。

 

非営利団体」の定義について

  次に、「職務の公正な執行の確保及び公務の信用の確保の観点」から「非営利団体」における兼業が可能としています。この「非営利団体」については、地方自治体、独立行政法人、学校法人、自治会・町内会等と共に「国」もしっかり入っていますので、予備自衛官についても該当すると思われます。ちなみに前提条件として「在職する機関と兼業先に利害関係がないこと」「非営利団体の目的が公務員の信用を傷つける恐れがないこと」等の条項があげられていますが、予備自衛官と関係なさそうなので割愛します。

 

報酬額について

  報酬額については「兼業することによって得る報酬として、社会通念上相当と認められる程度を超えない額であること」とされています。予備自や予備自補は小遣い程度の金額ですし、即応予備自衛官になれば手当の金額は大きくなりますが「社機通念上相当と認められる」額を超えているとは言えないでしょう。即応予備自の最高階級である即応予備2尉でも30日出頭で年間618,000円(税込)です。兼業するに当たっては問題ないかと思われます。

 

兼業に従事する時間について

 一番ネックとなりうるのが実はこの項目です。資料では兼業時間数を「週8時間以下、1箇月30時間以下、平日(勤務日)3時間以下であること」としています。即応予備自衛官予備自衛官補については明らかに範囲をオーバーしますし、予備自衛官についても分割出頭すれば「1箇月30時間以下」の時間制限はクリアできますが「週8時間以下」の制限に引っ掛かります。ただし、「原則として」という事なので状況によって認められる可能性は十分にあるのではないかと思います。

 

 以上、解説してきましたが結局の所、申請時の上司と人事担当の見解に左右される面が大きいと思います。可能ならば上司に申請を上げる前に、地本と相談して他省庁の事例はないか調べてもらうのも良いでしょう。結局、役所というのは前例で判断することも多いので…。

予備自のモチベーションを保つために

予備自のモチベーションを保つために

 

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 「即自はつらい、予備自はだるい」

 

 これは私が即応予備自衛官をやってた頃に、予備自から即自に来た陸曹の言葉です。当時の私は予備自の訓練を経験せず即自になったのでその陸曹の言う意味が実感できませんでした。現在、予備自と即自を両方経験してみて何となくその意味が分かります。

 

 即自については所属部隊において明確な目標があり、検閲など訓練成果を発揮する機会もあります。求められるレベルが高い分、訓練もつらいですが招集の回数が多いので能力の向上を実感しやすく、モチベーションの維持も容易です。一方、予備自については訓練日数が年5日と限られる上、訓練に参加する間隔がどうしても空いてしまうため、能力が向上を実感しにくい環境にあります。

 

 自衛隊側も予備自衛官中央訓練や転地訓練等を行うなど、練度向上には努めていますが実際に参加できるのは中央訓練で60名(平成30年度)のみ。

 

 もちろん、5日間の訓練が大事なのは言うまでもありません。しかし、能力の向上を実感したり、目標を達成したという感覚が薄く、人によってはやりがいを感じにくいのも事実ではないかと思います。若い一般公募予備自衛官の方は特にそうではないでしょうか。かといって、世の中即自を志願できるような環境にある人ばかりではありません。

 

 そこで私が思い至ったのが、「訓練招集以外の場所で予備自衛官としてスキルアップする」という考え方。ご存知のとおり、陸上自衛隊には15の職種があり普通科中隊の小銃手からパソコン相手の会計隊員まで色々な仕事があります。訓練招集だけでなく、有事を見越して役立つ資格やスキルの取得を目標とすればモチベーションの向上にもつながるのではないでしょうか。

 

 そのような観点から、今回は参考までに救急法関連の資格を紹介したいと思います。予備自衛官(技能)の対象にはなりませんが、それほど無理をせずに取得出来る資格ですので興味のある方はご参照ください。

 

赤十字救急員養成講習 上級救命講習

 

www.jrc.or.jp

 

www.tokyo-bousai.or.jp

 

 ご存知の方も多いと思いますが、応急処置に関する講座です。

 

 救急法は予備自衛官の招集訓練でも課目として実施されることがありますが、自衛官ならば絶対に必要な知識です。予備自衛官としてだけでなく、日常生活でも役立つ技術ですので受けてみて損はないかと思います。

 

 救急員養成講座は日本赤十字社が、上級救命講習については各自治体の消防が実施しています。詳しくは居住地の赤十字支部自治体消防のホームページを参照ください。

 

 赤十字の救急員養成講習については救急法基礎講習修了者が対象ですが、二つの講座をセットで受講することも出来ます。費用はセット受講で3,200円。3日間の講習となりますので日程の調整が大変ですが、AEDの使い方から、心肺蘇生法、止血法、搬送法など充実した内容になっております。

 

 講習の最後には検定が行われ、合格者には救急法救急員認定証(3年間有効)が交付されます。私も何年か前に受講したことがありますが、手当の方法だけでなく傷病者の発見から搬送までをロールプレイングで行ったりと実践的な講習でした。

 

 消防においては上級救命講習が同等の内容になっております。赤十字と違って受講費は無料の自治体が多いですが(教材費等が必要なところもあります)、自治体によってはAEDや心肺蘇生法のみの普通救命講習しか行っていないところもあります。

 

 近隣の自治体で上級講習が行われていても、消防の救命講習は参加者を当該自治体の居住者か通勤通学者に限定していることも多いので、もしお住まいの地域で上級救命講習が受講できない場合は赤十字の救急員養成講座を受講しましょう。

 

 もし、これらの講座を受講し救急法に興味を持たれた方は、以下の資格にも挑戦してみてはいかがでしょうか。受講費は数万円単位となりますが、野外衛生を専門とする民間資格講座ですので予備自衛官としてだけでなく、アウトドア派の方にも有意義ではないかと思います。特に、TACMEDAについてはテロ対策救護を目的とした資格講座ですので、予備自衛官としてのスキルアップにも大いに役立つのではないでしょうか。

 

WMA JAPAN (Wilderness Medical Associates JAPAN)

www.wildmed.jp

 

TACMEDA

tacmeda.com

 

 今回は救急法関連の紹介となりましたが、ほかの分野でも例えばDIY(日曜大工)が趣味の人ならば第二種電気工事士、事務仕事をしている人ならMOSMicrosoft Office Specialist、自衛隊でもWord Excel Power pointは必須です)など、自分で探してみれば色々と発見があるかもしれません。

 

 ただ、全く関係ない分野の資格を取るのはやめた方が良いでしょう。例えば、フォークリフト運転技能講習については自衛隊でも役立ちますが、日常からフォークリフトに乗る機会があってこそ生きるものです。講習だけ受けて普段はフォークリフトに乗る機会がないといざ有事の際には役に立ちません(無いよりはましでしょうが…)。

 

 自分の職業や趣味に合わせたスキルアップを図っていくのが良いのではないかと思います。

予備自衛官補の合格率について

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 本年度の第1回予備自衛官補採用試験の合格者が発表されました。合格された方、おめでとうございます。不合格だった方、あきらめずに次の試験を目指して頑張りましょう。

 

 さて、予備自衛官補の試験倍率は発表されておりませんが、合格者の受験番号一覧を見れば大まかですがだいたい何倍ぐらいか推測することができます。

 

 例えば、中部方面隊管内の合格者一覧表。 

www.mod.go.jp

 

 受験番号は基本的に地本ごとに通しで付与されているので、各地本の最も大きい受験番号を受験者数と仮定し、合格者数と比べて倍率を算出するわけです。

 

 例えば、富山地本の場合、男子の受験番号末尾は1820番。受験番号は1800番から始まっているので受験者数は20人ぐらいと推定されます。合格者数は6人なので倍率は最低約3.4倍から高くて4.2倍程度といったところでしょうか。

 

 これを中部方面隊管内で合算すると、最低1.7倍から2.1倍程度という数字になります。ただしWAC(女性自衛官)の受験者数が少ないので誤差が大きくなっている可能性もあります。あくまでも参考程度の数値とお考え下さい。

 

 一応、何か全体的な傾向はないか確認してみたのですが、性別や出身地で倍率に偏りはみられませんでした。

 

 一方、技能区分の方はどうでしょうか。

 

www.mod.go.jp

 

 こちらは一般以上に受験者数が少ないので益々あてにならないのですが、一応計算した結果、合格率が高いのはやはり衛生甲(医師、歯科医師、薬剤師)、法務(弁護士、司法書士)等の難関資格所持者です。語学も合格率は高め。逆に衛生乙(看護師等コメディカル)、建設(建築士測量士施工管理技士等)は合格率低めといった感じです(合格率5割~6割台)。その他の技能資格は6~7割あたりといった所でしょうか。

 

 結局の所、公式に倍率発表されていないため、上記の数値はあくまで「だいたいこんな感じだろう」という程度に考えてください。どちらにしろ倍率2~3倍程度なら全然ハードルは高くないので、今回残念ながら不合格だった人は諦めずに次の試験合格を目指して頑張っていただきたいと思います。

 

 なお、合格した方はご存知かと思いますが、試験に合格しても「採用候補者名簿」に記載されただけで全員が正式に採用と決まったわけではありません。例えば今回の中部方面隊管内の採用予定人数は約520名、一方で合格者は741名ですので、予定通りの採用数だとすると差し引いた221名はいわゆる補欠合格者となります。上位合格者で辞退者が出た場合はこの221名の中から繰り上げ合格者が出るという仕組みとなります。

予備自衛官等関連資料 労働基準法関係解釈例規について(昭和63年3月14日基発第150号)(抜粋)

解説

 労働基準法の解釈について労働省(現厚生労働省)から出された通達。

 

 労働基準法では「公の職務」について労働者が労働時間中に必要な請求をした場合、使用者は拒んではならないとしている。「公の職務」とは選挙権の行使、裁判員、国会参考人等を指す。

 

労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)

公民権行使の保障)

第七条 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。

 

 労働基準法については、一般職の国家公務員には適用されないが、地方公務員は一部適用され(地方公務員法第五十八条の3)、労働基準法第七条も地方公務員に適用対象である。

 

 ここで疑問となるのが予備自衛官等は「公の職務」に含まれるのかという点である。この通達では予備自衛官の防衛招集、訓練招集は労働基準法第七条の「公の職務」には該当しないとされている。「国又は地方公共団体の公務に民意を反映してその適正を図る職務」、「国又は地方公共団体の公務の公正妥当な執行を図る職務」、「地方公共団体の公務の適正な執行を監視するための職務」等が第七条の規定する「公の職務」であり、予備自衛官のような「単に労務の提供を主たる目的とする職務」は「公の職務」に含まれないという解釈である。

 

 なお、通達の全文は全国労働安全衛生センター連絡会議のホームページから閲覧可能(リンク先の一番下)。ただし、法令の改正により現在では通達の内容が変更されている箇所もあるので注意。

 

以下抜粋。

 

<公の職務>

 本条の「公の職務」とは、法令に根拠を有するものに限られるが、法令に基づく公の職務のすべてをいうものではなく、①国又は地方公共団体の公務に民意を反映してその適正を図る職務、例えば、衆議院議員その他の議員、労働委員会の委員、陪審員、検察審査員、労働審判員、裁判員、法令に基づいて設置される審議会の委員等の職務②国又は地方公共団体の公務の公正妥当な執行を図る職務、例えば、民事訴訟法第二七一条による証人・労働委員会の証人等の職務③地方公共団体の公務の適正な執行を監視するための職務、例えば、公職選挙法第三八条第一項の選挙立会人等の職務等をいうものである。

 なお、単に労務の提供を主たる目的とする職務は本条の「公の職務」には含まれず、したがって予備自衛官自衛隊法第七〇条の規定による防衛招集又は同法第七一条の規定による訓練招集に応ずる等は「公の職務」には該当しない。〔昭和六三年・三・一四基発一五〇号〕

自衛隊を退職して大学進学するために必要なお金

 

※当記事は一般公開しても支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。

 

 陸上自衛隊の陸士は任期制、非任期制に関わらず、入隊後2年~6年で退職していく隊員が多くいます。退職後は民間に再就職する人も多いのですが、大学に進学して学生になる人もいます。

 

 自らの知見を広め、幅広い視野を持つという点において大学進学は良い選択だと思いますし、また現実問題として卒業後の就職先の幅も大きく広がります(これは公務員試験でも一部を除き同じです)。

 

 しかしながら、自衛隊から大学へ進学するにはいろいろな障害があるのも事実。

 

 自衛隊から大学に進学する場合、一番の問題は入学試験ですが、学費や生活費等、お金の問題も考えなければなりません。親の援助が期待できるならまだしも、独力で資金を捻出しなければならないなら、事前に大学入学から卒業まできっちりと資金計画を立てておく必要があります。

 

 大学に入学したはいいがバイトばかりで学業が疎かになるなど本末転倒です。奨学金を活用するという手もありますが、無計画に借りて卒業後に返済で首が回らなくなるなどという事態は避けたいもの。

 

 そこで今回は、大学進学に係る資金について書いていきたいと思います。なお、引用しているデータはあくまでも目安と考えてください。

 

  まず大学生活4年間でいくらぐらいの生活費が必要になってくるのでしょうか?

 

 全国大学生活協同組合連合会の調査によると、下宿する場合、2018年でひと月に126,100円の生活費がかかるとの事。ここから単純に4年間の生活費を算出すると以下のようになります。

 

126,100円×12カ月×4年=6,048,000円

 

 

 ちなみに実家生活の場合はひと月に67,200円で、4年間の合計は以下通り。

 

67,200円×12カ月×4年=3,225,600円

 

 

 自衛官の営内者だと普段からあまり生活費の事を考えたりしないので「娑婆に出たらこんなに金がかかるのか!」と思う人もいるかもしれませんが、大学生の場合はこれに加えて学費がのしかかってきます。以下、総務省統計局の平成29年度小売物価統計調査年報を元に東京都における4年分の学費を算出してみました。

 

国立大学(文系・理系)の場合

入学金  282,000円

学費   535,800円(1年間)×4年=2,143,200円

合計   2,425,200円

 

私立文系の場合

入学金  222,715円

学費   779,906円(1年間)×4年=3,119,624円

合計   3,342,339円

 

私立理系の場合

入学金  253,461円

学費   1,050,098円(1年間)×4年=4,200,392円

合計   4,453,853円

 

 これに生活費を合計すると、大学4年間で必要となる金額は以下の通りとなります。

 

国立大学(文系・理系)

下宿  8,473,200円

実家  5,650,800円

 

私立文系

下宿  9,390,339円

実家  6,567,939円

 

私立理系

下宿  10,501,853円

実家  7,679,453円

 

 仮に下宿で私立文系大学に進学するとして、単純計算でひと月に20万円近いお金が必要となります。また実家暮らしだとしても14万円近いお金が必要です。もちろん、自衛隊時代の貯金額や、実家暮らしで親が生活費の面倒を見てくれたり、仕送りをしてくれたりするなど様々な条件によってこの金額は変わってきます。

 

 もし、実家暮らしで学費だけ負担すればよいのなら、自衛隊時代にしっかり貯金をしておけば余裕で学生生活を送れるでしょう。しかし、親の支援が期待できず更に下宿する場合は、生活を切り詰めたうえでアルバイトすると同時に奨学金を活用するのが現実的ではないかと思います。

 

 代表的なのは日本学生支援機構奨学金ですが、ほかにも独自の奨学金制度がある大学もあります。また、国立大学では一定の収入以下の学生に授業料の全額若しくは半額を免除する制度もあります。

 

 ちなみに、元自衛官なら即応予備自衛官を志願することによって年30日の訓練で約50万円の収入を得ることができ、1任期(3年間)を良好な成績で勤務すると更に勤続報奨金12万円が支給されます。国立大学や私立文系の場合はこれだけで学費の半分以上を工面することができるので、積極的に活用していきましょう。

 

 これから大学進学を志す自衛官の方々は、4年間でどれだけの資金が必要なのか計画的に考え、志望大学に合格したからには金銭の問題で後悔することのない様に学生生活を送っていただきたいと思います。

一般公募予備自衛官から即応予備自衛官になるには?

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 去年の10月に2019年度より即応予備自衛官の採用対象を予備自衛官補出身者まで拡大すると報道されました。

 

mainichi.jp

 

 その後、防衛省や各地本のホームページを見ていたのですが、2019年度に入っても具体的な発表などは無く、どのように任用されるのか分かりませんでした。

 

 そんな中で、自衛隊OB会である公益社団法人隊友会の機関紙「隊友」に、任用制度についての記事が掲載されていましたので、紹介したいと思います(ちなみに「隊友」については隊友会会員には無料で配布されますが、一般の方でも有料で購読申し込みが可能です。以前は隊友会HPで全紙面を閲覧できたのですが平成31年1月より主要紙面のみHPで閲覧可能です)。

 

 隊友の記事によりますと今回、新たに即応予備自衛官の採用対象となるのは予備自衛官補(一般)出身の予備自衛官です。技能公募予備自衛官については残念ながら採用対象には入っていないようです。

 

 任用方法については、一般公募予備自衛官については新隊員前期課程と同等の能力しか付与されていないため、普通科即応予備自衛官の職能として必要な「基本特技」を新たに付与するとの事です。訓練日数については「軽火器」が3年以内に36日、「迫撃砲」が3年以内に39日の訓練を受け「基本特技」を取得しなければならないとのこと。

 

 要するに、「基本特技」は普通科の新隊員後期教育に相当する課程だと考えられます。恐らく「軽火器」についてはナンバー中隊、「迫撃砲」についてはナンバー中隊の迫撃砲小隊か重迫撃砲中隊へ配属を想定しているのでしょう。

 

 記事の内容はこの程度でしたので、

 

訓練は予備自補と同じように5日連続で行われるのか?

「軽火器」と「迫撃砲」は希望により選択できるのか?

訓練は一般部隊で行われるのか、それともコア部隊で行われるか?

 

 等々、未だ不明の部分が多く、また特技取得後も普通科連隊以外の補給大隊や弾薬中隊の即応予備自衛官になれるのかなど、運用面でも疑問点は尽きません。何分始まったばかりの制度ですので、一般公募予備自で興味のある方は招集訓練等で地本の担当者に聞いてみてはと思います。

自衛隊の法令の調べ方

※当記事は一般公開しても支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。

 

 予備自衛官等の制度ついては全て法令にのっとった運用がなされています。

 

 例えば予備自衛官等の手当については「防衛省の職員の給与等に関する法律」、「自衛隊法施行規則」、「防衛省職員給与施行細則」等を根拠として支給されています。

 

 これらの法令や文書等はある程度ネット上で閲覧することができます。特に国家公務員、地方公務員が予備自衛官等に任官する場合、法令上様々な問題が絡んできますので、必要があればこれらのデータベースを活用して頂ければと思います。

 

e-Gov(イーガブ)

 

www.e-gov.go.jp

 

 ネット上における国の情報提供サイトです。e-Gov法令検索サイトでは現在施行されている法令を検索することができます。予備自衛官として特に関係あるのは「自衛隊法」、「自衛隊法施行令」、「自衛隊法施行規則」、「防衛省の職員の給与等に関する法律」あたりでしょうか。

 

 防衛省のホームページでも所管するすべての法律のe-Gov法令検索サイトへのリンクが貼ってあります。一々検索する必要がないので、こちらの方が便利かもしれません。

 

www.mod.go.jp

 

 また、e-Govでは行政文書ファイルの検索も行えます。後で紹介する防衛省情報検索サービスでは検索できない文書も表示されますが、内容の閲覧までは出来ないので詳細を知りたい場合は別途、行政文書開示請求を行わなければなりません。

 

files.e-gov.go.jp

 

 

防衛省情報検索サービス

 

www.clearing.mod.go.jp

 

 「訓令等の検索」から訓令・達・通達等・告示を検索できます。文書の内容も閲覧できますが、全ての文書を網羅しているわけではないでのご注意を。

 

 とは言え、訓令や達の内容まで閲覧できるので結構便利です。予備自制度の実務的な運用方法はこれら訓令等によって規定されていることが多いので、色々と参考になります。本ブログで紹介している訓令等もほとんどがこの情報検索サービスを利用したものですので、調べたい事があるときなどは使えると思います。

即応予備自衛官は実際どんな感じなのか

 ※当記事は一般公開しても支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。

 

 前年10月に即応予備自衛官の任用対象を一般公募出身の予備自衛官にも拡大するという報道がありました。また、採用年齢も平成30年10月より陸士長、1等陸士が50歳未満までに引き上げられています。

 

www.nippon.com

www.mod.go.jp

 

 採用要件の緩和で即自に志願しようかと悩んでいる元自衛官予備自衛官の方もいらっしゃるかもしれませんが、やはり最大のネックは実際に仕事と両立できるのかという点だと思います。また、後方職種出身者や予備自補出身者の中には普通科部隊でやっていけるのか不安で二の足を踏んでいる方もいらっしゃるのかもしれません。

 

 私は5年以上前になりますが即応予備自衛官に任用されていた時期があります。災害派遣の経験はありませんが、招集訓練の日程調整や戦闘職種の部隊の雰囲気というのは概ね分かります。

 

 今回はその経験を元に即応予備自衛官について実際にはどんなものなのか書いていきたいと思います。なお、公表されている情報以外については私の経験を元にした内容ですので、現在は変わっていたり、部隊によって異なっている点があるかもしれませんがその点はご了承ください。また、正確な情報を知りたい方は地本へお問い合わせを。

 

 

 即応予備自衛官について

  即応予備自衛官は非常勤の国家公務員であり、普段は本業に従事しつつ年間30日の訓練を受け、有事の際は招集されて任務に応じます。

 

 予備自衛官と異なる点は、訓練招集が年30日課せられていること、あらかじめ特定の部隊に所属していること、治安招集にも招集義務が課されていること等が挙げられます。

 

 一時期、即応予備自衛官の所属部隊(コア部隊という)は各方面混成団隷下の普通科連隊と普通科直接支援中隊のみとなっていましたが、平成28年度より後方職種のコア部隊として各方面後方支援隊隷下の補給大隊や、弾薬大(中)隊が各地で編成されています。

 

 なお、訓練についてはコア部隊の駐屯地だけでなく他の駐屯地へ出張して行ったりもしています。近くの駐屯地にコア部隊が駐屯していなくても最寄りの駐屯地に訓練のたびに出張で来ている場合もあるので、興味のある方は地本に確認してみましょう。

 

 即自の手当については下記リンクも参照ください。

 

reserve-f.hatenablog.com

 

 訓練について

  即応予備自衛官の訓練招集は年間30日と定められていますが、週末等を利用してできる限り本業に負担がかからないように出頭できるよう配慮されています。具体的な訓練タイプは以下の通り。

 

Aタイプ(2日)×1回  計2日

Bタイプ(2日)×3回  計6日

Cタイプ(2日)×4回  計8日

Dタイプ(4日)×1回  計4日

Eタイプ(3日)×2回  計6日

Fタイプ(4日)×1回  計4日

合計           30日

 

 なお、帯広地方協力本部にコア部隊である第52普通科連隊、第305普通科直接支援中隊の平成31年度訓練招集日程表が掲載されていますので参考にしてください(下記リンク先の一番下辺り)。

 

www.mod.go.jp

 

 千葉地本のホームページによれば補給大隊の即応予備自衛官については普通科と違い、2日間×12回+3日間×2回の計30日となるようです。千葉地本ホームページ以外に情報がないので他の部隊ではどうなのかわかりませんが、興味のある方は地本に確認してみてはいかがでしょうか。

 

www.mod.go.jp

 

 私個人の経験ですが、即応予備自衛官をしていた頃は月に1~2回、2~4日の割合で訓練招集に出頭していた記憶があります。訓練出頭はできるだけ土日祝日に重なるような日程にしていましたが、それでも年間4~5日は即自の為に休暇を取っていたと思います。

 

 また、訓練出頭するとその週の休みがなくなるので人によっては疲れがたまるかもしれません。私も土日の訓練に出て月曜からまた仕事でつらいと思ったことがありますが、そんな時は即自手当の事を考えて乗り切っていました(笑)。

 

部隊の雰囲気について

  予備自衛官即応予備自衛官とでは訓練の雰囲気が全く違います。予備自衛官が「訓練を受けている」という感じだとすれば即応予備自衛官は「部隊の一員として参加している」といった感じでしょうか。ノリもどちらかと言えば現役部隊に近い感じです。陸士に敬語で話しかけたりする陸曹はいません。

 

 当然ですが訓練内容は予備自の訓練に比べて結構負荷がかかります。また、訓練中に現職自衛官の怒号が飛ぶことは当然あります。ただ、他職種から来た人には一からちゃんと教えてくれますので、まじめにやっていればついていけないという事はないと思います。

 

 顔を合わすメンバーも毎回ほぼ同じなので、仲良くなると課業終了後に飲みに行くこともよくあり、現職、即自問わず参加して和気藹々とやっていました(もちろん強制ではありません。全く来ない人もいました)。同じ部隊に所属しているという事もあり、即自同士の団結力は予備自よりだいぶ強いと思います。

 

 全体的に言えば、語弊があるかもしれませんが現職の時よりちょっとゆるい程度と思っていただければと思います。部隊によって多少差はあるでしょうし、今はだいぶ状況が変わっているかもしれませんので、ここら辺の内容についてはあくまで参考程度とお考え下さい。

自衛隊から他職種の公務員になりたい人へ

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 自衛隊の士(兵隊)は3曹に昇任する意思がなければ任期満了か依願退職でやめていくわけですが、再就職先は様々です。自衛隊の援護を使って民間企業に就職する人もいれば専門学校や大学に入学する人もいる。そんな中で他職種の公務員試験を受けて転職する人もまれにいます(私もそんな元自公務員の一人です)。

 

 よく聞くのは公安職の警察官や消防官ですが、これは体力が必要とされたり規律性が重んじられる等、自衛隊との共通点があるという理由によるものではないかと思います。

 

 しかしながら、公務員には公安職以外にも様々な職種が存在しています。そこで今回は自衛官で(もしくは元自衛官で)他職種の公務員に転職したいという方に役立つ情報をいくつかピックアップしたいと思います。

 

 

 

公務員試験の情報収集

 基本的に公務員の採用試験は国を別として各自治体(都道府県・市町村等)ごとに行われます。公務員志望者は働きたい自治体の採用試験情報を見て願書(今はネット申し込み出来たり雛形をホームページからダウンロードできます)を提出したりするわけですが、「絶対にこの自治体(もしくは官庁)に行きたい!」という人でもない限りいくつか併願して受験すると思います。

 

 ただ、国家公務員はともかく、地方公務員は都道府県、市町村、一部事務組合、地方独立行政法人、各自治体の公営企業部門、その他準公務員団体などがそれぞれ試験を実施しており、更に大卒と高卒、あるいは事務職、技術職と専門職で試験時期が違う上に年齢制限も異なるなど、個人でそのすべてを確認しようと思えば膨大な手間がかかります。

 

 そこで頼りになるのが以下の公務員試験情報サイト。両方とも検索機能がついているので、例えば住んでいる都道府県の自治体で高卒の事務職といった条件で探すという事も出来ます。恐らくこの2つのサイトに定期的に目を通していれば取りこぼしは少ないはず。まずは一度ご覧になってみてください。

 

koumuwin.com

comin.tank.jp

 

 ちなみに公務員採用試験において一次試験の学科試験は基本的に土日に行われるのですが、二次試験以降の面接等になると平日に行う官公庁も多くあります。現職自衛官で試験を受けることを所属部隊に秘密にしたい方以外は、あらかじめ部隊と訓練予定等をしっかり調整した方がよいと思います。

 

技術職は狙い目?

 昔ほどではないとはいえ、現在でも事務系公務員の採用試験は高倍率です。一方で技術系(土木、建築、化学、電気など)公務員は低倍率の傾向にあり、土木職などは需要が多い割に志望者が少ないため場所によっては倍率2倍~3倍なんてところが普通にあります(例えば京都府の実績など)。

 

 更に、近年は土木職の受験資格に学歴条件(高校や大学の土木科出身等)を設けていない自治体も増えてきていますので技術系以外の学校を卒業している方でもチャンスはあります。自衛隊で施設科などの仕事をしていたなら、志望動機も説得力が持たせられるでしょう。もちろん、学科試験に専門知識を問うところがほとんどですので勉強は必要ですが。

 

 他の分野の技術職についても倍率だけ見れば事務職よりハードルは低いので、技術系の学科出身の方や、職種にこだわらずとにかく公務員になりたいという方は挑戦してみるのもありです。

 

技能労務職も狙い目。ただし他の職種と賃金格差も

 技能労務職とは、公務員の中でも清掃作業員、公営バス運転手、調理師、校務員、看護助手、守衛など単純な労務に雇用される一般職の職員を指します。多くの官公庁では事務職や技術職とは採用試験も別で、業務内容も定型的なものが殆どを占めます。因みに国家公務員の労務職の場合は募集要項に行政職俸給表(二)が適応されると書かれています。

 

 官公庁業務のアウトソーシングが進んだ現在、業務委託によって技能労務職が削減されているところも多いのですが、自治体によっては技能労務職の採用を続けているところもまだあります。

 

 いわゆる役所の中のブルーカラー職種ですので、事務職ほどの人気はありません。試験内容も簡単(高卒程度)なので、現場仕事が好きで公務員でも現場で働きたい方は目指してみるのもよいかと思います。残業もそれほどないとは聞きますが、部署によっては力仕事だったりシフト制で夜間勤務につかなければならない所もあるとか。まぁ、自衛隊警衛やら検閲やら経験していれば苦にはならないでしょうが。

 

 ただ、技能労務職は多くの自治体で事務職や技術職とは別の給料表(自衛隊で言うところの自衛官俸給表)が適用されており、他職種よりも賃金が低く設定されています。つまり生涯賃金が行政職に比べてだいぶ低くなる可能性もあるわけで、そこは注意が必要です。実際にどれぐらいもらえるかは志望先の給与表を確認してみればある程度分かります。

 

学科は自信があれば独学でも可、ただし面接練習は予備校で

  公務員試験も多様化した現在、社会人経験者採用試験では学科試験を行わないところも増えてきましたが、殆どの自治体は一次試験で学科試験を課しています。問題の難易度は高卒区分、大卒区分、また事務系か技術系か等によって変わってきますし、SPIを導入している地方自治体も少しづつ増えてきていますがいずれにしろ勉強が必要なことには変わりありません。

 

 公務員試験の勉強は基本的に公務員予備校に通うのが一番効率的ですが、金銭面や居住地の問題、仕事の都合で無理という人もいるかと思います。昨今は公務員予備校でも通信制講座があったりしますが、もし勉強に自信があるという方は参考書と問題集だけ買って独学で挑戦してみるのも手かと思います。

 

 ただし、予備校に通うと試験情報の提供や、志望理由の書き方、勉強方法のアドバイスが受けられるので色々と有利ではあります。また面接試験対策は公務員予備校で受けた方が絶対良いです。実は公務員予備校を受講する最大のメリットはこの面接対策にあるといっても過言ではありません。

 

 大手の予備校では学科受講生には何回でも面接練習をしてくれるところがほとんどですし、他の受験者の受験内容報告レポートを提供してくれるサービスもあります。実際問題、面接練習は一人でやるには限界があります。予備校の面接練習ではプロの目によって評価を受けられるので、するとしないでは全然合格率が変わってきます。面接練習のみ受けられるところもありますので、面接で失敗して後悔するよりも多少お金を使ってでも面接練習を受けることをお勧めします。

予備自衛官が防衛招集されたらどれぐらいの期間になるのか?

※当記事は一般公開しても支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。

 

 予備自衛官即応予備自衛官の招集については以下の5種類があります。

 

防衛招集

国民保護等招集

治安招集(即応予備自衛官のみ)

災害等招集

訓練招集

 

 この内、訓練招集については予備自衛官が年5日(正確には年20日以内)、即応予備自衛官が年30日と決まっています。また災害等招集についてはおおむね1週間から2週間の期間で行われているようです。招集命令書の発するに当たっては事前に防衛省側から意向確認もなされるようで、もし出頭できない事情があれば断ることも出来るとのこと。

 

 それでは、防衛招集命令が発せられた場合、予備自衛官の招集期間はどれぐらいになるのでしょうか? いざ有事(戦争)となれば規模(島嶼での局地戦か、全面戦争による国家滅亡の危機か)にもよりますが、いくら短くとも数カ月、場合によっては年単位で戦闘が続くと考えられます。当然、即応予備自衛官はもとより、予備自衛官にも招集がかかるでしょう。

 

 まず、防衛招集の場合、自衛隊法第百十九条で「正当な理由がなくて指定された日から三日を過ぎてなお指定された場所に出頭しないもの」については「三年以下の懲役又は禁錮に処する。」と定めているため、刑務所に入る覚悟でもない限り予備自衛官即応予備自衛官は出頭を拒否できません(即応予備自衛官は治安招集命令についても同様の罰則が科されます。ついでに言うと、国民保護等招集、災害等招集については罰則無しですが、訓令等に基づく免職処分の対象となりうることに注意)。

 

 恐らく現段階では防衛省も、有事に予備自衛官をどれぐらいの期間で招集するかまでは考えていないと思われますが、法令上は予備自衛官を招集できる期間について定められています。

 

自衛隊

(退職の承認)

第四十条 第三十一条第一項の規定により隊員の退職について権限を有する者は、隊員が退職することを申し出た場合において、これを承認することが自衛隊の任務の遂行に著しい支障を及ぼすと認めるときは、その退職について政令で定める特別の事由がある場合を除いては、任用期間を定めて任用されている陸士長等、海士長等又は空士長等にあつてはその任用期間内において必要な期間、その他の隊員にあつては自衛隊の任務を遂行するため最少限度必要とされる期間その退職を承認しないことができる。

 

(任用期間及びその延長)

第六十八条 前条第一項又は第二項の規定により予備自衛官に任用された者の任用期間は、任用の日から起算して三年とする。

2 防衛大臣は、予備自衛官(第七十条第一項各号の規定による招集命令を受け、同条第三項の規定により自衛官となつている者を含む。)がその任用期間が満了した場合において、志願をしたときは、引き続き三年を任用期間として、これを予備自衛官に任用することができる。この場合における任用期間の起算日は、引き続いて任用された日とする。

3 防衛大臣は、予備自衛官が第七十条第一項各号の規定による招集命令を受け、同条第三項の規定により自衛官となつている場合において、当該自衛官予備自衛官としての任用期間が満了したことにより退職することが自衛隊の任務の遂行に重大な支障を及ぼすと認めるときは、当該自衛官が第七十六条第一項の規定による防衛出動を命ぜられている場合にあつては一年以内の期間を限り、その他の場合にあつては六月以内の期間を限り、その者の任用期間を延長することができる。

 

(防衛招集、国民保護等招集及び災害招集)

第七十条 防衛大臣は、次の各号に掲げる場合には、内閣総理大臣の承認を得て、予備自衛官に対し、当該各号に定める招集命令書による招集命令を発することができる。

(中略)

3 第一項各号の招集命令により招集された予備自衛官は、辞令を発せられることなく、招集に応じて出頭した日をもつて、現に指定されている階級の自衛官となるものとする。この場合において、当該自衛官の員数は、防衛省の職員の定員外とする。

4 前項本文の場合においては、当該自衛官の任用期間は、第三十六条の規定にかかわらず、その者の予備自衛官としての任用期間によるものとし、当該自衛官については、第四十五条第一項の定年に関する規定は、適用しない。

(中略)

9 第六十八条第三項の規定により任用期間が延長されていた自衛官が招集を解除された場合においては、招集の解除の日をもつて予備自衛官の任用期間が満了したものとする。

 

 

 なお、これら予備自に係る規定は即応予備自衛官についても第七十条第三項を除き(即自については第七十五条の四第3項で別途同様の規定がされている)準用されます。

 

 防衛省が条文をどう解釈、運用するかにもよりますが、防衛招集された場合の最大招集期間は予備自の残任期に加えて1年間(六十八条第三項による1年の延長)となります。つまり、任期継続した直後に防衛招集された場合は予備自の任期3年プラス1年で最大4年間招集される可能性があるという事になります。もちろん、任期継続を希望すれば招集期間も延長されるでしょう。

 

 現実には4年間も続くような戦争に日本が巻き込まれることはないでしょうが、数カ月~1年程度の招集は当然に考えられる事態ですし、法令上はそれだけの期間、予備自衛官を招集することが可能です。

 

 そこで予備自衛官にとって気になるのは、長期の招集になった場合に現在の仕事はどうするのかという点です。招集されている間は休職扱いにして、招集解除後にまた戻って仕事をさせてくれるような会社ならありがたいのですが、少なからぬ企業で「すまないが辞めてくれ」という話になるのではないでしょうか。雇用企業協力確保給付金制度があるとはいえ、従業員が招集されてしまえば新たに人を雇わないといけないし、招集解除されて帰って来たらどう扱うかという問題(余剰の人員を抱えることになる)も発生します。

 

 更にこれがイラク戦争時の米軍予備役や州兵のように、同一人物が繰り返し召集されるような事態になると、予備自衛官の人生設計自体が崩壊しかねません。

 

 自衛隊法七十三条第二項は、「すべて使用者は、被用者が予備自衛官であること又は予備自衛官になろうとしたことを理由として、その者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をしてはならない。」と定めておりますが、長期招集される従業員を解雇することが七十三条違反になるのか事例も判例もありませんので、何とも言えないところです。何より罰則のない条文ですので実効性があるかどうかも微妙。

 

 即応予備自衛官災害派遣されるようになって雇用企業協力確保給付金制度や、その他各種支援制度が整えられていったのと同じように、予備自衛官が有事に招集されるような事態にならないとこの問題も進展しないのかもしれません。

 

 ただ、今のまま有事に突入すれば、招集解除後に貧困化する予備自衛官が大量に生み出される結果にもなりかねません。適切な行政、立法措置等が望まれますが、道は長そうです。

 

 ちなみに防衛招集、治安招集は出頭しなければ罰則があると書きましたが、以下の通り条件付きで招集命令の取り消し、猶予、解除が認められる場合があります。万が一のために頭の片隅に入れておけば損はないと思います。

 

自衛隊

第七十条第5項 第一項各号の規定による招集命令を受けた予備自衛官が心身の故障その他真にやむを得ない事由により指定の日時に、指定の場所に出頭することができない旨を申し出た場合又は招集に応じて出頭した予備自衛官についてこれらの事由があると認める場合においては、防衛大臣は、政令で定めるところにより、招集命令を取り消し、又は招集を猶予し、若しくは解除することができる。

 

自衛隊法施行令

(防衛招集命令、国民保護等招集命令及び災害招集命令の取消し等)

第八十八条 法第七十条第一項各号の規定による招集命令を受けた予備自衛官は、次の各号のいずれかに掲げる事由により招集に応ずることができない場合には、直ちに防衛大臣の定める様式による申出書に市町村長の証明書(第一号に掲げる事由によるもの、第二号中配偶者若しくは一親等の血族の負傷若しくは疾病によるもの又は第三号に掲げる事由によるものにあつては、病名、負傷の程度、負傷又は疾病の原因、病後の経過、治癒の見込みその他参考となる所見を記載した医師の診断書及び市町村長の証明書)を添えて防衛大臣に申し出なければならない。

一 心身に故障を生じたとき。

二 配偶者又は一親等の血族が死亡し、又は負傷若しくは疾病により重態であるとき。

三 同居の親族が負傷又は疾病により重態であつて、当該予備自衛官以外にその看護をする者がないとき。

四 親族が死亡し、又は住居が滅失し、若しくは重大な災害をこうむつた場合において、当該予備自衛官以外にその後始末をする者がないとき。

 

予備自衛官等関連資料 予備自衛官の任免等細部取扱いに関する達(昭和46年3月24日陸上自衛隊達第21―9号)(抜粋)

※現在は制度が大幅に変わっているため、最新の情報については防衛省ホームページ等で確認されたい。こちらの記事も参照

 

解説

 

  予備自衛官の任免、服務、服装等に関する訓令(昭和37年防衛庁訓令第1号)に基づき予備自衛官の任免について定めた達。全文を読みたい方は、例によって防衛省情報検索サービスを利用されたい。

 

 特に注目したいのが別表第1。予備自衛官補(技能)が予備自衛官に任官した場合の指定階級について、各資格ごとにまとめられている。また、別表第7では指定される特技(MOS)についても定められている。予備自衛官(技能)で任官したときにどの階級になるのか興味のある方は参考とされたい。はてなブログの仕様上、表の書式が元データと一部異なっているがご容赦を。なお、内容は投稿日時点のもの。

 

以下抜粋。

 

予備自衛官補から任用される予備自衛官の階級の指定)

第5条の2 訓令第7条の2に定める予備自衛官補(技能)から任用する予備自衛官の階級については、技能並びに知識の種類及び程度に応じて、予備自衛官補からの任用階級表(別紙第1)により指定する。

 

(職種の指定)

第17条 訓令第9条の規定に基づく予備自衛官の職種の指定は、担当地方協力本部長が実施するものとし、当該予備自衛官について自衛官を退職するときに指定されていた職種を指定するものとする。ただし、退職するときに職種を指定されていない場合は、普通科を指定するものとする。

2 前項の規定にかかわらず、当該予備自衛官海上自衛隊又は航空自衛隊自衛官であった場合には、相当の職種を指定することができる。

3 第1項の規定にかかわらず、予備自衛官補から任用された予備自衛官の場合は、次の各号のとおりとする。

(1)予備自衛官補(一般)から任用された予備自衛官は、担当地方協力本部長が普通科を指定するものとする。

(2)予備自衛官補(技能)から任用された予備自衛官は、保有する技能及び知識の種類に応ずる職種を指定するものとする。この場合において、幹部の階級を指定される予備自衛官にあっては陸上幕僚長が、准陸尉及び陸曹の階級を指定される予備自衛官にあっては担当地方協力本部長が、指定するものとする。また、技能及び知識の種類に応ずる職種を指定することができない場合は、普通科を指定するものとする。

 

(特技の指定)

第18条 前条の規定は、訓令第9条の規定に基づく予備自衛官の特技区分の指定に準用する。ただし、当該予備自衛官海上自衛隊又は航空自衛隊自衛官であった場合には、特技を指定しないことができる。

2 予備自衛官補から任用された予備自衛官の特技の指定については、次の各号のとおりとする。

(1)予備自衛官補(一般) 特技は指定しない。

(2)予備自衛官補(技能) 保有する技能並びに知識の種類及び程度に応じて、予備自衛官補からの特技指定表(別紙第7)により指定する。

(3)前号において、幹部の階級を指定される予備自衛官にあっては陸上幕僚長が、准陸尉及び陸曹の階級を指定される予備自衛官にあっては担当地方協力本部長が指定するものとする。

3 予備自衛官採用後現に指定されている特技(第1項ただし書の規定により特技を指定されていない場合を含む。)以外の資格要件を保有するに至った場合には、准陸尉、陸曹及び陸士の予備自衛官にあっては担当地方協力本部長が、幹部の予備自衛官にあっては陸上幕僚長が、該当する特技を指定するものとする。 

 

別紙第1(第5条の2関係)

予備自衛官補からの任用階級表

1 予備自衛官補(技能・甲)からの任用者

 

任用階級

2等陸佐

3等陸佐

1等陸尉

2等陸尉

3等陸尉

陸曹長

技能区分

 

種類

医療

医師

実務経験19年以上

実務経験12年以上

実務経験5年以上

実務経験1年以上

実務経験1年未満

 

歯科医師

実務経験19年以上

実務経験12年以上

実務経験5年以上

実務経験1年以上

実務経験1年未満

 

薬剤師

実務経験35年以上

実務経験16年以上

実務経験9年以上

実務経験5年以上

実務経験1年以上

実務経験1年未満

臨床心理士

実務経験35年以上

実務経験16年以上

実務経験9年以上

実務経験5年以上

実務経験1年以上

実務経験1年未満

法務

弁護士

実務経験19年以上

実務経験12年以上

実務経験5年以上

実務経験1年以上

実務経験1年未満

 

司法書士

実務経験35年以上

実務経験16年以上

実務経験9年以上

実務経験5年以上

実務経験1年以上

実務経験1年未満

 

2 予備自衛官補(技能・乙)の任用者

 

任用階級

陸曹長

1等陸曹

2等陸曹

3等陸曹

技能区分

 

種類

医療

 

 

右記の資格を有する者で49歳以上かつ実務経験おおむね18年以上の者

理学療法士

作業療法士

診療放射線技師

臨床検査技師

看護師

救急救命士准看護師

栄養士

 

准看護師

 

 

 

准看護師

歯科技工士

 

 

右記の資格を有する者で53歳以上かつ実務経験おおむね22年以上の者

 

右記の資格を有する者で44歳以上かつ実務経験おおむね13年以上の者

歯科技工士

語学

英語検定1級程度

 

右記の資格を有する者で49歳以上かつ実務経験おおむね18年以上の者

外国語大学等卒業者又は実用英語技能検定1級若しくはこれと同等の能力を有する者

 

英語検定準一級程度

 

 

 

外国語短期大学等卒業者又は実用英語技能検定準1級若しくはこれと同等の能力を有する者 

ロシア語

中国語

韓国語

アラビア語

フランス語

ポルトガル語

スペイン語

大学卒業程度

 

右記の資格を有する者で49歳以上かつ実務経験おおむね18年以上の者

外国語大学等卒業者又はこれと同等の 能力を有する者

 

ロシア語

中国語

韓国語

アラビア語

フランス語

ポルトガル語

スペイン語

短大卒業程度 

 

 

 

外国語短期大学等卒業者又はこれと同等の能力を有する者

整備

1級大型自動車整備士

1級小型自動車整備士

1級二輪自動車整備士

 

1級大型自動車整備士

1級小型自動車整備士

1級二輪自動車整備士

 

 

2級ガソリン自動車整備士

2級ジーゼル自動車整備士

2級二輪自動車整備士

 

 

2級ガソリン自動車整備士

2級ジーゼル自動車整備士

2級二輪自動車整備士

 

情報処理

システムアナリスト プロジェクトマネージャ

アプリケーションエンジニア

システム運用管理エンジニア

テクニカルエンジニア(システム管理)

システム監査技術者

ITストラテジスト

システムアーキテクト

ITサービスマネージャ

システムアナリスト

プロジェクトマネージャ

アプリケーションエンジニア

システム運用管理エンジニア

テクニカルエンジニア(システム管理)

システム監査技術者

ITストラテジスト

システムアーキテクト

ITサービスマネージャ

 

 

 

 

プロダクションエンジニア

ネットワークスペシャリスト

テクニカルエンジニア (ネットワーク)

データベーススペシャリスト

テクニカルエンジニア (データベース)

第1種情報処理技術者

ソフトウェア開発技術者

テクニカルエンジニア (エンベデッドシステム)

情報セキュリティアドミニストレータ

テクニカルエンジニア (情報セキュリティ)

上級システムアドミニストレータ

応用情報技術者

エンベデッドシステムスペシャリスト

情報セキュリティスペシャリスト

 

プロダクションエンジニア

ネットワークスペシャリスト

テクニカルエンジニア (ネットワーク)

データベーススペシャリスト

テクニカルエンジニア (データベース)

第1種情報処理技術者

ソフトウェア開発技術者

テクニカルエンジニア (エンベデッドシステム)

情報セキュリティアドミニストレータ

テクニカルエンジニア (情報セキュリティ)

上級システムアドミニストレータ

応用情報技術者

エンベデッドシステムスペシャリスト

情報セキュリティスペシャリスト

 

 

第2種情報処理技術者

基本情報技術者

 

 

右記の資格を有する者で44歳以上かつ実務経験おおむね13年以上の者

第2種情報処理技術者

基本情報技術者

通信

第1級陸上無線技術士

第1級総合無線通信士

 

第1級陸上無線技術士

第1級総合無線通信士

 

 

第2級陸上無線技術士

第2級総合無線通信士

 

 

第2級陸上無線技術士

第2級総合無線通信士

 

第3級総合無線通信士

 

 

 

第3級総合無線通信士

アナログ第1種工事担任者

デジタル第1種工事担任者

アナログ・デジタル総合種工事担任者

AI第1種工事担当者

DD第1種工事担当者

AI・DD総合種工事担当者

 

右記の資格を有する者で49歳以上かつ実務経験おおむね18年以上の者

アナログ第1種工事担任者

デジタル第1種工事担任者

アナログ・デジタル総合種工事担任者

AI第1種工事担当者

DD第1種工事担当者

AI・DD総合種工事担当者

 

電気

第1種電気主任技術者

 

第1種電気主任技術者

 

 

第2種電気主任技術者

 

 

第2種電気主任技術者

 

第3種電気主任技術者

 

 

 

第3種電気主任技術者

建築

1級建築士

1級建築士

 

 

 

2級建築士

 

右記の資格を有する者で49歳以上かつ実務経験おおむね18年以上の者

2級建築士

 

1級建築施工管理技士

 

1級建築施工管理技士

 

 

2級建築施工管理技士

 

 

右記の資格を有する者で44歳以上かつ実務経験おおむね13年以上の者

2級建築施工管理技士

1級土木施工管理技士

 

1級土木施工管理技士

 

 

2級土木施工管理技士

 

 

右記の資格を有する者で44歳以上かつ実務経験おおむね13年以上の者

2級土木施工管理技士

1級管工事施工管理技士

 

1級管工事施工管理技士

 

 

2級管工事施工管理技士

 

 

右記の資格を有する者で44歳以上かつ実務経験おおむね13年以上の者

2級管工事施工管理技士

1級建設機械施工技士

 

1級建設機械施工技士

 

 

2級建設機械施工技士

 

 

右記の資格を有する者で44歳以上かつ実務経験おおむね13年以上の者

2級建設機械施工技士

測量士

 

右記の資格を有する者で49歳以上かつ実務経験おおむね18年以上の者

測量士

 

測量士補

 

 

 

測量士補

木造建築士

 

 

右記の資格を有する者で44歳以上かつ実務経験おおむね13年以上の者

木造建築士

放射線管理

第1種放射線取扱主任者

 

第1種放射線取扱主任者

 

 

第2種放射線取扱主任者

 

 

 

右記の資格を有する者で44歳以上 かつ実務経験おおむね13年以上の者

第2種放射線取扱主任者

予備自衛官で官公庁にメリットはあるのか?

※当記事は一般公開しても支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。

 

 以前、公務員は兼業許可さえ得ることができれば予備自衛官等に任官することが可能と書きました。

reserve-f.hatenablog.com

 

 それでは、官公庁が職員の予備自衛官等任官を認めると何かメリットがあるのでしょうか?

 

 実は、金銭面については何にもありません。

 

 詳細は以前の記事を見てもらえればわかると思いますが、簡単に説明すると以下の通り。

 

即応予備自衛官雇用企業給付金制度

→官公庁(正確には「国、地方公共団体その他防衛省令で定めるこれらに準ずる者」。以下同)は対象外。

 

雇用企業協力確保給付金制度

→官公庁は対象外。

 

 つまり職員に即応予備自衛官がいても企業給付金はもらえないし、予備自衛官が訓練招集で負傷して入院したり、有事に防衛招集されても補償すら受けられないという事。

 

 では、その他に何かメリットのある支援制度があるのかというと…。

 

総合評価落札方式における予備自衛官の評価

→そもそも官公庁は発注者側なのでメリットはない。

 

予備自衛官等協力事業所表示制度

→官公庁にとって利用するメリットが薄い。

 

雇用主に対する情報提供制度

→便利と言えば便利だが、そもそも従業員の中に多数の予備自衛官を抱えている企業(大手警備会社とか)にとってメリットが大きい制度である。官公庁にそれほど利点はない。

 

 …という有様で、身も蓋もない言い方をすれば、官公庁にとっての予備自衛官等制度というのは「負担ばかりで民間企業ならば受けられるはずの給付金や補償すら受けられない制度」(まぁ、軍の予備役制度というのは本来そういうものなんですが)となっております。

 

 防衛省からすれば、給付金の本旨は予備自衛官の訓練や招集で営利企業が負う負担を軽減するという意味合いなので、営利を目的としない官公庁は給付金の対象ではないという考え方なのでしょうが、それならば独立採算制の非公務員型地方独立行政法人地方公営企業ぐらいは支給対象でも良いでのはないかと。

 

 公務員の予備自衛官が1300人(平成24年度と少し古いデータですが)もいるのですから、もう少し何とかならないものかと思います。

 

 そこで、防衛省の支援制度以外で官公庁にとって職員が予備自衛官をやるメリットを2つほど挙げてみました。

 

現場の予備自衛官との交流

 災害発生時には国家公務員、地方公務員問わず自衛隊災害派遣部隊と連携の元、業務に取り組む場面が出てきます。しかしながら、現在、一般の公務員が第一線部隊の自衛官と接することのできる場所は非常に限られてます。そこで、予備自衛官として訓練を受けることにより、部隊の自衛官と顔の見える関係を構築し、有事の際に生かすことができるようになるでしょう。特に地方公務員にとっては、勤務する自治体を警備隊区とする部隊は防災訓練等で日常的にも接点があるので、メリットはより大きくなると思われます。

 

スキルアップの場としての活用

 予備自衛官等の訓練においては災害用の人命救助システムの操作や、心肺蘇生法等の課目等、様々な内容が含まれています。普段と異なる環境下で訓練を受けることによって、新たな着眼点の発見や、これまでになかった発想が生まれるなど、職場の活性化が期待できる点は多々あります。また、訓練の一環として都道府県レベルの総合防災訓練への参加や、災害派遣経験のある隊員から様々なノウハウを学ぶ機会もあり、官公庁職員としての危機管理能力の向上も見込まれます。南海トラフ地震東海地震等、防災の重要性が国、地方自治体問わず叫ばれる現在、予備自衛官は職員のスキルアップの場としても活用できます。

 

 防衛省の予備自ホームページには、予備自衛官を雇用するメリットについて

 

 予備自衛官は、自衛隊で培った規律心や責任感等を職場に活かし、協調性や実行力をもって日々の業務にあたります。また、毎年の訓練に参加することで、これらの資質を磨き、維持しますので、企業における人材育成にも役立ちます。

 

 予備自衛官を雇用してくださることは、企業として「国防への貢献」「地域社会への貢献」を果たすことになり、イメージアップ・PRにつながります。また、予備自衛官の存在が、職場の活性化に結びつき、予備自衛官の定期的な訓練への参加は、社員の健康管理・社員教育にも資することとなるでしょう。

 

と紹介されていましたが、抽象的すぎるので公務員として具体的なメリットを出来るだけ入れて書いてみました。もし公務員で予備自衛官をやりたいと考えている方がいましたら、上司を説得するときにでも参考材料にしていただければと思います。