予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

予備自衛官等関連資料 労働基準法関係解釈例規について(昭和63年3月14日基発第150号)(抜粋)

解説

 労働基準法の解釈について労働省(現厚生労働省)から出された通達。

 

 労働基準法では「公の職務」について労働者が労働時間中に必要な請求をした場合、使用者は拒んではならないとしている。「公の職務」とは選挙権の行使、裁判員、国会参考人等を指す。

 

労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)

公民権行使の保障)

第七条 使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。

 

 労働基準法については、一般職の国家公務員には適用されないが、地方公務員は一部適用され(地方公務員法第五十八条の3)、労働基準法第七条も地方公務員に適用対象である。

 

 ここで疑問となるのが予備自衛官等は「公の職務」に含まれるのかという点である。この通達では予備自衛官の防衛招集、訓練招集は労働基準法第七条の「公の職務」には該当しないとされている。「国又は地方公共団体の公務に民意を反映してその適正を図る職務」、「国又は地方公共団体の公務の公正妥当な執行を図る職務」、「地方公共団体の公務の適正な執行を監視するための職務」等が第七条の規定する「公の職務」であり、予備自衛官のような「単に労務の提供を主たる目的とする職務」は「公の職務」に含まれないという解釈である。

 

 なお、通達の全文は全国労働安全衛生センター連絡会議のホームページから閲覧可能(リンク先の一番下)。ただし、法令の改正により現在では通達の内容が変更されている箇所もあるので注意。

 

以下抜粋。

 

<公の職務>

 本条の「公の職務」とは、法令に根拠を有するものに限られるが、法令に基づく公の職務のすべてをいうものではなく、①国又は地方公共団体の公務に民意を反映してその適正を図る職務、例えば、衆議院議員その他の議員、労働委員会の委員、陪審員、検察審査員、労働審判員、裁判員、法令に基づいて設置される審議会の委員等の職務②国又は地方公共団体の公務の公正妥当な執行を図る職務、例えば、民事訴訟法第二七一条による証人・労働委員会の証人等の職務③地方公共団体の公務の適正な執行を監視するための職務、例えば、公職選挙法第三八条第一項の選挙立会人等の職務等をいうものである。

 なお、単に労務の提供を主たる目的とする職務は本条の「公の職務」には含まれず、したがって予備自衛官自衛隊法第七〇条の規定による防衛招集又は同法第七一条の規定による訓練招集に応ずる等は「公の職務」には該当しない。〔昭和六三年・三・一四基発一五〇号〕