技能労務職の公務員採用試験について
少し前に兵庫県宝塚市が氷河期世代を対象とした公務員試験(応募資格35歳から45歳まで)を実施するという事で話題になりました。一般的に事務系公務員の受験年齢上限は30歳以下であることが多く、それ以上の年齢となると社会人経験者を対象とした採用試験を受験するしかなくなります。
一方で公務員試験では社会人経験者採用試験以外にも受験年齢上限を比較的高めに設定している区分が存在します。技能労務職の採用試験もその内の1つで、俗に現業と言われる職員になります。職務内容としてはごみ清掃員、運転手、学校用務員、調理員など(自治体によって異なります)、事務仕事よりも主に現場作業に従事する職員です。
現在、技能労務職の従事していた業務は民間委託化が進み、技能労務職の人数は昔に比べれば大幅に減っていますがそれでも採用を続けている自治体は多くあります。
受験年齢は自治体にもよりますが35歳ぐらいまでのところも多く、高いところだと40歳ぐらいまで受けられます。ただし、職種によっては大型免許や調理師免許等を持っていないと受けられないことがありますのでその点は注意が必要です。
↓八王子市(生活環境職)の例(募集期間はすでに終了しています)
現場仕事を主とするいわばブルーカラー的な職種ですので事務系の公務員程人気はなく、倍率もそこまで高くありません。定型的な仕事をこなしていくのが向いているという方や、ぶっちゃけ公務員になることができれば何でもいいという方にはお勧めです。
試験内容はおおむね学科試験と作文、体力測定と面接で、2次試験で合否が決まるところが多いです。事務職みたいにプレゼンテーション試験や3次面接を課しているところはほとんどありません。学科試験といってもそこまで難しくはなく、高卒事務職と自衛官候補生の中間ぐらいの難易度でしょうか。勉強方法としては地方初級公務員試験を受けるつもりで取り組めば何とかなるでしょう。地方上級に向けて勉強している人ならば8割ぐらいは余裕で取れるのではないかと思います。
作文についても論文試験のような政策提案を行うものではなく、例えば「あなたがこれまで一番頑張ったこと」のような自身の経験に基づいて記述するものです(勿論、対策は必要ですが)。
体力測定については自治体によって種目は異なりますが、腹筋、背筋、握力、長座体前屈は実施されることが多く、その他には反復横跳びやシャトルラン等も課される自治体もあるようです。特に腹筋については試験1週間前からでも少しづつやっていけばだいぶ違いますので、頑張ってみましょう。当たり前ですが試験前日にいきなり腹筋を始めて試験当日に筋肉痛みたいなことにはならないようにご注意ください。
面接についても聞かれるのは一般的なことですが、ここは場慣れするためにも公務員予備校の面接対策講座等を受けることをお勧めします。
最後に、技能労務職の勤務条件ですが給与については多くの自治体で行政職とは別の給与体系となっているため、だいぶ安くなっています(上記八王子市の例では採用時18歳で164,450円、40歳職歴加算ありでも235,870円)。昇給しても給与の天井が30万円台で打ち止めという自治体もありますので、採用試験を受けようと思っている方はその点も踏まえて志望してください。
その代わり定型的な業務に従事するため残業はほとんど発生しないと思います。ただし、浄水場や排水処理施設などで勤務する場合、シフト制や夜勤になる場合もあります。
自治体によっては技能労務職から試験を経て事務職や技術職に任用替えする制度があるところもありますが、民間委託化で業務自体が消滅した場合は強制的に事務職等に任用替えさせられる場合もあるようです。この場合、現場仕事から全く畑違いの事務仕事へと職場が変わるので結構きついみたいです。
志望する方はこれらのメリット、デメリットを考えて、判断して頂ければと思います。