予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

予備自衛官等関連資料 予備自衛官等を兼ねる国家公務員等が訓練招集等に応じた場合の勤務先である所轄庁の取扱いについて(通知)(令和元年7月24日防人育第4666号)

解説

 

 国家公務員又は地方公務員が訓練招集や防衛招集等に応じる場合にどのような取扱いになるか周知するもの。なお、書式については、はてなブログの仕様上、原本と異なる部分もあるのでご了承願いたい。

 本通知については防衛省情報検索サービスでは閲覧できないため、防衛省に行政文書開示請求を行わなければならない。申請からコピーが送付されてくるのに1ヶ月半ぐらいかかるので、必要な方は早めの対応を。

 

 訓練招集等に関して国家公務員については職員の兼業の許可に関する政令(昭和41年政令第15条)第2条の規定に基づき、その許可の範囲内で職務専念義務の免除が可能となる。

 

(職務専念義務の免除)

第2条 職員は、兼業の許可が与えられたときは、その許可の範囲内で、その割り振られた正規の勤務時間の一部をさくことができる。

 

 また地方公務員については地方公務員法(昭和25年法律第261号)第24条第4項の規定に基づき給与、勤務時間その他の勤務条件の根本基準により国に準じた扱いをしなければならないとされているため、地方自治体の長の裁量にはよるものの、国家公務員と同様に職務専念義務の免除が基本であると考えられる。

 

(給与、勤務時間その他の勤務条件の根本基準)

第24条 職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない。

(中略)

4 職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当つては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。

 

 なお、この際問題となるのは兼業の許可範囲である。例えば「年5日の訓練招集(予備自衛官の場合)」について兼業許可を得ている場合は、その許可の範囲内で職務専念義務の免除が可能であるので、有事に防衛招集される際は改めて「防衛招集」の兼業申請をした上で職務専念義務を免除されなければならないということだろうか? という事は、平時に兼業許可申請を出す段階で予め許可範囲の文言を「訓練招集及び防衛招集、災害招集」等としておいた方がいいのかもしれない。

 

 何はともあれ公務員が訓練招集や防衛招集で職務専念義務免除を使える法的根拠があるというのは非常に心強いものである。

 

 あとは、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律(平成25年法律第110号)第10条のような規定を予備自衛官についても定めてもらえれば、公務員が予備自衛官を兼職する上でのハードルはほぼなくなるのだが・・・。

 

(公務員の消防団員との兼職に関する特例)

第10条 一般職の国家公務員又は一般職の地方公務員から報酬を得て非常勤の消防団員と兼職することを認めるよう求められた場合には、任命権者(法令に基づき国家公務員法(昭和22年法律第120号)第104条の許可又は地方公務員法(昭和25年法律第261号)第38条第1項の許可の権限を有する者をいう。第3項において同じ。)は、職務の遂行に著しい支障があるときを除き、これを認めなければならない。

2 前項の規定により消防団員との兼職が認められた場合には、国家公務員法第104条の許可又は地方公務員法第38条第1項の許可を要しない。

3 国及び地方公共団体は、第1項の求め又は同項の規定により認められた消防団員との兼職に係る職務に専念する義務の免除に関し、消防団の活動の充実強化を図る観点からその任命権者等(任命権者及び職務に専念する義務の免除に関する権限を有する者をいう。)により柔軟かつ弾力的な取扱いがなされるよう、必要な措置を講ずるものとする。

 

以下参照

 

防人育第4666号

令和元年7月24日

 

陸上幕僚長

海上幕僚長 殿

航空幕僚長

 

人事教育局長

(公印省略)

 

予備自衛官等を兼ねる国家公務員等が訓練招集等に応じた場合の勤務先である所轄庁の取扱いについて(通知)

 

 標記について、下記のとおり周知徹底されたい。

 

 

1 趣旨

 予備自衛官即応予備自衛官及び予備自衛官補(以下「予備自衛官等」という。)を兼ねる国家公務員又は地方公務員(以下「国家公務員等」という。)が、少なからず存在しており、予備自衛官制度の一端を担っているところ。近年は、平成28年熊本地震以降、即応予備自衛官災害派遣招集が続き、大規模災害発生時においては、即応予備自衛官のみならず予備自衛官も視野に入れた招集が見込まれ、その際は、招集期間も長期に及ぶことが予想される。

 以上のことから、予備自衛官等を兼ねる国家公務員等及び予備自衛官業務を担当する者に対して、改めて招集等に応じた場合の勤務先である所轄庁を離れる際の取扱いについて制度上の主旨に齟齬のないよう周知するものである。

 

2 訓練招集等に応じた場合の勤務先である所轄庁を離れる際の取扱い

 国家公務員が予備自衛官等に官し、訓練招集等に応じることは、国家公務員法(昭和22年法律第120号)第104条の規定に基づく他の事業又は事務の関与制限に該当することとなり、勤務先である所轄庁の長の許可(兼業・兼職の許可)を得ることが必要である。予備自衛官が訓練招集等に応じ、勤務先である所轄庁を離れる際の取扱いは、職員の兼業の許可に関する政令(昭和41年政令第15号)(以下政令という。)第2条の規定に基づき、その許可の範囲内で職務専念義務の免除が可能となる。したがって、招集期間が長期に及ぶ可能性を考慮すると予備自衛官を兼ねる国家公務員が訓練招集等に応じた際、勤務先である所轄庁の取扱いは、政令による職務専念義務の免除とすることが基本と考えられる。

 また、地方公務員においては、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第24条第4項の規定に基づく給与、勤務時間その他の勤務条件の根本基準により国に準じた扱いをしなければならないとされていることを鑑みると地方自治体の長の裁量にはよるものの、国家公務員と同様に職務専念義務の免除とすることが基本と考えられる。

 なお、予備自衛官等を兼ねる国家公務員等が訓練招集に応じた際の勤務先である所轄庁の取扱いは、制度上、職務専念義務の免除を基本としつつ、当該所轄庁の長の裁量により個別具体的な勤務状況によっては年次休暇を取得し出頭することも排除されないものと考えられる。

 

3 兼業・兼職制度等の周知について

 予備自衛官等を兼ねる国家公務員等が訓練招集等に応じ、勤務先である所轄庁を離れる際の取扱いは、兼業・兼職が許可され、職務専念義務の免除等が基本的な考え方である。一方、当該予備自衛官等の所轄庁での勤務形態は多様であり、その取扱いは所轄庁の裁量により決定しているものと考えられることから、予備自衛官業務を担当する者は、当該予備自衛官等に対し、兼業・兼職制度における基本的な考え方を個々に再度周知するとともに、必要に応じその取扱いについて所轄庁へ確認を行うよう要請されたい。

 また、予備自衛官業務を担当する者は、当該予備自衛官に確認の上、連携しつつ、要すれば、当該予備自衛官等が勤務する所轄庁に対し、予備自衛官制度の理解と協力を得るために、当該出頭時の取扱いを含め説明を行うなど当該予備自衛官の出頭環境を整えるよう期されたい。