予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

予備自衛官等関連資料 地方公務員法実例判例集(抜粋)

解説

 自治省(現総務省)が地方公務員法に関わる判例、通知、通達、行政実例をまとめたもの。地方公務員の兼業については地方公務員法で制限されているが、予備自衛官制度が出来て間もない昭和30年に、地方公務員が予備自衛官を兼ねることの疑義について北九州水道組合(現北九州市上下水道局)と愛知県庁から地方公務員法の所管官庁である自治庁(自治省の前身)に対し照会が行われている。

 

 自治庁からの回答は、地方公務員法第三十八条第一項の規定に基づく許可を受ければ地方公務員が予備自衛官を兼ねることができるというもの。また、職員として勤務しなければならない時間内に予備自衛官としての職務を行う(所謂、職務専念義務免除(職免)で予備自衛官の招集訓練等に参加する)場合は条例に特別の定めがなければならない事や、自衛隊法第七十条に基づく防衛招集を受け長期に渡り地方公務員として業務に従事できない場合は自衛隊法第七十三条第二項(予備自衛官であることを理由とする不利益取扱の禁止)に違反しない範囲内において無給休暇や休職等の処置をとる必要性が述べられている。

 

詳細は以下の記事も参照されたい。

 

reserve-f.hatenablog.com

 

〇職員が予備自衛官を兼ねることができるか

昭三〇・五・一七 自丁公発第八五号

北九州水道組合総務部長あて 公務員課長回答

予備自衛官たる職員の身分取扱に関する疑義について」

照会

(一)自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第六十条第二項は「法令に別段の定 めがある場合を除き」自衛隊員の兼職を禁止するものであるが、本条項は同法第七十五条により予備自衛官については適用を除外されることとなっている。

 同じく第六十条第三項「総理府令で定める場合を除き」兼職を許された場合でも給与をうけることは出来ない旨と規定するものであるが、これも同法第七十五条により予備自衛官についてはその適用を除外されることとなつている。従つて、予備自衛官は、「防衛庁以外の国家機関の職を兼ね、又は地方公共団体の機関の職につくことができ」、同時に給与をうけることも出来ることとなっている。

 しかるに、地方公務員法第三十五条は、地方公共団体の職員は、原則としてその職務に専念する義務があることを定め、同時に第三十八条は、職員は、任命権者の承認無くしては、「報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない」旨を規定している。

 地方公務員たる当組合職員が、任命権者の許可なくして予備自衛官を志願し、採用された場合、地方公務員法第三十八条の規定に違反するものと解するが、この点の御見解如何。

(二)又、自衛隊法第八章雑則には、労働組合法等の隊員に対する適用の除外を定めているが、地方公務員法との関係については何等調整条項は在しない。従つて、例えば、自衛隊法第七十五条の規定による同法第六十条第二項および第三項の適用除外と、地方公務員法第三十五条および第三十八条第一項の規定のいずれを優先せしめるべきか。即ち、地方公務員たる者が予備自衛官となった場合の身分取扱に関する地方公務員法の規定と自衛隊法の規定との関係如何。

(三)更に、当組合は、地方自治法第二百八十四条第一項の規定に基く特別地方公共団体であるが、地方公営企業たる性格上、地方公営企業法の適応を受けるため、組合の業務に従事する職員は、管理監督の地位にある者を除き、地方公営企業労働関係法第五条により団結権を有しているが、これと自衛隊法第六十四条第一項との関係如何。

(四)自衛隊法第六十条第二項、第三項にいわゆる「機関の職」の意義をも併せてお尋ね致したい。 

回答

(一)職員が予備自衛官を兼ねようとするときは、地方公務員法第三十八条第一項の規定に基く任命権者の許可を受けなければならない。なお、当該許可を得て予備自衛官となった職員は、職員として勤務しなければならない時間内に予備自衛官としての職務を行う場合においては、同法第三十五条の規定に基く条例に特別の定がなければならないので、念のため。

(二)および(三)地方公務員の身分と予備自衛官の身分を併せ有している者については、それぞれの身分について、それぞれの関係法令が適用されるものである。

(四)自衛隊法第六十条第二項及び第三項の地方公共団体の機関の職とは、地方公務員法第三条第二項及び第三項に規定する職をさすものと解する。

  

〇職員が予備自衛官を兼ねることができるか

昭和三〇・六・一三 自丁公発第一〇一号

愛知県総務部長あて 公務員課長回答

予備自衛官を兼ねることの疑義について」 

照会

一 一般職の職員が予備自衛官となることは、地方公務員法第三十八条に基く任命権者の許可があれば差支えないと思われるがどうか。

二 差支えないとすれば、予備自衛官手当及び訓練招集手当の支給を受けることができるか。

三 できるとすれば、地方公務員法第二十四条第四項の重複給与禁止規定があるので、勤務しなかつた時間に対する給与は、減額すべきが妥当と思われるがどうか。

四 自衛隊法第七十条により防衛招集をうけ、長期に亘る場合、身分上の取扱いは如何にすべきか。

回答

一 さしつかえない。

二 受けることができるものと解する。

三 お見込みのとおり。

四 設問の場合は、自衛隊法第七十三条第二項の規定に違反しない範囲内において、それぞれ具体的事情に応じて、当該職員に無給休暇を与え、又は当該職員を休職する等の措置をとることが必要であると解する。