予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

大型特殊自動車免許を一発試験で取ってみた

 

※当記事は公開情報を元に支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。また記事の内容は投稿日現在のものです。

 

 大型特殊自動車免許とは文字通り公道上で大型特殊自動車を運転できる免許で、略して「大特免許」等と言ったりもします(あくまで公道上を運転できるだけで、現場で操作する場合は別に資格が必要です)。「大型特殊自動車ってなんじゃい」と思われる方もいるかもしれませんが、一般の方が公道上でよく見るのはラフテレーンクレーンやトラッククレーンでしょうか。

 

ja.wikipedia.org

 

ja.wikipedia.org

 

 その他にも大型特殊自動車に該当するものはたくさんあり、自衛隊の持つ器材では油圧ショベルバケットローダ、資材運搬車等が該当します。

 

 今回、大特免許を取ろうとした理由は、職場で建設機械を操作する機会がたまにあるのでせっかくだから大特免許も取ってみようと思ったことと、大型特殊自動車免許を持っていれば、車両系建設機械やフォークリフト、不整地運搬車等の技能講習(器材を工事現場で操作するための資格)の科目が一部免除されて資格が取りやすくなるからです(自衛隊でカタピラ限定の大特免許を取得されている方は免除の対象にならない場合があります。その場合はまず限定解除が必要です)。

 

 また、防衛省では施設器材操作に必要な国家資格を持つ予備自衛官災害時に活用する方針ですので、大特免許を持っていれば災害招集時に少しはお声も掛かりやすいのでは…という目論みもありました。

  

 大特免許を取得するためには自動車教習所に通うか、運転免許試験場で技能試験(所謂、一発試験とか飛び入り試験とか言われるもの)を受ける方法があります。

 

 教習所に通う場合は、十数万円の費用が掛かりますが、普通自動車免許を取得していれば技能教習6時間と卒業検定だけで、最短4日程で免許が取得できます。

 

 一方、運転免許試験場の技能試験では試験料が一回4050円、合格時の免許手数料が2050円ですので、もし一回の受験で合格できれば6100円で大特免許が所得出来ます。ただし、試験は平日しか行っていない上に不合格の場合は何回も受け直さなければなりません。

 

 今回は、職場で建設機械を操作している事もあって基本的な運転方法は分かっていたことと、大型特殊の技能試験はそんなに難しくないと聞いていたため一発試験を選択しました。

 

 結果としては4回目で合格することができました(これで夏期休が消えました(泣))。

 

 私は職場でバケットローダを操作しており、試験場の車両もバケットローダだったので、これは1回で合格できるのでは? と思ったのですがそこまで甘くなかったですね…。

 

 試験の内容や操作方法等はネット上にたくさん出ていますのでそちらを参考にしていただければと思います。ただ、試験場によってやり方が違う場合もあるので、試験前に行われる試験官の説明はよく聞いておきましょう。

 

 ここでは私が失敗した点を挙げていきますので、もしこれから大特の一発試験を受けようかという方は他山の石にでもして頂ければ幸いです。

 

1回目

 方向転換で脱輪してしまい、不合格。普段乗っているバケットローダは小型で後方の視界も良いタイプだったためバックの時は直接目視で確認していたのですが、その癖が仇となり、サイドミラーを見ずに後退して脱輪してしまいました。終了後に試験官から「他はだいたい出来てたんだけどなぁ~」と言われ空しく家路につきました。

 

2回目

 踏切が鳴っているのに進入してアウト。私が受けた試験場では大特については踏切で窓を開閉しなくてもいいと言われていました。警報機のライトを確認し、更に左右を確認したのですが、その間に警報機が鳴りだしたみたいで、窓を閉めたままの上にバケットローダはエンジン音もうるさいため、警報音にも気づかず進んでしまいました。次からは最後に警報機を確認して進むようにしました。

 

3回目

 ここまで来てまさかの半ドアとバケットの高さ不足。しかも慌ててセンターラインを踏むおまけつき。ドアは結構勢いよく閉めたはずなのですが、念のため完全に閉まっているか確認すべきでした(半ドアだと押し引きすると少し動く)。バケットは50cm以上、上げてから発進しなければならないのですが、若干足りてなかったみたいです。基本的に50cm以上なら運転に支障が無ければ問題ないみたいなので、心持ち高めに上げるのが良いと思います(高すぎるとふらつきの原因になりますが)。

 

4回目

 特に何事もなく合格。試験終了後も試験官から「合格予定です」と言われただけで、これまでのは何だったんだと思うぐらいあっさり終わりました。

 

 なお、試験に合格しても試験場によっては免許発行までだいぶ待たされる場合があります。私の場合は順番が早かったため10時前には試験が終了しましたが、免許証が交付されたのは14時位でした。昼食ぐらいしかやることが無かったので、暇つぶしに何か持って行っても良いかもしれません。

 

 免許発行時にはいきなり印鑑を用意してくださいと言われて驚きました。結局、サインでも良いとの事でしたが、これも試験場によるかと思いますので申し込み時に確認した方が良いと思います。

 

 結局、かかった費用は以下の通り。

 

試験料   4050円×4=16200円

免許手数料          2050円

合計            18250円

 

 思ったより回数はかかりましたが、教習所に通うよりはだいぶ安くなったので自分としては満足しています。

予備自をやろうと思っている現職隊員向け捨てない方が良い物リスト

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 陸上自衛隊に入隊すると、1任期で退職したとしてもそれなりの私物装備を抱えることになります。若い陸士などは任期満了時にそのほとんどを処分したり後輩や同期に譲って退職していくと思いますが、予備自や即自をやろうと思っている人は手元に置いておいた方が良い物もいくつかあります。今回は具体的にどのような物が予備自、即自の訓練で必要になってくるのか、私の経験から紹介してきたいと思います。あくまで個人的な意見ですが参考にしていただければ幸いです。

 

迷彩シャツ・ODシャツ

 予備自、即自の訓練で使います。10枚もあれば即自の訓練でも大丈夫ではないかと。即自で私が参加した最長の訓練は確か連続6日位だったと思いますが、洗濯機が使えない環境だったため予備を入れて7~8枚ぐらい持って行った記憶があります。また、災害招集では近年1週間~10日ぐらいの招集になる事が多いみたいなので、即自をやろうと思っている人は現職の時に持っていたシャツは捨てずにおいていた方が良いと思います。

 

皮手袋

 予備自、即自共に使います。即自では訓練で必須ですし、予備自の訓練でも軍手が貸し出される場合もありますが、実際の訓練では皮手袋携行を指示される場面も多いので用意しておいた方が良いです。

 

脱落防止

 正式名称は分かりませんが、弾帯等に装着した装備や銃剣が落ちないようにする、紐にスプリングフックがついたアレです(陸上自衛官なら多分この説明で分かるはず)。予備自ではほぼ使う機会はありませんが、即自では装備を付けて演習場等で訓練することも多いので頻繁に使います。

 

足輪っか

 部隊によって「裾落とし」とか「足飾り」等々色々と呼び方はあるみたいですが、式典の時とかで使う迷彩ズボンの裾が綺麗に見えるようにするヤツです。これも予備自で使う機会はないですが、即自の場合は観閲式に参加する時もあるのでたまに必要になったりします。まぁ、私も即自の時は年に1回使うかという位でしたし、いざとなったら新聞紙で代用できるので強いて持っておく必要はないかもしれませんが…。

 

私物の作業帽(戦闘帽)、弾帯

 貸与されますが紛失防止等の理由で訓練中にあまり官品を使いたくない人は持っておくのもアリです。

 

私物の背嚢

 予備自、即自の訓練で使います。特に予備自の訓練招集では雑嚢が交付されない部隊も多いので、射撃場等へ行くときなど雨衣やペットボトルを入れるものがありません。必然的に私物の背嚢が必要となってきますので、持っておいた方が良いと思います。

 

耳栓

 言わずもがな、予備自、即自共に射撃で必須です。

 

靴磨きセット

 予備自、即自の招集訓練時には部隊の方で用意してくれるのですが、順番待ちが発生する場合もあるので被服返納を手早く終わらせたい人は持っておいても良いと思います。

 

ジャージ、運動靴、上履き等々(体育服装)

 予備自、即自でも体力検定、体力錬成はやるので必要になります。また体育館で訓練を行う事も多いので上履きも必要です。

 

身分証ケース

 即自の場合は現職と同じカードタイプの身分証が交付されるので必要になります。

 

 これらの物品は訓練招集時に駐屯地の売店で買うことも出来ますが、今持っているものをわざわざ買い直すのも損ですので、現職時代にそろえたものは予備自、即自訓練でも有効活用して頂けたらと思います。その他、「これも必要だろ」というものがありましたらコメント欄で指摘して頂けるとありがたいです。

地方議員と予備自衛官

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 一般職の地方公務員については、地方自治法第38第1項で兼業については任命権者の許可が必要と定められております。一方で、特別職地方公務員である地方議会議員については予備自衛官の兼業について制限はありません(地方公務員法第四条第2項。ちなみに都道府県知事や市町村長もなろうと思えば予備自衛官になれます。やっている人は多分いないと思いますが)。実際に、予備自衛官をしている地方議員もいらっしゃいます。経歴も自衛隊退職者や公募予備自衛官出身者など様々です。

 

 さて、筆者のような地方公務員からしてみると気になるのは予備自衛官地方議会議員は両立できるのかという点です。一般の方々は議員がどんなことをしているかよく分からないと思いますが、真面目にやっていれば地方議会議員というのは結構多忙な仕事です。各委員会や本会議は当然として、各種会合やイベントへの出席、陳情への対応などがあり決して片手間に出来る仕事ではありません(あくまで真面目にやっていれば…の話ですが)

 

 予備自衛官の場合は年間5日間の訓練ですので議員と兼業しながらでも務まるでしょうが、即応予備自衛官はさすがにきついのではないかと思います。一応、ネット上で検索してみましたが予備自衛官の議員は何人か見つかったものの即応予備自衛官の議員は後述する坂野経三郎議員(鳥取県議会・即応予備3尉)ぐらいしか見つかりませんでした。

 

 このように、平時に予備自衛官地方議会議員を兼業することは一応可能だと思いますが、一方で有事が来た場合にはどうするのかという問題が発生します。自然災害で1週間程度の招集ならば委員会や本会議等の時期に重なってさえいなければ応招可能だと思いますが、防衛招集で長期の招集が予想される場合はどうでしょう?

 

 アメリカではユタ州ウィーバー郡ノース・オグデン市長、ブレント・テイラー州兵少佐が現職市長のまま招集されアフガニスタンで戦死したという事例がありましたが(400日のアフガニスタン派遣命令。市長不在の間は議会が承認した職務代理者が代行していたとの事)、日本の世論が果たしてそのような事を認めるのかどうか。実際に、予備自衛官の訓練招集に参加する為に本会議を欠席した議員が批判されるという事態も日本では起こっています(鳥取県議会・坂野経三郎議員の事例。なお当時は海自の予備自衛官)。

 

 この問題については過去に国会で取り上げられたこともありました。

 

第63回国会 参議院 予算委員会 第13号 昭和45年4月2日

 

山崎昇(日本社会党

 次にお聞きをしたいのは、先ほどの説明で、市会議員等公職についている人がおります。そこで、正当な理由というのを聞いたら、心身の故障、それからやむを得ない事情としては、親属の死亡あるいは災害等の場合だと。そこでお聞きをしたいのは、市会議員等の場合に、市会が開かれておる、公職として自分はいろいろ活動しなければならぬ、その場合に防衛招集がくる、この人は、私はいま市会議員として市会が招集されておりますから職務を遂行したい、そういう意味でこの防衛招集に応ぜられないといった場合に、これは一体七十条の違反になるのかどうかですね、まずお聞きしておきたい。

 

内海倫(防衛庁人事教育局長)

 法律及び先ほど申しました政令のたてまえからいいますと、あの条件に該当しないで、したがってその意味におきます正当な理由がなくて招集に応じないで三日を経過した場合、これは罰則の適用を受ける。したがっていまの市会議員である人の場合におきましても、それを特に例外とする規定がございませんので、そういうことになろうかと思います。ただ、防衛招集は、これはもう御存じのように防衛出動が下令されておる場合に、内閣総理大臣の承認を得て長官が必要があれば招集する、こういうことになっております。そうしますと、当然これはまあまだそういう事態がありませんし、したがって諸般の手続規定などもできておりませんけれども、そういうふうな職務にある人等については長官が防衛招集命令を出す場合にこれは出さない、あるいはそういうことの状況をよく見た上で命令を出すということになるのではなかろうかと。したがってそういうふうな重要なしかも欠くことのできない公務に従事しておるというふうな人についての招集というものは命令が出されないのではないかと、こういうふうに私どもは考えたいと思います。

 

 だいぶ古い答弁ですが、当時の防衛庁としては地方議会議員予備自衛官を招集するに当たっては一定の配慮をすると考えていたみたいです。

 

 なお、自衛官自衛隊法第六十一条で政治行為が制限されていますが、予備自衛官については同法第七十五条で適用されない事となっております。また招集中の予備自衛官についても一部適用除外されています。

 

 具体的に言えば、招集中の予備自衛官であっても選挙に立候補したり、政党や政治団体の役員や顧問等になることは出来ます。ただし政治活動について招集されている間は制限されますので、もし招集中の予備自衛官が選挙に立候補しようとしたら、立候補自体は出来るものの、肝心の選挙活動は(少なくとも本人は)できません。

 

 この問題は少なくとも昭和45年の段階で明らかになっていたみたいですが、その後改善された形跡はありません。ここら辺も有事にならないと抜本的な解決は図られないと思いますが、現状では議員が選挙で選ばれた公職である以上、当時の防衛庁の見解の通り、長期の招集は難しいと考えるのが妥当ではないでしょうか。

防衛省がオークションよりも稼げる方法

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 去る7月26日に行われた防衛省のせり売りで581万8千円の売り上げがあったそうです。

 

不用物品の「せり売り」の結果について(防衛装備庁HP)

 

 なぜこのようなオークションを実施することになったかというと、「中期防衛力整備計画(平成31年度~平成35年度)について」で防衛省は「その他の収入の確保などを通じて実質的な財源確保を図」ることとされた為で、その背景には「防衛費は自分で稼げ」という財務省の圧力があります(これもどうかと思いますが・・・)。

 

 勿論、今回の580万程度では防衛費の足しにもならないのでどちらかというと部外向けの広報と財務省向けのパフォーマンスという側面が強いかと思います。

 

 防衛省はこの他にも市ヶ谷大本営地下壕跡の見学入場料として700円(18歳以上)を設定するなど、防衛省が持つ資産等を有効活用した財源確保を進めていく予定です。国の防衛費を防衛省自身が稼がねばならないとはすごい時代になりましたね。

 

 そこで、もっと防衛省がもっと「稼げる」方法として一つ提案したいのは、中古の迷彩服や半長靴、雨衣等を希望する予備自衛官に販売してはどうかということです。そして予備自衛官が被服を私物として普段は自分で管理し、招集訓練の時は持参して使えるようにする。こうすれば販売収益だけでなく様々なメリットがあるのではないでしょうか。

 

 予備自衛官招集訓練の1日目は被服の交付だけで結構な時間を取られます。特に予備自衛官が100人以上も参加するような場合は朝礼時間が過ぎても延々と被服交付作業を続けている光景が良く見られます。

 

 訓練担当部隊にとっては被服の交付、返納作業だけで一仕事ですし、官品ですので訓練期間中の管理についても気を遣う事になります。予備自衛官に交付する被服が減ればそれだけ負担も軽減できますし、空いた時間を訓練に回せることになります。災害派遣招集の場合でも被服交付の手間が省け、迅速な活動開始が可能になります。

 

 予備自衛官にとっても官品よりは私物の迷彩服を着ている方が気楽という事情があります。招集訓練で私物の作業帽や弾帯を使っている人は実際よく見ますが、性能的な問題ではなくただ単に無くした時が恐ろしく面倒くさいので出来るだけ官品を使いたくないからだと思います(自衛隊は作業帽1つでも無くした場合は本当に「見つかるまで」探す)。かくいう私も訓練時に軍手を交付されるのですが、万が一無くしたら面倒くさいので私物の皮手袋を使っています。

 

 また訓練で支給される迷彩服は一着だけなので、特に通修者は洗濯も出来ず汚れた迷彩服で最大5日間も過ごさなくてはなりません。これでは冬場はともかく夏は結構きついものがあります。訓練に使える官品迷彩服を2着購入することができれば着回ししながら訓練に参加できるのでだいぶマシになります。更に自宅で迷彩服を洗濯できるため分割出頭した時の迷彩服クリーニング代も不要になります(予備自は迷彩服のクリーニング代が1回分しか予算計上されていないため、2回に分けて出頭すると1回分のクリーニング代は自腹となる)。

 

 民間で販売されている陸自迷彩服は生地が官品仕様(難燃ビニロンと綿の混紡)のものはあるのですが制電、難燃加工やIR迷彩(赤外線暗視装置に反応しにくい迷彩)ではなく訓練時に使えません。また現在の自衛隊は私物の迷彩服を着用していると公務災害(民間でいう労災)の対象にならないので実質的に私物迷彩服の使用は不可能となっています。これらの問題は官品迷彩服を予備自衛官に販売するという形にすれば解決します。

 

 気になるのは迷彩服等の外部流出による機密漏洩かと思いますが、そもそも生地の種類から混紡割合まで現在はネットで探せばいくらでも見ることができます。制電加工や難燃加工、IR迷彩も特段機密とされている技術ではありません。半長靴に至っては製造企業の某社が官品とほぼ同等品を民間向けに販売していたこともあります。勿論、販売する被服には何らかのマークを入れる等の処置が必要でしょうし、転売等は禁止するべきでしょうがそこまで神経質になることは無いと思います。

 

 今回の記事を書くに至った理由は、令和2年7月豪雨の予備自衛官招集です。即応予備自衛官については普段から被服、装具が貸与されているため、出頭後の準備も簡潔に終わらせることができます。一方予備自衛官は個人に貸与されている被服がないため、災害派遣招集でも一々部隊から被服の交付を受けなくてはなりません。理想を言えば普段から予備自衛官個人ごとに被服を貸与するのが一番良いのでしょうが、実際には難しいでしょう。あくまで一つのアイディアですが、防衛省の財源確保施策と合わせて私物として予備自衛官が官品迷彩服を購入するような形にすれば、防衛省、訓練担当部隊、予備自衛官それぞれにメリットがあるのではないかと思います。

令和2年度予備自衛官補採用試験の締め切り迫る

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 予備自衛官補採用試験の募集期限が迫っています。

 

www.mod.go.jp

 

 今年度は第1回採用試験が新型コロナの影響で中止となったため、今回が唯一の採用試験となります。興味がある方は多分、まだ間に合うと思いますのでとりあえず最寄りの地本に連絡しましょう。

 

 ちなみに国家資格を持っているからと言って必ず技能で受験しなければならないという訳ではなく、一般で受験することも可能です(34歳未満という条件は付きますが)。即応予備自衛官への志願が認められているのは現在のところ一般公募予備自衛官だけですので即自になりたいと考えている方はご注意下さい。

地方公務員が防衛招集される際に望ましい方法は何か?(補遺)

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reserve-f.hatenablog.com

 

 先日投稿した記事について国会の議事録で参考になるような答弁が行われていないか調べていたところ、関係ありそうな内容を見つけたので紹介しようかと思います。なお、関係者の役職等は当時のものです。

 

kokkai.ndl.go.jp

 

(以下引用)

 

第61回国会 参議院 本会議 第34号 昭和44年7月22日

 

北村暢(日本社会党

 予備自衛官で、公務員、地方公務員の身分にある者はどのくらいいるのか。公務員である予備自衛官が教育招集の場合、いかなる手続でこれに応ずるのか。その場合、公務員の職務専念の義務との関係はどうなるのか。また、防衛招集の場合に、公務員としての身分はどうなるのか。また、負傷、病気、戦病死したときはどうなるのか。公務員法上どのような取り扱いになるのか。その根拠を明らかにしていただきたい。

 予備自衛官で、公職——市町村会議員等についている者がいるが、防衛招集になった場合、本人の公職としての身分はどうなるのか、法的に説明していただきたい。

 

有田喜一(防衛庁長官

 予備自衛官で公務員となっておる者の数は、四十三年度末現在で約二千百五十名であります。予備自衛官総数の七・二%に当たります。これらの者が訓練招集に応ずる場合には、ほとんど年次休暇の扱いで、勤務を離れて出頭しております。公務員が予備自衛官を兼ねる場合には、国家公務員法または地方公務員法の定める手続による許可の範囲内において職務専念義務を免除されるものと解しております。予備自衛官で現に公務員として勤務している者は、防衛招集に応じて出頭した日をもって自衛官となる。この場合、自衛隊法及び公務員法の規定上、その者が招集前にしていた公務員の身分は失うことなくそのまま存続すると、かように解しております。

 

 

第63回国会 参議院 予算委員会 第13号 昭和45年4月2日

 

山崎昇(日本社会党

 その次にお尋ねしたいのは、先ほど自衛隊におられる人を除いて、地方公務員も入れて、大体公務員になっている人が千二百人ぐらいおるわけなんです。そこでお聞きをしたいのは、防衛招集をされますというと、この一般職の国家公務員は特別職の自衛隊員になるわけですね、七十条の三項で。これは辞令を発せずして自衛隊員になるわけなんですが、そうすると、防衛庁以外の官庁に勤務しておるこの国家公務員の身分というのはどういうふうになってくるか、それから防衛招集後のその人の給与その他はどういう関係になってくるのか、国家公務員法との関係で法制的にひとつ御説明を願いたいと思います。

 

中曽根康弘防衛庁長官

 詳細は局長をして答弁せしめますが、まず兼任になるようであります。それで、防衛招集の期間は休暇扱いとなる、そういうことであるそうであります。

 

内海倫(防衛庁人事教育局長)

 長官の答弁の補足をして御説明を申し上げたいと思います。

 一般の国家公務員であります者が防衛招集を受けますと、お説のように特別職の定員外の自衛官になるわけであります。したがいまして、この人についていえば、一般職である国家公務員であることと、それから防衛招集された自衛官であることは、兼業の関係になります。これは、国家公務員法百四条の規定及びそれに関しまする政令等によって定められておるところであります。したがって、身分はそういうことでございます。それから、給与の関係につきましては、これは御存じのように、許可を受けて兼業が許可されるわけでありますから、その許可の範囲内において一方の業務に従事することができる、こういうことになるわけですが、防衛招集を受けました場合におきましては、その自衛官であることは、同時に全部の仕事を自衛官としての仕事に当てるわけでございます。したがいまして、一般職のほうの国家公務員としての仕事はできなくなるわけだ、そういたしますと、その給与に関しましては、その勤務せざる分は全部減額される、こういうことになろうと思います。したがいまして、もしそれが長期にわたるならば、長期の間一般職の公務員としての給与はもらえなくなる、結果的にそういうことになろう、こういうふうに思います。

 

山崎昇

 それでは局長にお尋ねいたします。

 いまあなたから国家公務員法の百四条で兼業になると、こう言うんですね。これは一般職の公務員が他の公務員につく場合に兼業になるんですね。予備自衛官が一般職の公務員になるときは百四条ではないんだ、これはね。そこで、いま防衛招集になりますと、これは三日以内に出頭しますから出頭した日から特別職の公務員になる。このときに一般職の公務員は他の職業につくことを許可をとらなきゃならぬですね。とらなきゃならぬ。もしとらなければ、これはつけないということにもなってくる。そうすると、国家公務員法の百四条と予備自衛官というものと七十条の防衛招集後の問題とはどういうからみ合いになってくるのか、もう一ぺんひとつ。

 

内海倫

 御存じのように一般職と一般職という関係になれば、これは併任という問題もあろうと思いますが、兼業の禁止というのが百四条の規定であることは御存じのとおりでございます。そうしますと、一定階級以上のものは内閣総理大臣、それ以下のものにつきましては、内閣総理大臣の委任に基づいた所属長が兼業の許可をするわけであります。そうしますと、予備自衛官を志願いたします場合、これ予備自衛官であるということも同時にそれは兼業の状態が発生いたしておるわけであります。したがって、予備自衛官を志願する場合には、当然その許可を受けておらなければならないものと、かように考えます。したがいまして、予備自衛官であることは、予備自衛官になるということは、結局、防衛招集に応ずる義務を負うこととともに、平時におきましては訓練招集に応じなければならないという、そういう任務を持つわけでありますから、したがって、すでに予備自衛官であるときに兼業の許可を受けておることによって防衛招集を受けましても、そのままそれが継続して続くものと、私どもはこういうふうに理解いたしております。

 

山崎昇

 局長ね、それは少し違うんじゃないですか。あなたの言っているのは、一般職についたあとに予備自衛官になった場合のことを言うんだが、予備自衛官のほうはそうじゃないんですね。自衛隊をやめられて、そして予備自衛官になっている者が一般職に勤務するときには、職務専念義務を多少はずしてもらいたいとか、あるいは教育招集がありますとかということを述べて、それによって差別しちゃいかぬということになっておる。だから今度は予備自衛官が一般職に採用されておって、そして防衛招集になったあと、この百四条ということが発動されてくるんです。だから国家公務員法の百四条は、いまあなたの解釈ではできない。あらためてこれは関係長の許可をとらなければできないんですよ。その点はどうなりますか。

 

内海倫

 私、この問題につきましての見解を申し上げたいと思いますが、確かに予備自衛官になっておいてから一般職の国家公務員なり地方公務員になることはあると思います。その場合において、いまお示しのありましたように、自衛隊法に予備自衛官であることをもって採用について差別してはならないというふうな規定がありますから、それに基づいて採用するものと思います。しかし、その時点において、私どもの理解いたします限りには、予備自衛官であるという兼業が採用者側において許可されたものと考えなければならないのではないのかと、こういうふうに考えます。

 

山崎昇

 きょう人事院呼んでおりませんからね、実はあなたの答弁違うんだな。人事院の見解はまた違うんですね。私が述べているような見解を人事院がとるわけです。これはいまあなたと論争してもなかなか際限つかないと思うんですが、私はこの防衛招集によって予備自衛官というものが、一般官庁に勤務している者が自衛官になる場合にはこれは一般職同士でありませんから兼任ということは適当ではないと思いますよ。しかしそれと同じような方法による自衛官の採用方法だと思うのですね。そういうことになってくると、私はいまのあなたの百四条の考え方には賛成できない。これはやっぱり私は法制的に検討しておいてもらいたい、こういうふうに一つ思うのです。

 そこで総務長官にお尋ねしたいのですがね。いま論争をやっておりますように、実はこの予備自衛官をめぐる問題はたくさんそのほかにもあります。後ほどまたお聞きをしますが、招集になったあと身分はそのままだと、こういうのです。私はこれはなくなるのではないかという見解をとる。したがって、それらについて総務長官の見解を聞いておきたい。それからもしも昔の召集令と同じように、一般公務員のほうの給与が高かった場合に、防衛招集されて自衛官になる、しかし一般公務員としての給与が高かった場合に、もちろん職務は専念しておりませんけれども、その差額等は払うということになるのか、それは一切払わないというのか。それから一般公務員についた場合に一体この月手当千五百円というものを出しておりますが、これはどういう取り扱いになってくるのか、ここらのことを公務員法を扱う総務長官から聞いておきたいと思います。

 

山中貞則(総務長官)

 やはりこれは招集に応じた場合には公務員法によって兼業であると思います。それから第二の点は防衛庁の人事局長の答弁がよろしかろうと思いますが、第三点の月千五百円は本来の報酬月額に上のせして別途給付されております。

 

(引用終わり)

 

 昭和40年代の国会答弁なので現在では運用が変わっている部分もあると思いますが、基本的な認識は変わっていないと思います。要点をまとめると以下の通り。

 

  •  公務員が防衛招集された場合、招集前にしていた公務員の身分は失わない。
  •  公務員が予備自衛官を兼ねる場合には、国家公務員法または地方公務員法の定める手続による許可の範囲内において職務専念義務を免除される。
  •  国家公務員が防衛招集された場合、兼業の範囲内で一方の業務に従事するが、防衛招集された場合は全てを自衛官としての業務に従事する為、一般職公務員としての給与はもらえなくなるだろう。
  •  国家公務員が防衛招集された場合、国家公務員法第百四条に基づく兼業許可を改めて得ることは不要(これは地方公務員も同じ扱いになると思われる。なお山崎議員は必要との立場)。
  •  公務員が防衛招集に応じた場合も兼業で従事しているという形になる。

 

 当時の防衛庁の考え方として、公務員が防衛招集される場合は元々の公務員の身分を有したまま兼業の延長線上として職務専念義務免除等を活用し従事するという考え方みたいです。

 国家公務員の場合はこれで何とかなるのかもしれませんが、地方公務員の場合、前に書いた共済の問題もありますし、そもそも自治体によっては予備自衛官の防衛招集に職免が使えない(地方公務員法第三十五条の規定に基く条例に特別の定がなければならないので)、長期無給休暇の制度がない等の場合もあるので、地方公務員として安心できるような運用を行うためにはやはり何らかの法制的検討が必要かと思います。

 

R2.8.30追記

 

 引き続き、国会の議事録を検索していたところ、防衛招集と職免の関係についての答弁が見つかったので追記で紹介します。

 

(以下引用)

 

第85回国会 参議院 地方行政委員会 第3号 昭和53年10月19日

 

志苫裕(日本社会党

(前略)

 時間ですが、済みません、最後に一つだけ。——行政局長でいいんですが、予備自衛官というのが地方公務員にいるとして、これに防衛招集、訓練招集等があったときに断れますか。

 

砂子田隆(自治省行政局公務員部長)

 いまお話しございました、地方公務員であります予備自衛官に関しまして、防衛庁長官から自衛隊法七十条の規定による出動を命ぜられるということになりますと、この七十条の二項に、その招集に応じなきゃならぬという義務規定がございまして、それが地公法の三十五条に言うところの職務専念義務免除の中の例外規定の法律であるというふうに読めますので、任命権者はその地方公務員を出動させるということになると思います。

 

志苫裕

 そう自動的には、一方には職免もあるでしょうに。職務専念義務もあるでしょう。

 

砂子田隆

 それは大変むずかしいと思います。というのは、自衛隊法七十条の二項の規定というのは広く国民一般に通ずる規定でございまして、特に、自衛官になっているその人に対しましては初めから義務を課しているということになっておりますので、その義務を課している部分に知事が反対だと言うことはむずかしかろうと思います。

 

(引用終わり)

 

 文中で引き合いに出されていた自衛隊法第七十条第二項及び地方公務員法第三十五条の条文については以下の通り。

 

自衛隊

(防衛招集、国民保護等招集及び災害招集)

第七十条 防衛大臣は、次の各号に掲げる場合には、内閣総理大臣の承認を得て、予備自衛官に対し、当該各号に定める招集命令書による招集命令を発することができる。

一 第七十六条第一項の規定による防衛出動命令が発せられた場合又は事態が緊迫し、同項の規定による防衛出動命令が発せられることが予測される場合において、必要があると認めるとき 防衛招集命令書による防衛招集命令

二 第七十七条の四の規定により国民の保護のための措置(武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成十六年法律第百十二号)第二条第三項に規定する国民の保護のための措置をいい、治安の維持に係るものを除く。以下同じ。)又は緊急対処保護措置(同法第百七十二条第一項に規定する緊急対処保護措置をいい、治安の維持に係るものを除く。以下同じ。)を実施するため部隊等を派遣する場合において、特に必要があると認めるとき 国民保護等招集命令書による国民保護等招集命令

三 第八十三条第二項の規定により部隊等を救援のため派遣する場合において、特に必要があると認めるとき 災害招集命令書による災害招集命令

2 前項各号の招集命令を受けた予備自衛官は、指定の日時に、指定の場所に出頭して、招集に応じなければならない。

 

地方公務員法

(職務に専念する義務)

第三十五条 職員は、法律又は条例に特別の定がある場合を除く外、その勤務時間及び職務上の注意力のすべてをその職責遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事しなければならない。

 

 つまり、当時の自治省(現在の所管部署は総務省自治行政局公務員部)の見解として、自衛隊法第七十条に定める防衛招集(現在では国民保護等招集、治安招集、災害等招集も含むと思われる)は地方公務員法第三十五条の「法律又は条例に特別の定がある場合」に該当する為、各自治体の条例に定めがなくとも職務専念義務を免除することが可能ということです。

 

 解釈がちょっと無茶じゃないかという気がしないことも無いですが、少なくとも有事の際に地方公務員の予備自衛官等を職免を用いて地方公務員の身分はそのままに長期招集することは法的に可能であると政府は認識しているようです。

地方公務員が防衛招集される際に望ましい方法は何か?

※当記事は公開情報を元に支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。また記事の内容は投稿日現在のものです。

 

 以前、予備自衛官等が長期招集された場合に年金や保険がどうなるのかについて触れました。

 

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 防衛省としては招集間の取扱いについて国家公務員共済組合(防衛省共済組合)へ加入させる方針だという事です。国家公務員の予備自衛官については同じ国家公務員共済組合の為、手続き不要とのこと。

 

 一方で、地方公務員の場合、普段は地方公務員共済組合に加入しているため、国家公務員共済組合に加入するには転出する必要があります。ここで色々とややこしい問題が起こってきます。

 

 防衛省予備自衛官が招集解除された場合は地方公務員共済組合に転出させるとしています。つまり有事には自衛官(国共済に加入)として勤務し、招集解除後は地方公務員として復職(地共済に加入)することを前提に招集するとしているわけですね。

 

 実際に法律上このような運用ができるのか?

 

 公務員が他の自治体、官庁などで働く場合、一般的に取られる方法として出向(派遣)があります。

 

在籍出向 職員としての籍を当該地方自治体に残したまま出向先で勤務する。給与については元の自治体が負担する。年金や保険についても元々加入してきた共済のまま。

 

退職出向 所属する自治体を一旦退職し出向する。給与については出向先が負担し、共済についても出向先の共済組合に転出する。

(官庁、地方自治体によって制度・用語に差異があります)

 

 地方公務員が中央官庁へ出向する場合(あるいは市町村職員が都道府県に出向する場合)は在籍出向が多く、逆に国家公務員が地方自治体に出向する場合(あるいは都道府県職員が市町村に出向する場合)は退職出向が多く見受けられます。

 

 出向制度に関しては出向元、出向先の同意が必要である上に、予備自衛官等の招集に使えるのかどうかという疑問がありますが、たとえ可能だとしても様々な疑問があります。

 

 予備自衛官の長期招集のケースを考えると、在籍出向は地方公務員の身分を保持したまま出向できるものの実際には難しいと思われます(同時に2つの共済に加入することは出来ないし、そもそも地方自治体から給与を得ながら戦闘に参加するのはどうなのか?、現職自衛官との給与格差はどうするのか?等の問題点が出てくる)。

 

 所属自治体を退職し、防衛省に出向するという形をとれば共済の問題は解決しますし、招集解除時には復職も可能(地方公務員法第十七条の2に基づく選考採用)です。ただしこの場合、地方公務員としての退職金が減る(招集期間中は退職金算定の在籍期間に加算されないため)というリスクが発生します。

 

 給与だけを防衛省が負担し、共済組合費については防衛省が給与から天引きして地共済に振り込むようにすれば在籍出向や職務専念義務免除(職免)、無給休暇等により応招は可能かもしれませんが、制度上そんなことができるのかは未知数でしょう。

 

 地方公務員の派遣、出向については、「地方自治法」、「地方公務員法」、「公益法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律」、「外国の地方公共団体の機関等に派遣される一般職の地方公務員の処遇等に関する法律」及び各地方自治体の条例等により規定されていますが、予備自衛官の取扱いについて定義したものはありませんので結局は有事の際の運用次第という事になるかと思います。

 

 防衛省側も実際に長期の招集となったときには国家公務員共済組合本部と厚生労働省等で調整するとのことですので、何も考えてないという事はないと思いますが、予備自衛官からしてみれば平時からもう少ししっかり制度設計してくれよといった所です。

 

 予備自衛官にとって、招集時に一番気になるのは招集解除後に元の職場に戻る事が出来るのかどうかという点です。予備自衛官は任期制隊員や定年退官者と違い、再就職支援等もなく社会に戻っていく立場です。そこに何の生活保障もありません。招集解除後に元の職場に戻れるかは予備自衛官の士気に直結する要素かと思います。

 

 民間企業と違い、地方自治体は政府が指針を示せば基本的にはそれに従うので、有事が来る前に銃後の憂いを残さず招集に応じられるような体制作りに努めて頂ければと思います。

 

 最後になりますが、筆者は総務・人事の部署に在籍したことは無く公務員の派遣、出向や共済制度についてはネットで調べただけのほぼ素人です。間違いや「こんな使えそうな制度もあるよ」という方はコメントで指摘して頂けると幸いです。

 

R2.8.29補遺を投稿しました。

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自衛隊が予備自衛官に資格を取得させることは出来ないか?

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 即応予備自衛官予備自衛官の雇用企業に向けて、防衛省自衛隊は様々な支援制度を実施しています。例えば即応予備自衛官を雇用している企業については、即応予備自衛官雇用企業給付金、予備自衛官等が実際に招集された場合には雇用企業協力確保給付金が支給されます。また、予備自衛官等を雇用することによって国防に貢献している企業に対しては協力事業所表示制度、訓練招集の日程調整の為に情報提供制度もあります。

 

 一昔前は即自の雇用企業給付金しかなかったので、かなり充実してきたと言えるのではないでしょうか。ただ、官公庁については上記支援策のメリットはほとんどありませんし(給付金の対象外)、民間企業についても給付金がもらえるのはありがたいと思いますが、実際の所、デメリットの方が上回ると考えているところも多いのではないかと思います(特に即自)。

 

 そこで、今回は予備自衛官等雇用企業と予備自衛官本人、更には自衛隊にもメリットのある企業支援策について一つ考えてみたいと思います。

 

 少し話はそれますが、私個人的には予備自衛官の訓練が一般社会でのスキルアップにつながりにくいという点が非常に残念だと考えていました。予備自衛官等として訓練を受けても、その技能が通用するのは自衛隊だけで民間では生かす機会がない。これは即自や一般の予備自衛官、公募自衛官全てに言えるのではないかと思います。技能公募予備自衛官にしても、技能訓練で一般社会においてスキルアップできるような訓練はほとんどないのではないか。

 

 そこで一例として考えたのが、防衛省自衛隊予備自衛官等の資格取得支援を行ってはどうかというものです。

 

 現在では災害時に建設機械系の国家資格を持つ予備自衛官等が招集された場合、自衛隊側が必要と認めれば技能検定を受けたうえで施設器材(建設機械)を操作することができます。これによりMOSを保有していなくとも災害現場で予備自衛官等がユンボバケットローダ、トラッククレーン等を操作できるようになりました。

 

防衛省HPより)

https://www.mod.go.jp/gsdf/reserve/resources/pdf/yobijiho/kokkashikaku.pdf

 

 建設機械を運転、操作する国家資格ですが当然ながら民間でも有効です。この資格を自衛隊予備自衛官に取得させることができれば大きなアピールポイントになるのではないか。例えば建設業に従事する予備自衛官ユンボの操縦資格を取得すると、本人のスキルアップだけでなく雇用企業にもメリットが生まれます。また、予備自衛官に建設機械系の資格保有者が増えるというのは自衛隊側にとっても災害時に使えるオペレーターが増えるという事なので良い事ではないかと思います。

 

 建設機械系の資格については基本的に講習を真面目に受ければ誰でも取得できる上に、講習期間も短いので難易度もそれほど高くはありません。例えば大型特殊免許については技能教習6時間+卒業検定ユンボを操縦できる「車両系建設機械運転技能講習(整地・運搬・積込・掘削)」については講習時間38時間(5日間)(ただし大型特殊免許を持っていれば14時間(2日)まで短縮される)です。

 

 具体的な施策については、単純に資格を取得した予備自衛官補助金を出す形でも良いですが、教習指導員や検定技能員等の資格を持つ予備自衛官を活用して休日等に自衛隊施設で講習を実施するのもありでしょう。雇用企業に対しても予備自衛官制度のメリットを分かりやすい形でアピールできるのではないかと思います。

 

 その他にも、自衛隊には建築士施工管理技士(建設工事で現場監督になるために必要)の資格を持つ隊員も多くいますので、希望する予備自衛官に対して自衛隊側が試験対策講座を行うのも企業側からすれば喜ばれると思います。また資格取得を通じた予備自衛官の能力向上は自衛隊にもメリットに繋がるでしょう。

 

 勿論、資格だけ取得してすぐに予備自衛官を辞められても困りますし、普段建設機械を使わないような職業の人に資格を取らせても有事に役立たないでしょうから何らかの制限をかけることは必須かと思いますが、雇用企業から見れば予備自衛官の訓練で社員がスキルアップするというのは業種によっては給付金と同じぐらいの魅力だと思います。

 

 今回は建設業関係の資格について話を絞りましたが、他の分野でも同じように訓練招集を通じて民間でも生かせる能力を身に着ける方法はあると思います。即応予備自衛官はともかく、予備自衛官は基本年5日間の訓練招集しかないため自らの能力向上を実感しにくい環境にあります。予備自衛官のモチベーション向上という観点からも資格の取得は有用ではないでしょうか。

予備自衛官等関連資料 サイバーリザーブ(予備役)の研究(『海幹校戦略研究』特別号(通巻第19号))

 「海幹校戦略研究」とは「海上自衛隊幹部学校(※上級指揮官、幕僚の養成機関。旧海軍の海軍大学校に相当)職員・学生の研究成果のうち、現代の安全保障問題を海洋国家日本の針路を考えつつ、時代に適合した海洋政策、海上防衛戦略を模索するという観点から取り扱ったものを中心としてまとめ」たもの(海上自衛隊幹部学校HPより)。

 

www.mod.go.jp

 

 今回紹介する「サイバーリザーブ(予備役)の研究」はサイバー防衛分野に関する予備役(リザーブ)の役割について考察した論文である。エストニアの準軍事組織であるサーバーディフェンスユニットの概略及び我が国の予備自衛官補制度(技能:情報)を紹介し、更に両組織の隊員にアンケートを実施して実態調査と考察を行っていくものである。

 

https://www.mod.go.jp/msdf/navcol/SSG/review/sp-1-s/sp-1-6.pdf

 

 そこまで長い論文ではないので、情報技能系の予備自衛官予備自衛官補に志願しようとしている方は興味あれば閲覧されることをお勧めする。

 

 一点だけ気になったのは、予備自衛官とサイバーディフェンスユニットの志望動機について、前者は「国防のため」が主を占めていたが、サーバーディフェンスユニットの場合、「自身のスキル向上のため」が同程度の割合で存在していることである。要するに、技能公募予備自衛官制度は予備自衛官自身のスキルアップ手段として全く期待されていないという事だ。

 

 当論文はサイバー防衛分野に関する論文であるが、これは他の技能予備自衛官についても同様のことが言えるのではないかと思う。例えば活動分野が比較的明確かと思われている医療系の予備自衛官についても医師や看護師だけでなく薬剤師、心理、リハビリ系の資格を持つ人もおり、職務内容は非常に多彩だ。年5日の予備自衛官訓練だけでこれらすべての人々が資格に合った有意義な訓練を受けることは難しいだろう。ましてやスキルアップともなれば現状としては非常に困難である。

 

 予備自衛官制度の定員割れは雇用企業の同意を得にくいという理由が大きい。今後、予備自衛官制度を維持する上で金銭的な補償は勿論だが、「予備自衛官訓練を通じて本業もスキルアップする」という観点も取り入れることが、予備自衛官の能力向上と共に雇用企業に対するメリット提示にも繋がるのではないだろうか。

自衛官と地方公務員、働いてみて感じた違い

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 ブログで何回か書いておりますが、私は陸上自衛隊を陸士長で退職した後、地方公務員として役所に入りました。自衛官の皆さんの中には自衛隊から地方公務員に転職したいと考えている方もいるかと思いますが、実際の所、自衛隊と比べて地方公務員の仕事はどうなのかと言う疑問もあるかもしれません。そこで、今回はいくつかの点で比較していこうかと思いますので興味のある方は参考にしてみてください。

 

 なお、内容は私の個別的経験に基づくものですので全ての自衛隊部隊、地方自治体で一般化できるものではないという事をご了承願います。

 

1 給料

 まず気になるのは地方公務員は自衛隊と比べてどれぐらい給料がもらえるかという点だと思います。

 

 自衛官からしてみれば地方公務員の方が給料が良いのではないかと思っている方もいるかもしれませんが、実際の所、そんなに良いもんじゃありません。とりあえず以下の数値をご覧ください。

 

地方公務員(東京都特別区)の初任給

特別区(東京23区)職員1類(大卒) 初任給 約220,400円

特別区(東京23区)職員3類(高卒) 初任給 約176,500円

※令和2年度

 

自衛官候補生の初任給

自衛官候補生(大卒)              198,100円

自衛官候補生(高卒)              179,200円

※2等陸・海・空士任官後の初任給。各種手当含まず。

 

 初任給だけ見れば大卒区分なら自衛隊よりマシ程度、高卒区分なら自衛隊時代よりも下がる可能性があります。勿論、自衛隊経験者は職歴加算(地方公務員になる前に働いていた場合はその経歴に応じて初任給がプラスされる)がありますし、自衛隊にはない残業代が支給されますので一概には言えませんが、あまり過度な期待はしない方が良いというのが正直なところです。

 

2 労働時間

 地方公務員はどれぐらい残業しているのかというのも関心のあるテーマだと思います。

 

 地方公務員の労働時間というのは自衛官と同じく本当に千差万別で、月100時間以上残業している職員もいれば毎日定時で帰宅できる職員もいます。入庁後、残業時間がどうなるかははっきり言って配属された部署によって決まります。つまりは運次第という事ですね。

 

 技能労務職については滅茶苦茶残業のある所に配属されることはありません(というか、無茶苦茶残業するほど仕事がない)。ただし、勤務日が不規則だったり夜勤があったりする場合もあるので注意が必要です。

 

 なお、技術系職員の場合は夜間工事の立ち合いで夜勤があったり、施設の運転管理で交代制勤務の場合もあります。技術職は机に向かってばかりが仕事ではないのでここら辺はあきらめましょう。ただ、自衛隊の勤務を経験していればそんなに辛いことは無いと思います。

 

 その他、台風や大雨等で警報が出た場合、防災配備でいきなり呼び出されたりすることもありますがこれは公務員である以上仕方がないですね。

 

3 休み・休暇

 部署によりますが土日でも開館している施設や交代制の部署以外は基本的に土日祝日は休みです。もし出勤した場合は代休が付きますのでそこら辺は自衛隊と同じですね。もちろん、代休を使う日を中隊が勝手に決めるみたいなことは役所ではありません。仕事と調整さえつけば基本的には自分の休みたい日に代休を使えます。

 

 陸自では休日でも初動要員や残留要員は駐屯地から出られません。一方、役所でも上で述べた通り災害等に備えて休日当番(気象警報が出たら出勤する)が設定されていたりはしますが、自衛隊の残留要員みたいに常に職場に缶詰にされたりすることは無いのでご安心を。

 

 あと、地方公務員なら有給休暇も使い放題だと思われるかもしれませんが、これも正直、地方自治体や所属部署の業務量と組織文化によります。ただ、現在では地方自治体もライフワークバランスの実現を目標に掲げたりしているので、全く取れないという事は多分ないはずです。

 

 私が陸自にいた時はそもそもお盆と年末年始以外は年休なんて使えないという感じでしたので、今の役所に入ったときに「え、普通に年休取ってもいいんだ」という感じでした。

 

 プライベートでは当たり前ですが役所に営内居住なんてものはないので、私生活での自由度は各段に上がっています。職場はプライベートに一切干渉してこないので貯金せずに遊ぼうが、車を買おうが、旅行に出かけようがとにかく自由です(というか世間ではこれが普通です)。職場の飲み会とか、地域のイベントに出席させられたり、組合の慰安旅行があったりしますが、自衛隊時代に比べればプライベートまで職場に拘束される頻度は非常に低いと言えるでしょう。

 

 地方公務員のデメリットとしては、夏期休暇はまとめて取れない事が多いです。自衛隊ではお盆辺りに夏期休暇と年休を足して部隊統一の長期休暇を取ることが多いと思いますが、地方自治体の場合、お盆でも窓口はカレンダー通りの平常運転なので休むことができないのです。しかも人員削減により長期間休んで職場を空けるという事が難しいため、結局8月の休めるときにバラバラに消化するという事になります。

 

4 仕事内容

 陸上自衛隊の場合、陸士長というのは基本的に責任ある仕事を任せられることはありません。上から色々言われてきつい所もあるのですが、部隊の運用や指揮に関して責任はないのでそこら辺は気楽です。

 

 一方、地方公務員の場合、技能労務職を除けば入庁直後から係員として一定の責任を任される立場となります。極端なことを言えば、書類のミス一つで役所が新聞に載り、知事や市町村長が記者会見で謝罪する事態になる可能性もあるわけです。

 

 現在の地方自治体は職員が削減されているため、非正規公務員の比率も増加しています。入庁して配属されてみたら係員は全員非正規職員で正規職員は自分だけだった・・・という可能性もあるのです。そこで係長が業務に精通していればまだ大丈夫なのですが、係長が残念な人だったりすると業務を一身に背負い込むことになるため責任がのしかかって結構辛いものがあります。

 

 まぁ、ここまでひどいことは滅多にないですが、それでも任される責任は陸士長時代と比べればかなり重いです。その分、やりがいはありますが相応の計画性、企画力、調整能力(特に大事です)が求められますので、陸士長だったころの考えは捨てて自発的に動いていくことが求められると思います。

 

 その他、自衛隊より大変なのは市民のクレーム対応です。自衛隊では陸士長が市民のクレーム応対をすることはほぼありませんが、市役所では総務系や管理系の部署でない限りは多かれ少なかれ市民からのクレームに対処しなければならなくなります。相手によっては延々と罵声を浴びせかけられることもあり、ストレスで精神を病み病休を取る人も少なくありません。

 

 私見ですが自衛隊出身者は一般人よりは精神的にタフなので、地方公務員になろうとしている自衛官の方はそれほど気にする必要はないと思います。ただ、こういう苦労もあるのだという事は覚えておいてもらいたいと思います。

予備自衛官等が長期間招集された際の保険、年金の取扱いについて

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 即応予備自衛官予備自衛官災害派遣招集が初めて行われたのは平成23年の東日本大震災でした。それから10年近くが経った現在、大規模災害時には即応予備自衛官の招集が当たり前のように行われております。令和2年7月豪雨では即応予備自衛官に加え予備自衛官の招集が行われ、被災地の生活支援に従事しました。

 

 さて、これまでの災害招集はおおむね1週間から10日程度の期間で実施されていましたが、今後、万が一有事が発生した場合は数カ月から年単位での招集も予想されます。その場合、色々と整理しなければならない問題が出てくるとは思いますが、身近なところでは保険や年金の取り扱いをどうするかという話が出てきます。

 

 日本国では国民皆保険、年金強制加入の制度を取っており、一部例外を除き全ての国民が何らかの制度に加入しております。大まかに説明すると以下の通り。

 

民間会社員   健康保険 厚生年金

 

自営業者等   国民健康保険 国民年金

 

地方公務員   地方公務員共済組合

 

 このように、予備自衛官等も通常はそれぞれの保険年金制度に加入しています。一方で、防衛省には国家公務員共済組合(防衛省共済組合)があり、自衛官を含めた防衛省職員が加入しています。予備自衛官等が招集された場合、本来ならば国家公務員共済組合法に基づく組合員資格を取得するため、防衛省共済組合に加入することになります。要するに、自衛官としてフルタイムで働くので年金や社会保険、福利厚生については元の職場じゃなくて自衛隊の方で面倒見ますよ、ということです。

 

 ただ、これまでの災害招集では招集期間が短期間であり、利点も少ないことから防衛省共済組合に加入することはありませんでした。しかし、例えば防衛招集によって年単位で職場を離れる場合は当然、防衛省共済組合に加入することが想定されます。

 

 具体的な事務手続きについては招集時に防衛省側から説明があると思いますが、会社員や地方公務員の場合は現在加入している保険年金や共済から離脱する手続きをしなければならなりません。長期間招集されると分かったら、地本に確認を取ったうえで出来るだけ早く職場の担当部署(総務課、人事課、職員課等)に相談しておく方が良いかと思います。特に地方自治体の場合は意思決定に時間がかかる場合も多いので早めに行動しましょう。

 

 また、扶養家族がいる方についても認定手続きの為に収入証明や在学証明等の書類が必要になる場合がありますので地本に必要書類を確認の上、早めに準備する方がいいでしょう。

 

 なお、本業が国家公務員の方については既に国家公務員共済組合に加入しているため今回解説した手続きは特に必要ないようです。

 

 今回解説した内容については以前紹介したパワーリザーブ2020年度版(第51号)の41pでも触れられております。興味のある方はこちらもご参照ください。

令和2年7月豪雨の予備自衛官等関連情報まとめ

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 南九州の豪雨災害で即応予備自衛官に続き予備自衛官の招集も始まっているようですが、いかんせん一般的なニュースにはなりにくく、どのような状況なのか知りたいのに情報が無いといった方もいると思います。そこで、予備自衛官等関係で情報収集に役立ちそうなホームページ、ツイッターのアカウント等をまとめてみました。

 

www.mod.go.jp

 

 防衛省のホームページで防衛大臣の定例記者会見を文書化及び動画にしたものです。最近では7月10日の記者会見で予備自衛官等の活動状況について触れられています。

 

 

 防衛省の災害対策用公式アカウントです。災害派遣の活動状況が逐次紹介されており、予備自衛官等がどの様な活動を行っているかも掲載されています。なお、統合幕僚監部のホームページでも同様に災害派遣の特集ページが新設されています。

 

 

 

 こちらは防衛省予備自衛官制度公式アカウントです。ツイッターによる情報発信でだけでなく、他部隊や地本等の予備自関連投稿をリツイートしているので情報収集に便利です。

 

 

 コア部隊である第19普通科連隊(福岡)の公式アカウントです。災害派遣に従事する即応予備自衛官の様子が動画で投稿されています。

 

 

 熊本地本公式アカウントです。地本所属の予備自衛官招集状況についてツイートされています。

 

 この他に九州の各地本、駐屯地のツイッターでも予備自衛官についてツイートされています。興味ある方は参照して頂ければと思います。

令和2年7月豪雨に対する予備自衛官等招集について

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 九州南部の豪雨災害に即応予備自衛官招集されています。即自についてはツイッター等を見る限り生活支援を主に従事しているようです。近年は大型災害が頻発し災害派遣によって訓練時間が削られる等の影響も出ていると聞きますが、即自の招集はその点においても現職自衛官の負担を軽減する効果があると思います。

 

 特に生活支援は本来の担い手である地方自治体が慢性的な人手不足(というか災害時の行政需要を考慮せずに人員を削減しまくっている)のため長期化しがちな業務ですので、即自の活用は通常訓練に与える影響を減らすことにもつながるでしょう。

 

twitter.com

 

 また、今回は予備自衛官についても最大100名を招集するとの事です。地本がコア部隊と受け入れ調整を行っているとの事で、招集された予備自についてはコア部隊で即自と共に任務に当たることになるのかもしれません。

 

twitter.com

 

 自然災害における予備自衛官の招集は令和元年台風19号以来ですが、当時招集された予備自衛官の業務は司令部勤務が多く、現場で重機のオペレーター等として活躍したのは定年退官組が殆どでした。今回は恐らく若年退職者や公募予備自も即自と同様の任務に就くと思われますので、災害派遣予備自衛官招集も回数を重ねるたびに運用の幅が広がっているように感じます。

 

 招集された予備自衛官が今回はどのような任務に就くのかまだ分かりませんが、やはり実際に活用してこそ制度は改善されていくものです。今回の経験を活かし防衛省自衛隊予備自衛官運用も更に洗練されたものになってくれればと思います。

予備自衛官等関連資料 POWER RESERVE第51号(2020年度版)

 「パワーリザーブ」は昭和45年に当初「予備自衛官のしおり」として創刊され、以後毎年1回、予備自衛官等の教養資料として刊行され続けているもの。令和2年度は第51号となる。鹿児島地本のホームページで読むことが可能。

 

www.mod.go.jp

 

 令和元年台風19号における予備自衛官等の活動実績(P6~)や、予備自衛官等が災害派遣で重機の操作をする場合、編成完結式後に技能検定を受け特技を付与され無ければならない(P9)など、有益な情報もあると思うので、興味ある方は目を通していただければと思う。

予備自衛官の資格昇進に関する注意点

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※制度運用について最新の情報を確認されたい方はまず最寄りの地本にご連絡ください。

 

 以前の記事で、元自衛官予備自衛官や一般公募予備自衛官が一定の資格を取得した場合、階級が上がるという話をしました。

 

reserve-f.hatenablog.com

 

 実はこの資格による昇進について、元自の予備自と一般公募予備自とでは扱いに差があります。

 

 一般公募予備自衛官の場合、技能公募予備自衛官に該当する資格を取得し地本に申告を行うと、技能公募予備自衛官と同じ扱いとなります。そのため即応予備自衛官に志願することは出来なくなりますが、階級が昇進し技能訓練にも参加することができるようになります。

 

 一方、元自の予備自衛官の場合も資格を取得すると昇進はするのですが、技能公募予備自衛官とは別の「技能予備自衛官」という区分になります。この区分は即応予備自衛官に志願することができず、また技能公募予備自が対象の技能訓練にも参加できません。

 

 技能公募予備自と同じ資格を持っているんだから技能訓練に参加したって問題ないだろうと思うのですが、現在の運用では無理みたいです。何とも中途半端な形ですが、資格を持っているので地本に申請しようとしている予備自の方はご注意ください。

 

 個人的には元自の予備自衛官が資格で昇進する意味合いはあまりないと思っています。即応予備自衛官に志願することは出来なくなりますし、技能訓練にも参加できないので身に着けた専門技能を生かす機会もありません。陸士長の志願上限が37歳だったころは上限年齢を引き延ばせる(例えば資格を取得して予備3曹に昇進すれば、その後何らかの事情で予備自を退職しても55歳までは再志願できる)という利点もありましたが、現在は陸士長の年齢上限も55歳まで引き上げられたのであまり意味は無くなっています。

 

 技能訓練に参加できるようにするか、保有する資格に応じて即応予備自衛官に志願することができる(例えば看護師の場合はコア部隊の本部管理中隊衛生小隊、建設機械施工技士の場合は施設作業小隊など)とすればまだ意味はあると思うのですが・・・。元自の予備自衛官の場合、部隊勤務経験があるのですから、コア部隊の任務に適合する資格を持つ技能予備自衛官については即応予備自衛官に採用しても良いのではないでしょうか。

 

 ちなみに、即応予備自衛官では保有する資格はほぼ考慮されません。そのせいで医師免許を持っているのに軽火器小隊長をしている幹部がいたり(こちらを参照。さすがに災害派遣中は医官として勤務されたみたいです)、私の知っている範囲でも看護師免許を持っていて普段は病院に勤務しているのに即自の時は全然関係ない役職についている人が普通にいました(だいぶ前の話なので今は変わっているかもしれません)。

 

 自衛隊側としても色々と事情があるとは思いますが、さすがにここら辺はもうちょっと効率的な運用ができると思いますので何とかして欲しいところではあります。