予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

予備自衛官等の手当増額は10月1日からか?

※当記事は公開情報を元に支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。また記事の内容は投稿日現在のものです。

 

※最新の正確な情報を確認されたい方は地本等へお問い合わせください。

 

 参議院議院の佐藤正久氏(元陸自1佐)が、ご自身のブログで予備自衛官等の手当について国会での審議を報告されています(2025-6-12「今国会、最後の質問」)。

 

 参議院インターネット審議中継(2025年6月12日 外交防衛委員会 32:15辺りより)でも質疑の全体を視聴することが可能です。

 

 内容を見る限り、予備自衛官等の手当増額は10月1日からになりそうです。つまり11月に支払われる7~9月分の(即応)予備自衛官手当までは従前の金額が適応されるということ。訓練招集手当についても9月30日までの出頭分は前の金額で支払われると思われます。

公務員の予備自衛官が有休をとって訓練に参加していることについて

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 現在、本業が公務員の予備自衛官等については年次有給休暇を取得し訓練出頭している人も多いと思います。その状況が改善するかもしれません。

 

news.yahoo.co.jp

 

 報道によれば、来年度中に見直すとの事。もっと早くしてくれよとは思いますが、防衛省全体で予備自衛官等の制度設計に携わる人員がそれほど多くない上に、手当の増額など他の仕事も重なっていると思いますのでこればかりは頑張ってとしか言えません。

 

 どのように制度改善するのかはまだ分かりませんが、職務専念義務免除で参加できるようにするのか(消防団充実強化法の例あり)、特別休暇を定めるのか(国家公務員が裁判員として出頭する場合など)、あるいは「外国の地方公共団体の機関等に派遣される一般職の地方公務員の処遇等に関する法律」のような内容を新設するのか(海外協力隊などが該当)、色々やり方はあると思います。

 

 地方自治体では予備自衛官等の訓練参加について統一した基準が無く、年次有給休暇しか認めなかったり、職免は認めるけど有給休暇は認めなかったり、職免が認められても有給の職免だったり無給の職免だったり対応がバラバラです。予備自衛官等が報われるように、ここらへんの問題点も解消できるような制度設計をお願いしたいと思います。

 

 「訓練招集に職免(無給)で参加できるようになりました!」とかやられても「それだったら年次有給休暇で参加した方がましじゃん」となるので。あと、地方自治体等が雇用企業給付金等の対象から除外されているのもこれを機に何とかして欲しいものです。

令和7年度の訓練招集時期は後の方が良い?

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 令和7年度に入り、予備自衛官については地本と訓練日程調整を進めているかと思いますがここで注意したいことが一点。令和7年度から予備自衛官手当及び訓練招集手当が増額されますが、増額される時期が令和7年度の何月からというのは現段階で未定です(4月から増えるわけではない)。なので、訓練招集手当については早めに招集訓練を設定してしまうと従来の手当額(8,100円)が支給されるかもしれません。もし訓練招集手当の支給額を増やしたい場合は年度後半に訓練を入れる方が増額される可能性が高くなるかと思われます。

 

 なお、同様の点は即自にも言えますが、こちらの方は射撃や検閲の関係上、招集訓練を全部後半に固めるというのは難しいと思いますので、出来るのは後半に持ってこれる訓練招集は後半にするよう部隊と調整することぐらいでしょうか。

自衛官の再就職について鉄道事業者や自治体へ働きかける前に国で出来る事があるんじゃないかという話

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 防衛省が関係省庁、地方自治体及び民間事業体と退職自衛官の再就職について申合せを締結したとのことです。

 

www.mod.go.jp

 

 ちなみに予備自衛官等制度に関する取り組みについても申合せの中で触れられています。

 

 定年退官後に再就職した自衛官の処遇について、年収の大幅低下など厳しいとの声はよく聞きますが、これを改善する取り組みの一環のようです。報道によれば今後他業種の事業体にも広げていく予定とのことで、退職自衛官がより良い条件で再就職できるようになれば隊員募集にも利点になると思います。

 

 ただ、私が思うに民間事業体や地方自治体に協力を要請するなら、まず国自身が出来る事からやるべきではないかと。

 

 例えば中央省庁や独立行政法人では昔と比べ大幅に数は少なくなりましたが技能職員(行政職俸給表(二)が適用される職員。守衛や自動車運転手等)を採用しています。防衛省では令和6年度に自動車運転手、守衛、ボイラー・配管工、電気整備の技能・労務職を募集しました。

 

 これらの職員に定年退官した自衛官を充てるようにすればどうでしょうか。年収は現職時代よりも下がるでしょうが、それでも経年加算によりある程度の給与と再任用を含めて65歳までの安定した雇用が保障されます。

 

 また本人の能力に基づいて防衛省の事務官や技官への任用替や、他省庁へ採用もしくは異動等の方法も考えられます。

 

 特に土木、建築、電気、化学等の分野で知識、技能を持つ自衛官ならば、技術系の国家公務員については令和6年度の採用試験が定員割しているような状況なので、受け入れる官庁側もメリットはあるのではないかと思います。

 

 ちなみに、戦前には定年となった陸軍下士官陸軍省軍属や他省庁の官吏・公吏(地方公務員)として採用する制度がありました(採用に積極的だったのは陸軍省のみで他省庁は技術系兵科出身以外の軍人採用には消極的だったようですが)。

 

 自衛隊の側でも関連する職種の隊員に施工管理技士建築士等の関連する資格の取得を促してスキルアップすれば国家公務員だけでなく地方公務員(技術系なら50歳以上でも正規職員採用試験応募可となっている自治体も増えている。そして、それでも規模の小さい自治体では応募者が少ない!)への道も開けてきます。

 

 国の機関で実施出来る分、民間企業に「お願い」するよりはハードルが低いでしょうし、退職した自衛官にある程度の年収と安定した就職先を用意するという点でも望ましいと思いますので、国や防衛省には「隗より始めよ」の精神で取り組んで頂けたらと思います。

消防団員の報酬等が非課税なら予備自衛官等の手当も非課税であるべきでは?

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 予備自衛官の現行手当は年額88,500円(即自の場合は504,000円~618,000円、いずれも全日数出頭した場合)ですが、税金が天引きされますので実際に手元に入る金額はこれより少なくなります。

 

 一方で、特別職地方公務員である非常勤の消防団員については年額報酬(予備自衛官等における(即応)予備自衛官手当に該当か)では年50,000円まで非課税、出動報酬(予備自衛官等における訓練招集手当に該当か)については災害出動が一日8,000円まで、災害以外の出動が一日4,000円まで非課税です。実際には報酬がここまでの金額に届かない人も多く実質全額非課税の団員も多いのだとか。

 

www.fdma.go.jp

 

 この理由は、予備自衛官等の手当が「給与」であるのに対し、消防団員の報酬が上記金額の範囲内において給与ではなく「消防団として活動する費用の弁償」と見なされているためです。要するに消防団活動をするのに色々と個人負担が発生するのでその相殺として報酬を支給するから税金はかからないということ(一般企業の通勤手当みたいな考え方でしょうか)。

 

 ちなみに出動報酬については令和3年度まで全額非課税でしたが、国税庁が全額給与所得(課税対象)にしようとしたところ、猛反発を食らって現行の制度になったという経緯があります。

 

 この考え方で言えば、予備自衛官等の手当も一定額を限度として費用の弁償として非課税にしてもよさそうなものだと思います。何だかんだ訓練以外で負担になる部分はありますので・・・。

予備自衛官等の手当が大幅増になった件について

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 自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議(第4回)の資料等が公開されました。

 

www.cas.go.jp

 

 この中で予備自衛官等の処遇向上も取り入れられていますが、昔から予備自衛官をやっていた身からするとこれが結構衝撃的であります。細部はリンク先の資料を見てもらうとして手当の増額は以下の通り。

 

予備自衛官

予備自衛官手当

月4,000円→月12,300円

訓練招集手当

一日8,100円→一日11,000円

(即自任官の訓練だと一日8,300円→一日13,200円

更に今まで即自だけだった任満金も70,000円で新設されます(3年に一回)。

結果として今まで年約9万円だった手当が約23万円と大幅に上昇しました(但し税引き前。以下同)。

 

即応予備自衛官

即応予備自衛官手当

月16,000円→18,500円

訓練招集手当

一日10,400円~14,200円→一日17,100円~26,300円

勤続報奨金(3年に一回)

12,0000円→21,5000円

結果として年約54~66万円だった手当がこちらも約81~108万円と大幅に上がります。

 

 これらは令和7年度予算から反映されるとの事なので、もしこのまま実現すれば来年4月より予備自衛官等の手当は大幅に上がる事になります。

 

 更に、任期制隊員が任満退職後に予備自衛官等に任官しながら大学等(これまで対象は四年制大学だけだったが大学→大学院、短大(専攻科)、高専(専攻科)、専門学校(4年制)を追加)に進学した場合に支給される就学支援給付金も予備自衛官年48,000円から356,000円に、即応予備自衛官の場合は年291,000円から535,800円と大幅増になりました。

 

 ちなみに即応予備自衛官の就学支援給付金535,800円は国立大学の年間授業料と同一でありここからはじき出された数字だと思われます。

 

 その他、国家公務員又は地方公務員が予備自衛官等の職を兼ねる場合においても訓練に参加しやすくするための制度を整備(令和8年度以降)とのこと。

 

 正直な所、ここまで金額が上がるとは思ってもみませんでしたが、それだけ予備自衛官等の定員割れが深刻なのでしょう。注意する点として、予備自衛官は今回の制度改正が通れば年間の支給額が20万円を超えてしまうため新たに確定申告が必要になる人が出てくるという点です。本業を持っている人はほぼ全員が該当すると思いますので気に留めておきましょう。

予備自衛官手当が月額4千円から1万900円へ

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 産経新聞の報道は以下の通り。

 

www.sankei.com

 

 また防衛省の人的基盤の抜本的強化に関する検討委員会の概要については以下を参照。

 

www.mod.go.jp

 

 予備自衛官には毎月支給される予備自衛官手当と、訓練招集に出頭すると支給される訓練招集手当があるが、今回増額と報道されているのは予備自衛官手当の方である。実現すれば昭和62年以来の予備自衛官手当増額となる。

 

 ちなみに年間総支給額は年5日出頭で考えると

 

予備自衛官手当   10,900円×12ヶ月=130,800円

訓練招集手当      8,100円×  5日間=  40,500円

                 合計 17,1300円

 

となり、現行の88,500円から大幅な増額である。

 

 この他、検討委員会の資料では

 

  • 採用時の年齢要件や身体検査基準の緩和など予備自衛官の採用要件の見直し(R6年度)
  • 公務員(非常勤)を兼ねる予備自衛官の出頭しやすい環境の整備(R7年度以降)
  • 予備自衛官補採用試験の緩和(R7年度以降)
  • 空自への予備自衛官補制度の導入(R8年度以降)

 

 など制度の見直しについて触れられている。個人的には2番目が特に気になるのだが、招集時に職免を利用出来たり、予備自衛官等になるのに営利企業等従事許可申請が不用となるような法改正を期待したい。

予備自衛官等関連資料 予備自衛官及び即応予備自衛官の雇用企業等に対する意識調査

 令和6年能登半島地震における予備自衛官等災害招集について雇用企業側にインタビューを行いその結果を分析したもの。契約したのはEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社。

 

 分析結果としては特に目新しいものでもないが、雇用企業側の「意識」を知る上では予備自衛官側によっても有用なのではないかと思う。

 

 興味ある方は以下を参照されたい。

 

https://www.mod.go.jp/j/policy/hyouka/yosan_shikko/2023/2023_itaku_seika01.pdf

 

https://www.mod.go.jp/j/policy/hyouka/yosan_shikko/index.html

自衛隊法改正に伴う予備自衛官等制度への影響

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 防衛省設置法等の一部を改正する法律案が成立し、令和6年度中に施行される見通しです。今回の法改正では予備自衛官等関係の改正も含まれており、恐らく今年度から来年度にかけて現在と若干制度が変わってくる事になると思います。

 

www.mod.go.jp

 

 具体的には以下の二点。

 

1 上限年齢の緩和

 今までは予備自衛官の継続任用年齢上限が62歳未満(1任期3年の為、継続すると65歳を超えてしまう)だったところを、3年未満の継続任用も可能となったため、例えば64歳で任期満了を迎えた場合は1年未満の任期で継続任用する事も可能となった。

 また、即応予備自衛官についても、継続任用時に現職自衛官の定年年齢から3を減じた年齢を超えている場合でも3年未満の継続任用が可能となる。これも例えば55歳で任期満了した即応予備1等陸曹だと現職1曹の定年が56歳の為、1年未満の任期で継続任用可能という事。

 なお一部の技能予備自衛官については既に上限年齢が廃止されている。

 

www.mod.go.jp

 

2 予備自衛官補教育訓練の延長期間が最大2年間に

 予備自衛官補の教育訓練は3年以内に修了しなければならないが、現行の制度では1年間の延長が可能であった。この延長期間が最大2年間になるとの事。

採用年齢を引き上げるのは良いとして・・・

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 予備自衛官補(一般)の採用年齢上限が52歳未満まで引き上げられるとの事。

 

www.mod.go.jp

 

 今後何かしら追加情報が発表されるのかもしれないが、とりあえずは今出ている情報だけで所感を述べてみたい。

 

 年齢の引き上げ自体は良い事かと思うが、それだけだと50代の予備2士が誕生する可能性もある。有事にどのような運用をするつもりなのだろうか。

 

 有事における予備自衛官の主任務は駐屯地等の後方警備だが、その中でも2士がやる仕事は部隊末端としての歩哨が主である。常備自衛官ならば10代~20代前半の陸士がやる仕事だ。勿論、不審者や敵が侵入してきた場合、制圧する事も任務に含まれているわけで、こう言っては何だが“老兵”には荷が重すぎるのではないか。

 

 或いは駐屯地の恒常業務で事務仕事や整備をやらせようというのか。それとも定員割れしている(もしくは訓練を修了して任官する人数が少ない)のでともかく志願者を多く集めて充足率を上げたいと言う事だろうか。

 

 確かに有事となれば人はいくらいても足りなくなるだろうが、現行の予備自衛官補制度を採用年齢上限だけ緩和しても合理的な人材運用にはならないのではないかと思う。今回の上限緩和で新たに対象となる年代は30代中頃から50代前半にかけてだが、既に体力の全盛期を過ぎており“兵隊”としての能力は低い。この年代が一般社会で求められるのは監督職、管理職としての能力であり、自衛隊側としてもそれだけの能力を持った人材を期待し、尚且つ2士にするのではなくて相当な待遇を用意すべきだろう。

 

 例えば民間会社で経理の課長をやっていた人物を予備自衛官補(一般)として採用し、2士に任官させて駐屯地の警備に従事させるとしたら、それはまさに人材の浪費としか言いようがない。民間会社での地位と能力・経験を考慮して適切な教育を行い、相応の階級で会計業務に就かせるべきだ。

 

 そのために、最初は任官者全員が予備2士になるのは仕方ないとしても、例えば予備陸曹候補生試験や予備幹部候補生試験の様なコースを用意して、希望する者は学歴や本業での能力を考慮した上で選抜し、より上位の階級に進めるような制度を用意すべきではないか。ちなみにポーランドの領土防衛軍(パートタイマーの軍人による郷土防衛部隊)では下士官や将校の養成コースが用意されている。

 

 予備自衛官等制度では一定の国家資格・公的資格保持者を除き自衛隊以外での職歴、学歴は階級に影響しない(有事に招集された際の俸給算定に影響する場合がある程度)。昇進についても国家資格等による昇進を除き技能や能力ではなく訓練出頭日数に寄るところが大きい。

 

 だが会社である程度の地位にあり、マネジメントの経験を持つ中年世代が、予備自衛官補(一般)の採用試験に受かり、本業との兼ね合いに苦労しつつ50日の教育訓練を修了して任官できるのが予備2士というのでは、魅力的と言えるだろうか。しかも昇進に必要な期間は長く、自身の能力はほぼ関係ない。

 

 防衛省自衛隊側としては訓練日数が制限される以上、短期間で陸曹や幹部に必要な能力を付与することは出来ないと考えているかもしれないが、予備自衛官補の訓練にeラーニングが導入され、また一般財団法人防衛支援事業団など防衛省の業務を部外委託できる組織がある現在、工夫しだいによって訓練機会を増やすことは可能だろう。夜間大学の様に平日の夜や休日に地本等の施設を利用して防衛支援事業団職員を講師として座学を行うなど、やりようはいくらでもあると思う。また若年層の予備自衛官についてもこのように教育の機会が増えれば能力とモチベーションの向上につながるだろう。

 

 もっとも、防衛省自衛隊の意図が「ともかく充足率を上げるために年代はどうでもいいから頭数を集めたい」というのであれば、こんなことをやってる場合ではないのかもしれないが・・・。

能登半島地震で即応予備自衛官、予備自衛官の招集が決定

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 最大約100名の招集になるとの事。内訳は予備自衛官(医療従事者)10名、即応予備自衛官90名。

 

 令和2年7月豪雨の即自300名、予備自54名や令和元年台風19号災害の即自368名、予備自53名に比べると小規模ですが、今回は長期間の生活支援活動に従事すると言う事なので、現場で活動する即自、予備自を順次交代させつつ活動期間を長く取るつもりなのかもしれません(即自、予備自の災害招集期間は最短1週間程なので、最初から参加可能な人員全てを招集してしまうと補充が追い付かなくなり活動期間自体が短くなってしまう。また活動期間が長期に渡れば即自、予備自側も日程調整がしやすくなり参加可能な人員も増える)。

 

 詳細は以下の防衛大臣臨時記者会見を参照下さい。

 

www.mod.go.jp

国会議事録と予備自衛官

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 私がブログ関係でネタ探しをするとき、たまに調べたりするのが国会の議事録です。予備自衛官制度なんて国会で話題になることも無いだろう・・・と思われるかもしれませんが、国会会議録検索システムで検索するとそれなりに議員側から質問が出ていることが分かります。また防衛省の広報媒体に記載されていない情報が出てきたりもするので貴重な情報源にもなります。

 

kokkai.ndl.go.jp

 

 直近では第212回国会の衆議院安全保障委員会参議院外交防衛委員会予備自衛官について取り上げられています。内容はサーバー人材の確保に関するものや人的基盤の強化に関する有識者検討会の報告書に関するもの、或いは予備自衛官の手当の金額についてなど。ちなみに以前から予備自衛官について比較的頻繁に質問されているのは自衛隊出身の佐藤正久参議院議員です(公務員の予備自衛官が訓練参加に職免が使えないという話をしたのも佐藤議員)。

改めて本業が公務員の予備自衛官について防衛省が改善した方が良い点を考えてみる

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 令和5年度防衛省行政事業レビューを始めとして近々に公表された防衛省の各種資料では予備自衛官等制度について抜本的な制度の見直し、体制の強化を図ると明言されており、実際に防衛省内では作業が進んでいると考えられる。

 

 一方、予備自衛官等を兼ねる国家公務員、地方公務員について防衛省はこれまで「国家公務員等が予備自衛官補を兼ねる場合の教育訓練招集手当の支給について(通知)(平成27年3月31日防人育第5841号)」、「予備自衛官等を兼ねる国家公務員等が訓練招集等に応じた場合の勤務先である所轄庁の取扱いについて(通知)(令和元年防人育第4666号)」等によって運用の整理を図ってきたところである。

 

 また、令和5年7月12日に公表された「人的基盤の強化に関する有識者検討会」による報告書では「公務員が訓練等に応じて、平素の勤務先を離れる場合、給与が減額されるため有給休暇を取得」(第4回会議資料2の16ページ)が重点検討項目として挙げられており、国家公務員、地方公務員の予備自衛官等に関する問題点について防衛省側もある程度は把握しているのであろう。

 

 公務員の予備自衛官についてはこれまでも何回か記事にしてきたが、今回は法令・規則・制度等で改善して欲しい点についてまとめていきたいと思う。

 

 まず、第一点は「消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律(以下、消防団充実強化法)」の予備自衛官版を作ってほしいという事。この法律では公務員が消防団員を兼ねる事について以下のように規定している。

 

(公務員の消防団員との兼職に関する特例)

第十条 一般職の国家公務員又は一般職の地方公務員から報酬を得て非常勤の消防団員と兼職することを認めるよう求められた場合には、任命権者(法令に基づき国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第百四条の許可又は地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第三十八条第一項の許可の権限を有する者をいう。第三項において同じ。)は、職務の遂行に著しい支障があるときを除き、これを認めなければならない。

2 前項の規定により消防団員との兼職が認められた場合には、国家公務員法第百四条の許可又は地方公務員法第三十八条第一項の許可を要しない。

3 国及び地方公共団体は、第一項の求め又は同項の規定により認められた消防団員との兼職に係る職務に専念する義務の免除に関し、消防団の活動の充実強化を図る観点からその任命権者等(任命権者及び職務に専念する義務の免除に関する権限を有する者をいう。)により柔軟かつ弾力的な取扱いがなされるよう、必要な措置を講ずるものとする。

 

※ちなみに「職務の遂行に著しい支障があるとき」とは「例えば、国家公務員においては、通常の勤務時間外において、国民の生命又は財産を保護するための非常勤務に従事する義務が課されている危機管理用宿舎又は防災担当職員用宿舎に入居している防災担当職員など、一定の状況が生じた場合、通常の勤務時間外においても、一定の時間内に勤務場所等に到着して一定の業務に従事する義務が課されている職員が消防団活動を行うことにより当該義務を履行できなくなる場合」を指す。また職務専念義務免除について「国家公務員については、政令第2項において、職務専念義務の免除の承認の請求があった場合、公務の運営に支障がある場合を除き、承認しなければならないとされているところ、公務の運営に支障がある場合とは、職務専念義務の免除の承認を請求した職員に求められる職務の遂行に支障がある場合ではなく、当該職員が所属する組織の運営に支障がある場合をいい、この場合を除き、職務専念義務の免除を承認しなければならない」としている。要するに「お前、仕事忙しいんだから」という理由だけでは「職務の遂行に著しい支障があるとき」、「公務の運営に支障がある場合」とは認められないという事。

 

参照

 

消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律第十条第一項の規定による国家公務員の消防団員との兼職等に係る職務専念義務の免除に関する政令(平成二十六年政令第二百六号)

 

消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律第十条第一項の規定による国家公務員の消防団員との兼職等に係る職務専念義務の免除に関する政令等の公布について(通知)(平成26年6月11日消防地第46号)

 

 公務員が予備自衛官になろうとした時に、一番のハードルが「兼業許可」の取得である。基本的に官公庁で兼業申請を出す人はあまりいないし、ましてや予備自衛官となると大多数の役所で初めての事例となるだろうから、申請の為の資料作成から上司、人事担当部署への説明まで結構な労力を必要とする事になる(無論、地本の担当部署も職場に説明に来たり色々と協力はしてくれるが)。

 

 そして一番の問題は上司や人事部署の判断であっさり却下されてしまう場合がままあるという事だ。予備自衛官について消防団充実強化法と類似の法令が出来れば官公庁側は上記に挙げた特殊な事情でもない限り予備自衛官等の兼業申請を認めないわけには行かなくなるので、ハードルはほぼ消滅する。

 

 訓練招集参加についても防衛省から職免を基本とするとの通知が出ているが、特に地方公務員については最終的に勤務先の自治体の判断となるため、現状では職免が認められたり、認められずに有給休暇で参加したり、逆に職免は認めるが有給休暇を取得しての参加は認めない自治体もあるなど対応がバラバラである。これも消防団充実強化法と同じような規定が出来れば職免による訓練参加に統一されていくだろう。また、防衛招集がかかった場合を考えてもその方が望ましいと考えられる。

 

 二つ目に上げたいのが防衛招集時の対応について予め規定して欲しいという事。予備自衛官等が実任務で招集されたのは現在のところ災害招集に留まっているが、もし有事になれば防衛招集等で長期間の招集になることも想定される。例えば地方公務員の予備自衛官については加入する地方公務員共済組合から国家公務員共済組合に移ることになると考えられるが、有事の際は招集まで時間的余裕があるとも思えず、また国共済だけでなく勤務先を通じて地共済とも書類提出等の手続きを行わなければならない為、平時よりどのような書類、手続きが必要か予め示してもらえるとありがたい。

 

 また、招集されている間は公務員の勤務先での扱いは恐らく無給の職免という事になると思うが、この扱いについても法令で予め規定した方が有事の際に手続き上の混乱を避けられるであろう(例えば公務員が現職のままJICA海外協力隊へ参加する場合は「国際機関等に派遣される一般職の国家公務員の処遇等に関する法律」及び各規則、「外国の地方公共団体の機関等に派遣される一般職の地方公務員の処遇等に関する法律」及びそれに基づく各地方自治体の条例により運用が規定されている)。

 

 三点目は各種給付金の支給である。予備自衛官等制度には雇用企業の負担に報いるため「即応予備自衛官雇用企業給付金」、「即応予備自衛官育成協力企業給付金」、「雇用企業協力確保給付金」等の給付金制度があるが、国、地方公共団体及び公共団体は除くとなっている。この理由については、「国については防衛政策を行う主体であることから除外し、営利を目的としない地方公共団体及び法人税法別表第1に掲げる公共法人についても、公共性が強く国の政策に協力させるためのインセンティブを与えるという給付金の趣旨から支給の必要性がないと考え除外した(即応予備自衛官雇用企業給付金支給要領逐条解説)」とされている。

 

 しかしながら、例えばJICA海外協力隊では地方公務員が現職参加した場合、勤務先の地方自治体には現職参加者を継続して雇用することを促進するための経費として現職参加促進費が民間企業と同様に支払い対象となっている(但し国家公務員は対象外。これは海外協力隊が国の事業(ODA)の一環として行われているからか)。現在、全国の地方自治体は厳しい財政状況と人員削減の中にあり、また通常の訓練招集に加えて昨今の国際情勢を鑑みるに今後防衛招集が発出される可能性もあることから、地方自治体に対する負担を軽減するために前述の予備自衛官等関係給付金は支給対象とするのが妥当ではないだろうか。

 

 この問題については、訓練招集や災害派遣招集、防衛招集などで予備自衛官の職員が職場から抜ける負担は自治体も民間企業と変わらないのに、「営利を目的としない」との理由だけで給付金対象から除外するのは整合性が取れないのではないかと思う。また予備自衛官の兼業許可が地方自治体の判断にゆだねられている現状では、給付金が認められるだけで地方自治体側の心象も変わり、申請が認められやすくなるという利点もあるのではないか。

 

 国家公務員及び地方公務員の予備自衛官等については古い資料だが平成24年度時点で予備自衛官約1,300人、即応予備自衛官約50人、予備自衛官補約50人がいるとの事である(第180回国会 衆議院予算委員会第一分科会 第1号 平成24年3月5日)。公務員については民間企業と比較して予備自衛官等の勤務を継続しやすい労働環境にあると思うので、予備自衛官等の充足率向上のためにも防衛省には安心して予備自衛官等になれるような制度改正をこれからも進めて頂きたい。

防衛省行政事業レビュー(令和5年)について

※当記事は公開情報を元に支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。また記事の内容は投稿日現在のものです。

 

 令和5年行政事業レビューの公開プロセスが防衛省のホームページに上がっています。

 

www.mod.go.jp

 

 今年度の行政事業レビューでは予備自衛官等制度も対象となっており、外部有識者より予備自衛官等制度の改善点について議論がなされています。内容としては予備自衛官である私から見ても同意できる点が多々あり、防衛省としても意義のあるものだと感じます。議事録も公開されておりますので興味ある方は少々長いですが一読してみる価値はあるでしょう(手早く確認したい方は取りまとめコメントで要旨を確認できます)。

 

 取りまとめコメントには「訓練内容をやりがいのあるものにアップデート」という記述もありましたが、予備自衛官に関しては年間参加可能日数が基本5日間(本来は20日以内)とそもそも少なすぎるのです。受入部隊の都合等もあるので簡単に訓練招集の日数や受入人員を増やせないのは分かるのですが。

 

 私見ですが、地本計画で1日座学だけの招集訓練を年何回か設定するとか、ともかく訓練参加の機会を増やし間隔を短くしないと、年間の訓練参加回数が1~2回だけでは知識や技能も定着せず、モチベーションは上がりません。あるいは座学の担当者として定年退職組や一定の資格を持つ予備自衛官を活用すれば常備隊員の負担も減らせると思います。

 

 また「自衛隊に関連する民間委託業務を拡大し、当該業務に関わる場合、予備自衛官等の一定人数の雇用を条件に」するとの意見もありましたが、先日の那覇駐屯地等での給食業務停止を見るに給食調理業務の委託などまさに丁度よい案件ではないでしょうか。

 

 議事録を見る限り、防衛省側も充足率低下の原因自体は把握している様です。あとはどれだけ効果的な施策を実施できるかどうかですが・・・。

予備自衛官補(技能)が予備自に任官する際の階級について

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 以前、予備自衛官補(技能)が予備自衛官に任官した際の指定階級について記事にしておりましたが、技能区分によってだいぶ変化しているため改めてリンク先を提示しておきたいと思います(海上予備自衛官補についてはこちらに記載がないため採用要項を参照)。

 

(リンク先の「技能公募予備自衛官に任用後の階級について」)

www.mod.go.jp

 

 以前からの変更点としては、通信(システム防護)、人事(遺体衛生保全士(エンバーマー)、納棺士、保育士)が新設されたこと、技能・甲(幹部階級を指定)に看護師が加わったこと等が挙げられます。なお、以前は准看護師の指定階級が3等陸曹でしたが、現在は年齢や職務経験年数によって2曹、1曹にも任官できるようになっています。