予備自衛官等兼業特例法案が提出された背景について
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予備自衛官等兼業特例法案が閣議決定され、今後国会での審議も進むと思われるが、この機会に法案が提出されるに至った流れを簡単に説明しておきたいと思う。
そもそも、予備自衛官制度が発足したのは昭和29年であるが、当初から国家公務員、地方公務員の予備自衛官は存在していたと思われる。
地方公務員法実例判例集によれば昭和30年に複数の自治体から自治庁(現総務省)に地方公務員は予備自衛官になれるのかという問い合わせがなされているが、これは当該地方自治体で予備自衛官を志願する職員(元自衛官)がいたという事であろう。これに対する自治庁の回答は地方公務員法第三十八条第一項のに基づく任命権者の許可を得れば可能という事であった。ただし職免で訓練招集に参加する場合は条例で特別の定めが必要との判断されていた。また防衛招集で長期の招集となる場合は、「当該職員に無給休暇を与え、又は当該職員を休職する等の措置をとることが必要である」というのが当時の自治庁の見解である。
国家公務員についても国家公務員服務関係質疑応答集によれば昭和29年に人事院名古屋地方事務所長より人事院管理局法制課長に大して問い合わせが行われ、国家公務員法第104条による内閣総理大臣及びその職員の許可があるときは予備自衛官になれること、また職免で訓練参加した場合は給与が減額されるとの回答が行われている。
以後、公務員でも兼業許可があれば予備自衛官になれることがはっきりしたものの、訓練招集参加については法令等で一律に規定される事無く、各省庁・自治体がバラバラに対処、運用するという状態が長く続いた。結果として、訓練参加に職免が使える役所があれば、使えない役所もあり、また職免が使えたとしてもその間の給料が出たり出なかったりなど、同じ公務員でありながら訓練参加の条件が大幅に異なる事態となったのである。兼業許可条件についても一度許可を得れば災害招集等で再度兼業許可申請を出す必要が無い役所がある一方、訓練招集だけの兼業許可を認めて災害招集される際は別途兼業許可を申請しなければならない等、煩雑な手続きを要する事例も存在した。
国家公務員等を兼ねる予備自衛官等がごく少数ならばこれでも大して問題にならなかったもかもしれないが、例えば平成23年では予備自衛官約1300人、即応予備自、予備自補はそれぞれ約50人が国家公務員及び地方公務員であり(第180回国会 予算委員会第一分科会 第1号(平成24年3月5日(月曜日))より)それなりの人数がいたのである。
防衛省側もこの問題について無関心だったわけではなく、平成27年には任命権者が兼業許可条件を無報酬とした場合に対応できるように、無報酬で予備自衛官補が出来る手続きについて通知を発出。また令和元年には国家公務員及び地方公務員が訓練招集に参加する場合は職免で参加するのが基本との通知を発出し、統一した制度運用を図っている(但し有給休暇で出頭することは排除されない、また地方公務員の場合は最終的に任命権者の判断とされている)。
この問題に関しては元自衛官の佐藤正久参議院議員(当時)が度々、予備自衛官の声を国会で取り上げたこともあってか、令和5年の「防衛省・自衛隊の人的基盤の強化に関する有識者検討会」では「公務員が訓練等に応じて、平素の勤務先を離れる場合、給与が減額されるため有給休暇を取得」が課題として言及された後、令和7年の「防衛力の抜本的強化に関する有識者会議」において「令和8年度中に国家公務員又は地方公務員が予備自衛官等の職を兼ねる場合においても訓練に参加しやすくするための制度を整備」と具体的な目標が掲げられた。
そして令和7年6月に石破総理(当時)が予備自衛官等を兼ねる公務員が有給休暇を取って訓練に参加している状況を速やかに見直すように関係閣僚に指示を出し、今回の法案提出に至ったわけである(言うまでも無いがこれは高市氏が総理大臣になるより前である)。
この間、防衛省は公務員を兼ねる予備自衛官等に複数回にわたってアンケートを実施し問題点の把握に努めている。
なお、余談ではあるが消防団員(非常勤特別職地方公務員)については平成26年に消防団等充実強化法によって、任命権者は一般職の国家公務員又は一般職の地方公務員から報酬を得て非常勤の消防団員と兼職することを認めるよう求められた場合には一部例外を除きこれを「認めなければならない」とされ、職免による消防団活動参加についても柔軟かつ弾力的な取扱いがなされるよう、必要な措置を講ずるとされた。
本法案については様々な意見があろうと思うが、経過を見れば長期にわたり本業が公務員である予備自衛官等が要望してきた事を反映したものであると言える。この背景を認識したうえで、今後有意義な国会審議が進むことを一予備自衛官として切に期待するものである。
予備自衛官等の職務の円滑な遂行を図るための国家公務員及び地方公務員の兼業の特例に関する法律案が閣議決定
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防衛省のホームページで法案が公表されています。また4月3日の小泉防衛大臣記者会見でも言及されました。
ざっと読んだ限りでは事前に報道されていた内容の通りで、国家公務員、裁判所職員、自衛隊員(恐らく期間業務隊員等が対象)、地方公務員の予備自衛官等が招集や訓練参加する際には職務専念義務が免除される事、及び一度職場の承認受けたら、訓練や招集のたびに許可申請をする必要がない事等を定めています。また訓練招集中は本務の給与も減額されないとされています。
但し、国家公務員、裁判所職員が有事・災害時に職免で招集される場合には、給与が減額されると規定されています(自衛隊員は政令で別途規定。また地方公務員については各地方自治体の条例等で今後規定されることになると思います)。要するに訓練招集では給与を減額しないけど、防衛招集とかでは長期の招集も予想されるし、自衛隊から現職隊員と同様に給与も支給されるので本務の給与は減額しますよ、との趣旨でしょう。
施行時期については公布後1年以内なので、国会の議論も含め今後も注視していきたいと思います。
「予備自衛官等兼業特例法案」が今国会に提出
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「人的基盤の強化に関する有識者検討会」やニュースなどでもたびたび話題に上がっていましたが、遂に法案提出となるみたいです。
法案の中身はまだ分かりませんが、記事によれば少なくとも訓練招集で職免を使えるのは確実みたいです。消防団充実強化法のように兼業許可が不用とまではならないようですが、本業が公務員の予備自衛官等にとって訓練参加に職免の法的根拠が出来るのは大きな前進でしょう。引き続き新たな情報に期待していきたいと思います。
招集手続等が令和8年度から電子化される予定
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以前からパブリックコメントで政令案が出ていましたが、大分地本のHPに参考資料が上がっていました。
https://www.mod.go.jp/pco/oita/04_reserve.html
https://www.mod.go.jp/pco/oita/04_reserve/pdf/2025_09_yobiji_3.pdf
上記資料によれば令和8年度より予備自衛官等管理システムの運用を開始し、これまで郵送や電話で行っていた訓練招集、防衛招集等の招集時期調整や招集命令書の交付、人事関係書類の提出を電子システム上で完結させるとのことです。慣れ親しんできた紙の訓練招集命令書も今年度で見納めですね。
ちなみに予備自衛官等管理システムの仕様書によれば予備自衛官側からの操作は個人のパソコンもしくはスマホ等から行うとのことなので、これから年度末(あるいは令和8年度に入ってから?)にかけて地本からシステムの登録・使用方法等について何らかの説明があるかと思います。
https://www.mod.go.jp/gsdf/dc/cfin/html/img/i055-R7.7.24.pdf
大分地本の説明資料にはその他にも招集等に関する制度変更(防衛省招集等の出頭先部隊等)について記載されているので興味ある方が一読頂ければと思います。
「有事が終わった後」の予備自衛官について
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ロイターがウクライナ戦争におけるロシア軍帰還兵の問題を取り上げていました。
ロシアやウクライナの場合は受刑者を前線に送っているので特殊な事例かもしれませんが、この「復員兵」の問題については日本も無関係ではありません。
日本では「有事」の事は頻繁に取り上げられても、「有事が終わった後」の問題を取り上げられる事はありません。戦争に突入すれば自衛隊は即応予備自衛官・予備自衛官(以下予備自衛官等と表記)を大量に招集することが予想されます。これらは戦争が終われば余剰人員となるので招集解除・復員となるでしょう。問題となるのはこの一般社会へと戻る予備自衛官等への保障問題です。もちろん戦死した場合は遺族に年金が支給されますし、身体的・精神的障害についても災害補償がありますが、一方で経済的支援については非常に頼りないというのが現状です。
そもそも、有事の防衛招集ともなれば災害招集と違って数カ月~年単位の招集期間が予想されます。予備自衛官等は平時において一般企業等で働いているわけですから招集されてい間は本業で働けないという事になります。
防衛省は防衛招集等により平素の勤務先を離れた場合を想定して「雇用企業協力確保給付金制度」を設けていますが、これは上限が90日と定められています。また自衛隊法第73条では「予備自衛官であること又は予備自衛官になろうとしたことを理由として、その者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱をしてはならない(即自についても準用)」と定められていますが罰則はありません。
会社によっては招集される予備自衛官等に休職等の取扱いをしてくれるところもあるかもしれませんが、「防衛招集に応じるなら辞めてくれ」と言われ、退職して招集に応じる予備自衛官等も出てくるのではないかと思います。
戦争終結後、これら予備自衛官等は招集解除されて一般社会に戻っていくことになりますが、以前と同じ年収を得られる職に就ける確証もなく、特に既婚者や子供がいる場合は経済的に非常に不安定な中で生活を始めなければならなくなります。現職隊員にように就職援護を受けられることもありません。結果として国の為に戦った先に貧困が待ち受けているという事態も十分に考えられるのです。
なお、戦前にはこのような問題に対応するため「入営者職業保障法」という法律がありました(ただし罰則は実質的に無い)。
有事に招集された予備自衛官等が戦後経済的に困窮することがあっては予備自衛官等全体の士気にかかわる事態になります。有事を想定した諸制度の整備が最優先ではありますが、有事の後に来る「新たな戦後」についても今から考えておかないと、「次の次の有事」で予備自衛官等の成り手が益々いなくなるという事になるやもしれません。
予備自衛官等の手当増額は10月1日からか?(R7.7.21追記あり)
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※最新の正確な情報を確認されたい方は地本等へお問い合わせください。
(R7.7.21追記)
山形地本のXによると手当改善が9月1日から施行されるとの事です。
https://x.com/yamagata_pco/status/1943546991117537311?t=JFYjOu2c27WxZ3-j-5_Eew&s=09
参議院議院の佐藤正久氏(元陸自1佐)が、ご自身のブログで予備自衛官等の手当について国会での審議を報告されています(2025-6-12「今国会、最後の質問」)。
参議院インターネット審議中継(2025年6月12日 外交防衛委員会 32:15辺りより)でも質疑の全体を視聴することが可能です。
内容を見る限り、予備自衛官等の手当増額は10月1日からになりそうです。つまり11月に支払われる7~9月分の(即応)予備自衛官手当までは従前の金額が適応されるということ。訓練招集手当についても9月30日までの出頭分は前の金額で支払われると思われます。
公務員の予備自衛官が有休をとって訓練に参加していることについて
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現在、本業が公務員の予備自衛官等については年次有給休暇を取得し訓練出頭している人も多いと思います。その状況が改善するかもしれません。
報道によれば、来年度中に見直すとの事。もっと早くしてくれよとは思いますが、防衛省全体で予備自衛官等の制度設計に携わる人員がそれほど多くない上に、手当の増額など他の仕事も重なっていると思いますのでこればかりは頑張ってとしか言えません。
どのように制度改善するのかはまだ分かりませんが、職務専念義務免除で参加できるようにするのか(消防団充実強化法の例あり)、特別休暇を定めるのか(国家公務員が裁判員として出頭する場合など)、あるいは「外国の地方公共団体の機関等に派遣される一般職の地方公務員の処遇等に関する法律」のような内容を新設するのか(海外協力隊などが該当)、色々やり方はあると思います。
地方自治体では予備自衛官等の訓練参加について統一した基準が無く、年次有給休暇しか認めなかったり、職免は認めるけど有給休暇は認めなかったり、職免が認められても有給の職免だったり無給の職免だったり対応がバラバラです。予備自衛官等が報われるように、ここらへんの問題点も解消できるような制度設計をお願いしたいと思います。
「訓練招集に職免(無給)で参加できるようになりました!」とかやられても「それだったら年次有給休暇で参加した方がましじゃん」となるので。あと、地方自治体等が雇用企業給付金等の対象から除外されているのもこれを機に何とかして欲しいものです。
令和7年度の訓練招集時期は後の方が良い?
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令和7年度に入り、予備自衛官については地本と訓練日程調整を進めているかと思いますがここで注意したいことが一点。令和7年度から予備自衛官手当及び訓練招集手当が増額されますが、増額される時期が令和7年度の何月からというのは現段階で未定です(4月から増えるわけではない)。なので、訓練招集手当については早めに招集訓練を設定してしまうと従来の手当額(8,100円)が支給されるかもしれません。もし訓練招集手当の支給額を増やしたい場合は年度後半に訓練を入れる方が増額される可能性が高くなるかと思われます。
なお、同様の点は即自にも言えますが、こちらの方は射撃や検閲の関係上、招集訓練を全部後半に固めるというのは難しいと思いますので、出来るのは後半に持ってこれる訓練招集は後半にするよう部隊と調整することぐらいでしょうか。
自衛官の再就職について鉄道事業者や自治体へ働きかける前に国で出来る事があるんじゃないかという話
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防衛省が関係省庁、地方自治体及び民間事業体と退職自衛官の再就職について申合せを締結したとのことです。
ちなみに予備自衛官等制度に関する取り組みについても申合せの中で触れられています。
定年退官後に再就職した自衛官の処遇について、年収の大幅低下など厳しいとの声はよく聞きますが、これを改善する取り組みの一環のようです。報道によれば今後他業種の事業体にも広げていく予定とのことで、退職自衛官がより良い条件で再就職できるようになれば隊員募集にも利点になると思います。
ただ、私が思うに民間事業体や地方自治体に協力を要請するなら、まず国自身が出来る事からやるべきではないかと。
例えば中央省庁や独立行政法人では昔と比べ大幅に数は少なくなりましたが技能職員(行政職俸給表(二)が適用される職員。守衛や自動車運転手等)を採用しています。防衛省では令和6年度に自動車運転手、守衛、ボイラー・配管工、電気整備の技能・労務職を募集しました。
これらの職員に定年退官した自衛官を充てるようにすればどうでしょうか。年収は現職時代よりも下がるでしょうが、それでも経年加算によりある程度の給与と再任用を含めて65歳までの安定した雇用が保障されます。
また本人の能力に基づいて防衛省の事務官や技官への任用替や、他省庁へ採用もしくは異動等の方法も考えられます。
特に土木、建築、電気、化学等の分野で知識、技能を持つ自衛官ならば、技術系の国家公務員については令和6年度の採用試験が定員割しているような状況なので、受け入れる官庁側もメリットはあるのではないかと思います。
ちなみに、戦前には定年となった陸軍下士官を陸軍省軍属や他省庁の官吏・公吏(地方公務員)として採用する制度がありました(採用に積極的だったのは陸軍省のみで他省庁は技術系兵科出身以外の軍人採用には消極的だったようですが)。
自衛隊の側でも関連する職種の隊員に施工管理技士や建築士等の関連する資格の取得を促してスキルアップすれば国家公務員だけでなく地方公務員(技術系なら50歳以上でも正規職員採用試験応募可となっている自治体も増えている。そして、それでも規模の小さい自治体では応募者が少ない!)への道も開けてきます。
国の機関で実施出来る分、民間企業に「お願い」するよりはハードルが低いでしょうし、退職した自衛官にある程度の年収と安定した就職先を用意するという点でも望ましいと思いますので、国や防衛省には「隗より始めよ」の精神で取り組んで頂けたらと思います。
消防団員の報酬等が非課税なら予備自衛官等の手当も非課税であるべきでは?
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予備自衛官の現行手当は年額88,500円(即自の場合は504,000円~618,000円、いずれも全日数出頭した場合)ですが、税金が天引きされますので実際に手元に入る金額はこれより少なくなります。
一方で、特別職地方公務員である非常勤の消防団員については年額報酬(予備自衛官等における(即応)予備自衛官手当に該当か)では年50,000円まで非課税、出動報酬(予備自衛官等における訓練招集手当に該当か)については災害出動が一日8,000円まで、災害以外の出動が一日4,000円まで非課税です。実際には報酬がここまでの金額に届かない人も多く実質全額非課税の団員も多いのだとか。
この理由は、予備自衛官等の手当が「給与」であるのに対し、消防団員の報酬が上記金額の範囲内において給与ではなく「消防団として活動する費用の弁償」と見なされているためです。要するに消防団活動をするのに色々と個人負担が発生するのでその相殺として報酬を支給するから税金はかからないということ(一般企業の通勤手当みたいな考え方でしょうか)。
ちなみに出動報酬については令和3年度まで全額非課税でしたが、国税庁が全額給与所得(課税対象)にしようとしたところ、猛反発を食らって現行の制度になったという経緯があります。
この考え方で言えば、予備自衛官等の手当も一定額を限度として費用の弁償として非課税にしてもよさそうなものだと思います。何だかんだ訓練以外で負担になる部分はありますので・・・。
予備自衛官等の手当が大幅増になった件について
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自衛官の処遇・勤務環境の改善及び新たな生涯設計の確立に関する関係閣僚会議(第4回)の資料等が公開されました。
この中で予備自衛官等の処遇向上も取り入れられていますが、昔から予備自衛官をやっていた身からするとこれが結構衝撃的であります。細部はリンク先の資料を見てもらうとして手当の増額は以下の通り。
予備自衛官手当
月4,000円→月12,300円
訓練招集手当
一日8,100円→一日11,000円
(即自任官の訓練だと一日8,300円→一日13,200円)
更に今まで即自だけだった任満金も70,000円で新設されます(3年に一回)。
結果として今まで年約9万円だった手当が約23万円と大幅に上昇しました(但し税引き前。以下同)。
即応予備自衛官手当
月16,000円→18,500円
訓練招集手当
一日10,400円~14,200円→一日17,100円~26,300円
勤続報奨金(3年に一回)
12,0000円→21,5000円
結果として年約54~66万円だった手当がこちらも約81~108万円と大幅に上がります。
これらは令和7年度予算から反映されるとの事なので、もしこのまま実現すれば来年4月より予備自衛官等の手当は大幅に上がる事になります。
更に、任期制隊員が任満退職後に予備自衛官等に任官しながら大学等(これまで対象は四年制大学だけだったが大学→大学院、短大(専攻科)、高専(専攻科)、専門学校(4年制)を追加)に進学した場合に支給される就学支援給付金も予備自衛官が年48,000円から356,000円に、即応予備自衛官の場合は年291,000円から535,800円と大幅増になりました。
ちなみに即応予備自衛官の就学支援給付金535,800円は国立大学の年間授業料と同一でありここからはじき出された数字だと思われます。
その他、国家公務員又は地方公務員が予備自衛官等の職を兼ねる場合においても訓練に参加しやすくするための制度を整備(令和8年度以降)とのこと。
正直な所、ここまで金額が上がるとは思ってもみませんでしたが、それだけ予備自衛官等の定員割れが深刻なのでしょう。注意する点として、予備自衛官は今回の制度改正が通れば年間の支給額が20万円を超えてしまうため新たに確定申告が必要になる人が出てくるという点です。本業を持っている人はほぼ全員が該当すると思いますので気に留めておきましょう。
予備自衛官手当が月額4千円から1万900円へ
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産経新聞の報道は以下の通り。
また防衛省の人的基盤の抜本的強化に関する検討委員会の概要については以下を参照。
予備自衛官には毎月支給される予備自衛官手当と、訓練招集に出頭すると支給される訓練招集手当があるが、今回増額と報道されているのは予備自衛官手当の方である。実現すれば昭和62年以来の予備自衛官手当増額となる。
ちなみに年間総支給額は年5日出頭で考えると
予備自衛官手当 10,900円×12ヶ月=130,800円
訓練招集手当 8,100円× 5日間= 40,500円
合計 17,1300円
となり、現行の88,500円から大幅な増額である。
この他、検討委員会の資料では
- 採用時の年齢要件や身体検査基準の緩和など予備自衛官の採用要件の見直し(R6年度)
- 公務員(非常勤)を兼ねる予備自衛官の出頭しやすい環境の整備(R7年度以降)
- 予備自衛官補採用試験の緩和(R7年度以降)
- 空自への予備自衛官補制度の導入(R8年度以降)
など制度の見直しについて触れられている。個人的には2番目が特に気になるのだが、招集時に職免を利用出来たり、予備自衛官等になるのに営利企業等従事許可申請が不用となるような法改正を期待したい。
予備自衛官等関連資料 予備自衛官及び即応予備自衛官の雇用企業等に対する意識調査
令和6年能登半島地震における予備自衛官等災害招集について雇用企業側にインタビューを行いその結果を分析したもの。契約したのはEYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社。
分析結果としては特に目新しいものでもないが、雇用企業側の「意識」を知る上では予備自衛官側によっても有用なのではないかと思う。
興味ある方は以下を参照されたい。
https://www.mod.go.jp/j/policy/hyouka/yosan_shikko/2023/2023_itaku_seika01.pdf
https://www.mod.go.jp/j/policy/hyouka/yosan_shikko/index.html
自衛隊法改正に伴う予備自衛官等制度への影響
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防衛省設置法等の一部を改正する法律案が成立し、令和6年度中に施行される見通しです。今回の法改正では予備自衛官等関係の改正も含まれており、恐らく今年度から来年度にかけて現在と若干制度が変わってくる事になると思います。
具体的には以下の二点。
1 上限年齢の緩和
今までは予備自衛官の継続任用年齢上限が62歳未満(1任期3年の為、継続すると65歳を超えてしまう)だったところを、3年未満の継続任用も可能となったため、例えば64歳で任期満了を迎えた場合は1年未満の任期で継続任用する事も可能となった。
また、即応予備自衛官についても、継続任用時に現職自衛官の定年年齢から3を減じた年齢を超えている場合でも3年未満の継続任用が可能となる。これも例えば55歳で任期満了した即応予備1等陸曹だと現職1曹の定年が56歳の為、1年未満の任期で継続任用可能という事。
なお一部の技能予備自衛官については既に上限年齢が廃止されている。
2 予備自衛官補教育訓練の延長期間が最大2年間に
予備自衛官補の教育訓練は3年以内に修了しなければならないが、現行の制度では1年間の延長が可能であった。この延長期間が最大2年間になるとの事。
採用年齢を引き上げるのは良いとして・・・
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予備自衛官補(一般)の採用年齢上限が52歳未満まで引き上げられるとの事。
今後何かしら追加情報が発表されるのかもしれないが、とりあえずは今出ている情報だけで所感を述べてみたい。
年齢の引き上げ自体は良い事かと思うが、それだけだと50代の予備2士が誕生する可能性もある。有事にどのような運用をするつもりなのだろうか。
有事における予備自衛官の主任務は駐屯地等の後方警備だが、その中でも2士がやる仕事は部隊末端としての歩哨が主である。常備自衛官ならば10代~20代前半の陸士がやる仕事だ。勿論、不審者や敵が侵入してきた場合、制圧する事も任務に含まれているわけで、こう言っては何だが“老兵”には荷が重すぎるのではないか。
或いは駐屯地の恒常業務で事務仕事や整備をやらせようというのか。それとも定員割れしている(もしくは訓練を修了して任官する人数が少ない)のでともかく志願者を多く集めて充足率を上げたいと言う事だろうか。
確かに有事となれば人はいくらいても足りなくなるだろうが、現行の予備自衛官補制度を採用年齢上限だけ緩和しても合理的な人材運用にはならないのではないかと思う。今回の上限緩和で新たに対象となる年代は30代中頃から50代前半にかけてだが、既に体力の全盛期を過ぎており“兵隊”としての能力は低い。この年代が一般社会で求められるのは監督職、管理職としての能力であり、自衛隊側としてもそれだけの能力を持った人材を期待し、尚且つ2士にするのではなくて相当な待遇を用意すべきだろう。
例えば民間会社で経理の課長をやっていた人物を予備自衛官補(一般)として採用し、2士に任官させて駐屯地の警備に従事させるとしたら、それはまさに人材の浪費としか言いようがない。民間会社での地位と能力・経験を考慮して適切な教育を行い、相応の階級で会計業務に就かせるべきだ。
そのために、最初は任官者全員が予備2士になるのは仕方ないとしても、例えば予備陸曹候補生試験や予備幹部候補生試験の様なコースを用意して、希望する者は学歴や本業での能力を考慮した上で選抜し、より上位の階級に進めるような制度を用意すべきではないか。ちなみにポーランドの領土防衛軍(パートタイマーの軍人による郷土防衛部隊)では下士官や将校の養成コースが用意されている。
予備自衛官等制度では一定の国家資格・公的資格保持者を除き自衛隊以外での職歴、学歴は階級に影響しない(有事に招集された際の俸給算定に影響する場合がある程度)。昇進についても国家資格等による昇進を除き技能や能力ではなく訓練出頭日数に寄るところが大きい。
だが会社である程度の地位にあり、マネジメントの経験を持つ中年世代が、予備自衛官補(一般)の採用試験に受かり、本業との兼ね合いに苦労しつつ50日の教育訓練を修了して任官できるのが予備2士というのでは、魅力的と言えるだろうか。しかも昇進に必要な期間は長く、自身の能力はほぼ関係ない。
防衛省、自衛隊側としては訓練日数が制限される以上、短期間で陸曹や幹部に必要な能力を付与することは出来ないと考えているかもしれないが、予備自衛官補の訓練にeラーニングが導入され、また一般財団法人防衛支援事業団など防衛省の業務を部外委託できる組織がある現在、工夫しだいによって訓練機会を増やすことは可能だろう。夜間大学の様に平日の夜や休日に地本等の施設を利用して防衛支援事業団職員を講師として座学を行うなど、やりようはいくらでもあると思う。また若年層の予備自衛官についてもこのように教育の機会が増えれば能力とモチベーションの向上につながるだろう。
もっとも、防衛省・自衛隊の意図が「ともかく充足率を上げるために年代はどうでもいいから頭数を集めたい」というのであれば、こんなことをやってる場合ではないのかもしれないが・・・。