予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

訓練は駐屯地だけでやるという発想は転換すべきではないか?

※当記事は公開情報を元に支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。また記事の内容は投稿日現在のものです。

 

 今年度は昨年から続くコロナ禍と緊急事態宣言の影響で、予備自衛官の訓練についても中止や延期が相次ぎました。新型コロナについては一時期に比べて収束しつつあるものの、変異株の出現など予断を許さない状況です。令和3年度も予備自衛官等の訓練について影響が出る可能性は大きいでしょう。

 

 コロナ禍において官公庁や民間企業ではテレワークを推進したりしてきましたが、その動きが全く見られないのが予備自衛官の訓練です。令和2年度は一部だけ若しくは全く訓練に参加できなかった予備自衛官もいたと思いますが、練度やモチベーション維持の観点から問題ではないかと思います。かといって、予備自衛官の場合は外部に出せない訓練内容が多いため民間と違って「資料を送るからこれで勉強しといてね」という訳に行かないのが悩ましいところです。

 

 ただ、予備自衛官が訓練するための情報は何も機密事項だけとは限りません。例えば体力錬成で言えば、筋トレのやり方、筋力をつけるための食事のメニュー、体をメンテナンスするための準備体操やストレッチの方法等、世間一般に公開しても問題のない範囲で予備自衛官の能力向上に直結する情報を伝えていくことは出来ると思います。

 

 以前にもブログで紹介しましたが、ポーランド領土防衛軍(Wojska Obrony Terytorialnej 予備役の郷土防衛部隊)ではトレーニングアプリを作ってGoogle Playストアで配信しています。また、訓練にeラーニングも導入されています。

 

play.google.com

 

reserve-f.hatenablog.com

 

 他にも例えば基本教練の内容は教育訓練招集日数の少ない技能公募予備自や退職後にブランクを経て予備自衛官に任官した人などが訓練前の復習として参考にするのに良いのではないかと思います(基本教練は体験入隊者にも教えているので保全上も問題ないでしょう)。また、予備自衛官訓練でやる野外衛生に関してはAEDの使い方や心肺蘇生法など機密性のない情報もあるでしょう。

 

 防衛省YouTubeSNSを広報で活用しているのですから予備自衛官に向けてこのような情報発信は是非ともして欲しいところです。あるいはアプリではなく動画配信や希望者にアカウントとパスワードを付与してeラーニング形式で出来るようにするのも良いかもしれません。

 

 下手をすれば新型コロナの影響は数年続く可能性もあります。そうなれば予備自衛官等の訓練も数年単位でままならないという状況になりかねません。必然的に今までの「訓練は駐屯地だけでやる」という発想にも限界が来るでしょう。

 

 既に世の中は1年前とは大きく変わっています。防衛省においても固定概念にとらわれるのではなく、将来を見据えて柔軟な発想で訓練方法の改善に取り組まれて頂ければと思います。

令和3年度予備自衛官補募集中!

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 第1回の募集期間は令和3年4月9日までとのこと。募集条件の詳細は以下を参照下さい。

 

www.mod.go.jp

 

 令和3年度からの変更点として、技能の受験資格に臨床工学技士、歯科衛生士、遺体衛生保全士(エンバーマー)、納棺士が追加されました。

 

 

 

 この内、臨床工学技士と歯科衛生士は国家資格ですが、エンバーマーについては日本遺体衛生保全協会が、納棺士については日本納棺士技能協会等が認定する資格を有する事が求められます(民間資格)。

 

www.embalming.jp

 

www.jno.or.jp

 

 令和3年度は計2回の採用試験を予定していますが、応募状況によって第2回の募集は行われない可能性もあります。志望を考えている方は一人で悩むより、取り合えず最寄りの地本まで連絡を入れてみましょう。どうするかは広報官の話を聞いてからでも遅くありません。

 

 また第1回目を受験される方は4月の後半に試験がありますので学科の勉強も並行して進めていきましょう。試験対策については担当広報官に聞けば色々教えてくれると思います。

自衛隊OBの私的訓練報道と自衛隊法について

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 陸上自衛隊特殊部隊のトップだったОB(荒谷卓元1等陸佐)が現役自衛官予備自衛官に私的な訓練を行っていたと報道されています。

 

www.nikkansports.com

 記事では「自衛隊で隊内からの秘密漏えいを監視する情報保全隊も事実を把握し、調査している」「防衛省内には自衛隊法に触れるとの指摘がある」とのこと。

 

 確かに、自衛隊時代に身に着けた知識や技術(職務上知ることのできた秘密)を私的訓練で他人に教授した場合、自衛隊法違反になる可能性はないことも無いですが・・・。

 

自衛隊

五十九条 隊員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を離れた後も、同様とする。

 

第百十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

一 第五十九条第一項又は第二項の規定に違反して秘密を漏らした者

 

 

※現職自衛官の場合はこの他に懲戒処分という可能性もあるが元自衛官の荒谷氏には関係ないのでここでは省く。

 

 問題は今回の荒谷氏の合宿内容が自衛隊法に触れるのかという点です。

 

 そもそも、自衛隊法の指す「秘密」とは基本的に省秘等、特定秘密、特別防衛秘密に指定されたものを指します。なので例えば元自衛官自衛隊の事をYouTubeで喋ったからと言って直ちに逮捕されるという訳ではありません(但し予備自衛官等については別の手続きが必要になる場合がありますのでご注意を)。

 

 ネットで探してみれば元自衛官が軍事技術を教えている団体や会社はいくつもあります。荒谷氏の合宿では受講資格を自衛官予備自衛官に限定していましたが、このような団体、会社は民間人も対象にしています。しかし、それが自衛隊法違反として問題となった事例を私は聞いたことがありません。

 

 これは当然のことで、教える内容が「秘密」に該当しなければ違法性がないため、防衛省や警察も取締りようが無いからです。また、自衛隊以外で知った情報であれば、それがいくら高度な軍事技術であっても誰に教授したところで自衛隊法上は何の問題もない事になります。

 

 主催団体のホームページによると今回の合宿内容は「集団での戦術行動も加味した森林錯雑地での徒手格闘素手での格闘術)」ということで、これを自衛隊法違反というには無理があるでしょう。

 

 

musubinosato.jp

 

 という訳で、この件が自衛隊法違反として起訴される可能性は限りなく低いと思います。

 

 また、記事では「自衛官が、外部から戦闘行動の訓練を受けるのが明らかになるのは初めて」と書かれていますが、そんなもん共同通信が知らなかっただけで特殊部隊に限らず、自衛官が自費で部外の講習を受けるというのは昔からよくあった話です。

 

 秘密でも何でもありませんし、過去に問題となって何らかの処分の受けたという事例も聞いたことがありません。従って、今回の合宿に参加した現職自衛官予備自衛官が何らかの処分を受けることも無いのではないかと思います。

予備自衛官等関連資料 予備自衛官等を兼ねる国家公務員等が訓練招集等に応じた場合の勤務先である所轄庁の取扱いについて(通知)(令和元年7月24日防人育第4666号)

解説

 

 国家公務員又は地方公務員が訓練招集や防衛招集等に応じる場合にどのような取扱いになるか周知するもの。なお、書式については、はてなブログの仕様上、原本と異なる部分もあるのでご了承願いたい。

 本通知については防衛省情報検索サービスでは閲覧できないため、防衛省に行政文書開示請求を行わなければならない。申請からコピーが送付されてくるのに1ヶ月半ぐらいかかるので、必要な方は早めの対応を。

 

 訓練招集等に関して国家公務員については職員の兼業の許可に関する政令(昭和41年政令第15条)第2条の規定に基づき、その許可の範囲内で職務専念義務の免除が可能となる。

 

(職務専念義務の免除)

第2条 職員は、兼業の許可が与えられたときは、その許可の範囲内で、その割り振られた正規の勤務時間の一部をさくことができる。

 

 また地方公務員については地方公務員法(昭和25年法律第261号)第24条第4項の規定に基づき給与、勤務時間その他の勤務条件の根本基準により国に準じた扱いをしなければならないとされているため、地方自治体の長の裁量にはよるものの、国家公務員と同様に職務専念義務の免除が基本であると考えられる。

 

(給与、勤務時間その他の勤務条件の根本基準)

第24条 職員の給与は、その職務と責任に応ずるものでなければならない。

(中略)

4 職員の勤務時間その他職員の給与以外の勤務条件を定めるに当つては、国及び他の地方公共団体の職員との間に権衡を失しないように適当な考慮が払われなければならない。

 

 なお、この際問題となるのは兼業の許可範囲である。例えば「年5日の訓練招集(予備自衛官の場合)」について兼業許可を得ている場合は、その許可の範囲内で職務専念義務の免除が可能であるので、有事に防衛招集される際は改めて「防衛招集」の兼業申請をした上で職務専念義務を免除されなければならないということだろうか? という事は、平時に兼業許可申請を出す段階で予め許可範囲の文言を「訓練招集及び防衛招集、災害招集」等としておいた方がいいのかもしれない。

 

 何はともあれ公務員が訓練招集や防衛招集で職務専念義務免除を使える法的根拠があるというのは非常に心強いものである。

 

 あとは、消防団を中核とした地域防災力の充実強化に関する法律(平成25年法律第110号)第10条のような規定を予備自衛官についても定めてもらえれば、公務員が予備自衛官を兼職する上でのハードルはほぼなくなるのだが・・・。

 

(公務員の消防団員との兼職に関する特例)

第10条 一般職の国家公務員又は一般職の地方公務員から報酬を得て非常勤の消防団員と兼職することを認めるよう求められた場合には、任命権者(法令に基づき国家公務員法(昭和22年法律第120号)第104条の許可又は地方公務員法(昭和25年法律第261号)第38条第1項の許可の権限を有する者をいう。第3項において同じ。)は、職務の遂行に著しい支障があるときを除き、これを認めなければならない。

2 前項の規定により消防団員との兼職が認められた場合には、国家公務員法第104条の許可又は地方公務員法第38条第1項の許可を要しない。

3 国及び地方公共団体は、第1項の求め又は同項の規定により認められた消防団員との兼職に係る職務に専念する義務の免除に関し、消防団の活動の充実強化を図る観点からその任命権者等(任命権者及び職務に専念する義務の免除に関する権限を有する者をいう。)により柔軟かつ弾力的な取扱いがなされるよう、必要な措置を講ずるものとする。

 

以下参照

 

防人育第4666号

令和元年7月24日

 

陸上幕僚長

海上幕僚長 殿

航空幕僚長

 

人事教育局長

(公印省略)

 

予備自衛官等を兼ねる国家公務員等が訓練招集等に応じた場合の勤務先である所轄庁の取扱いについて(通知)

 

 標記について、下記のとおり周知徹底されたい。

 

 

1 趣旨

 予備自衛官即応予備自衛官及び予備自衛官補(以下「予備自衛官等」という。)を兼ねる国家公務員又は地方公務員(以下「国家公務員等」という。)が、少なからず存在しており、予備自衛官制度の一端を担っているところ。近年は、平成28年熊本地震以降、即応予備自衛官災害派遣招集が続き、大規模災害発生時においては、即応予備自衛官のみならず予備自衛官も視野に入れた招集が見込まれ、その際は、招集期間も長期に及ぶことが予想される。

 以上のことから、予備自衛官等を兼ねる国家公務員等及び予備自衛官業務を担当する者に対して、改めて招集等に応じた場合の勤務先である所轄庁を離れる際の取扱いについて制度上の主旨に齟齬のないよう周知するものである。

 

2 訓練招集等に応じた場合の勤務先である所轄庁を離れる際の取扱い

 国家公務員が予備自衛官等に官し、訓練招集等に応じることは、国家公務員法(昭和22年法律第120号)第104条の規定に基づく他の事業又は事務の関与制限に該当することとなり、勤務先である所轄庁の長の許可(兼業・兼職の許可)を得ることが必要である。予備自衛官が訓練招集等に応じ、勤務先である所轄庁を離れる際の取扱いは、職員の兼業の許可に関する政令(昭和41年政令第15号)(以下政令という。)第2条の規定に基づき、その許可の範囲内で職務専念義務の免除が可能となる。したがって、招集期間が長期に及ぶ可能性を考慮すると予備自衛官を兼ねる国家公務員が訓練招集等に応じた際、勤務先である所轄庁の取扱いは、政令による職務専念義務の免除とすることが基本と考えられる。

 また、地方公務員においては、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第24条第4項の規定に基づく給与、勤務時間その他の勤務条件の根本基準により国に準じた扱いをしなければならないとされていることを鑑みると地方自治体の長の裁量にはよるものの、国家公務員と同様に職務専念義務の免除とすることが基本と考えられる。

 なお、予備自衛官等を兼ねる国家公務員等が訓練招集に応じた際の勤務先である所轄庁の取扱いは、制度上、職務専念義務の免除を基本としつつ、当該所轄庁の長の裁量により個別具体的な勤務状況によっては年次休暇を取得し出頭することも排除されないものと考えられる。

 

3 兼業・兼職制度等の周知について

 予備自衛官等を兼ねる国家公務員等が訓練招集等に応じ、勤務先である所轄庁を離れる際の取扱いは、兼業・兼職が許可され、職務専念義務の免除等が基本的な考え方である。一方、当該予備自衛官等の所轄庁での勤務形態は多様であり、その取扱いは所轄庁の裁量により決定しているものと考えられることから、予備自衛官業務を担当する者は、当該予備自衛官等に対し、兼業・兼職制度における基本的な考え方を個々に再度周知するとともに、必要に応じその取扱いについて所轄庁へ確認を行うよう要請されたい。

 また、予備自衛官業務を担当する者は、当該予備自衛官に確認の上、連携しつつ、要すれば、当該予備自衛官等が勤務する所轄庁に対し、予備自衛官制度の理解と協力を得るために、当該出頭時の取扱いを含め説明を行うなど当該予備自衛官の出頭環境を整えるよう期されたい。

自衛隊限定免許は簡単に限定解除できる

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 平成19年以降に自衛隊大型自動車免許を取得した場合、免許の条件欄に「大型車は自衛隊用自動車に限る」と記載され、民間で運転できるのは中型車までとなります。

 

 この自衛隊限定免許ですが限定解除する方法は意外と簡単です。自動車教習所で6時限の技能教習を受け卒業検定に合格できれば、技能審査合格証明書を最寄りの警察署に持っていくだけで限定解除が可能です。必要な日数も最短4日間程度とそこまで時間はかかりません。

 

www.tochiko-ds.jp

(教習所の一例)

 

 教習費用については7~8万から十数万円と教習所によって差があります。料金表やホームページに記載が無くても実際には受講可能な所もあるみたいなので、とりあえずは近場の教習所に問い合わせてみるのをお勧めします。

 

 金額的には結構な出費となりますが、普通に大型自動車免許を取得すれば20万~30万円近くの費用が掛かるので結果的にはお得と言えるでしょう。

 

 ちなみに、大型特殊自動車カタピラ限定免許も同じように限定解除できますが、こちらは教習所によっては新規で取得するのと大して変わらない位の費用が掛かります。もし限定解除したい場合は運転免許試験場の技能試験(いわゆる一発試験)を受けてみるのもありかと思います。難易度も他の技能試験と比べるとそれほど高くはありません。

 

 大型特殊の一発試験についてはこちらの記事も参照ください。

reserve-f.hatenablog.com

任満退職する予定だけど特にやりたいことも無い自衛官はとりあえず大学に行こう

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 以前このブログで触れました退職自衛官向けの奨学金についての続報です。

 

news.yahoo.co.jp

 

 産経新聞の記事によると、任期制自衛官自衛官候補生)を対象に46人分の予算、約1千万円を計上するとのこと。即応予備自衛官に登録した場合は年に24万円(予備自衛官の場合は4万円)が支給されるとの事で、4年分に換算すると96万円(予備自は16万円)です。

 

 当初の予定よりも支給額がだいぶ減額されましたが、国の財政が厳しい中で新規事業として立ち上げられただけでも良かったと言うべきでしょう。任期制自衛官の募集という観点からも画期的な制度だと思います。

 

 46人というのは防衛省が事前に需要調査を行ったうえでの数字だと思いますが、もし希望者が予定数を超過した場合は先着順とか選抜という形になると思います。

 

 ただ、私が危惧しているのは逆に希望者が予定数を大幅に下回った場合です。そうなると来年度の予算査定で財務省から「希望者が少ないならこの制度いらないですね~」と予算を大幅カットされるか、悪ければ制度自体が廃止される可能性があります。

 

 だから・・・という訳でもないのですが、任期制自衛官で任満退職を予定している皆さん。娑婆に出てやりたいことが特にあるわけでもないなら大学進学を視野に入れてみてはいかがでしょうか?

 

 「え、でも今更受験勉強するもの大変だし・・・」と思われるかもしれませんが、私立なら受験教科数は少ないですし現在では社会人入試やAO入試などで受験できる大学も増えています(とは言え、小論文や面接試験はあるのでそれなりの努力は必要とされますが)。

 

www.kwansei.ac.jp陸上自衛隊で2年間勤務した後、AO入試で大学に入学された方の紹介。関西学院大学ホームページより)

 

 基本的に社会人を経験して大学に進学してきた方は学習に対するモチベーションが高い傾向にあります。高校からストレートに大学進学する場合と違い、実際に働いた経験があることに加え学費や生活費は自分自身のお金で賄うので勉強に対する真剣さが違うのです。何しろ学費を換算すれば1回授業を受けるだけで数千円のお金がかかるのですから。その分、大学生活から得る物も大きいと思います。

 

 授業の他にも最近ではMOS試験(ワードやエクセル、パワーポイント等の資格)の講座を格安で受講出来たり、社会人マナー講習を行ったり、学科によっては教員免許や学芸員、図書館司書資格などが取得できるなど、社会に出るうえで大学というのは相当に活用できる手段です。

 

 大学には自衛隊とは違った意味で色々な人間がいますので、授業のみならずサークル活動等を通して自らの知見を広める良い機会になると思います。

 

 また現実的な話をすれば、例え卒業時の年齢が周囲より高いとはいえ、大卒ならば就職先の幅は高卒よりも大きく広がります。この傾向が最も顕著なのが公務員試験で、とりあえず大学さえ出ていれば受けられる試験が増えますし、年齢制限も高くなります(但しデメリットとして高卒限定の試験を受けることは出来なくなる)。

 

 世間では大学生は遊んでばかりとかFラン大は全部潰せとか色々と言われていますが、私は真面目に学生生活を送るなら大学進学にメリットはあれどデメリットは無いと思っています。余りに目的意識が無さ過ぎてろくに授業にも出ず途中で退学なんてことになっては駄目ですが。ただし、どうせ進学するなら、どうしても行きたい所があるのではない限り、出来るだけ良い大学に進んだ方が良いというのは事実です。

 

 もし、大学進学に興味が湧いたなら、部隊で大卒の同期や先輩、後輩に大学の事を聞いてみても良いでしょう。何はともあれ、せっかく防衛省が制度を作ろうとしているのですから、利用できるものは利用しなければ損というものです。自衛隊を辞めてやってみたいことがあるのなら話は別ですが、援護から紹介された仕事に何となく就職するぐらいなら、もう一度学び直して可能性の幅を広げてみるというのも選択肢の一つだと思います。

新型コロナによる看護官派遣と予備自衛官

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 北海道の要請に基づき旭川市自衛隊から看護官が派遣されるとのことです。また、大阪府についても自衛隊に派遣要請が出されました。

 

news.yahoo.co.jp

 

 現在の所、派遣人数は小規模で収まりそうですので予備自衛官の招集は取り沙汰されていませんが、一部地本においては万が一の招集に備えて予備自衛官に対しコロナ受入医療機関やICUでの勤務経験を確認しているとの事です。

 

twitter.com

 

 とは言ったものの、看護師や准看護師の資格を持つ予備自衛官は、普段から病院等の医療機関で働いている人が殆どなので、実際に招集するにはハードルが高いと思います。まずコロナ受入医療機関やICUの勤務経験者となるとそれだけで数が限られます。雇用企業である医療機関にとっても人員のやりくりが難しいうえに、新型コロナの感染リスクが高まるような現場に従業員を送り出すのは躊躇するでしょう。

 

 罹災地域が一部に限定される地震や台風等の災害時と違い、今回のような全国的に医療体制が逼迫している事態では予備自衛官と生業の医療従事者としての職務が競合します。要するにあちらを立てればこちらが立たずの状態となるわけで、事態が悪化すればするほど招集の可能性は低下し、招集があったとしても実績作りのためのごく一部にとどまるのではないかと思います。

自衛隊の経験を公務員試験で生かすために

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 事務職や技術職の公務員試験において自衛官(もしくは元自衛官)の経歴はプラスになることはあれどマイナスになることは基本的にありません。ただし、そのプラスの幅が大きくなるか、小さくなるかについては人によって変わってきます。

 

 現在の公務員試験では人物評価の配点が大きくなっています。新卒の方は在学中にどんなことをしてきたのか、社会人経験がある人は「その職場においてどのような立場で、どのような仕事をして、どのような成果を上げたのか」についてエントリーシート職務経歴書等の資料を元に面接試験を通じて見られることになります。

 

 自衛隊経験者は当然ながら社会人経験があると見なされますし、面接官も自衛官という経歴には食いついてきます。そこで自衛官としてやって来たこと、得たことを上手くアピールできれば採用される確率は上がりますし、逆に「こいつはただ自衛隊にいただけだ」と思われれば他の受験者に差をつけることは出来ないでしょう。

 

 そこでまず大事なのは、申込書の記入となります。公務員試験では申込書類に個人情報だけでなく志望動機や「これまでの仕事で頑張ったこと」、「自己PR」等エントリーシート的な内容を記入する欄があることが一般的です(試験会場で制限時間を設けて書かされる場合もあるが、本番でいきなり書ける訳がないのでやはり事前にある程度内容をまとめておくことが必要)。この際に、自衛隊でどのように仕事をしてきたかを上手にPR出来なければなりません。

 

 単純に「辛かったけど頑張りました」等と書いても駄目で、自衛隊において「どのような問題に直面し」、「どのような方法で」、「どのような成果を上げたか」、「結果として自分が何を学んだか」が重視されます。

 

 「公務員なのに成果とかどうやって書くんだ」と思われるかもしれませんが、例えば検閲で表彰された、競技会で1位を取った、新隊員教育隊の班付でこんな指導をした等、書けるネタは探せばあると思います。そういった経験を元に「公務員になったらこの経験をこんな風に生かして行きたいです」と一般社会向けに落とし込んでいければ好印象でしょう。

 

 1任期で退職する予定の方にとっては、実績を書くことは中々難しいとは思いますが、例えば自分の参加した競技会で所属中隊が1位になった経験があるならば、陸士として積極的に意見具申し中隊の1位獲得に貢献した等の内容を具体的に書けば成果になるのではないかと思います。1任期でも自衛隊に居れば所属する部隊が表彰されたり優勝したりという機会は1回ぐらいあると思うので、そこから話を膨らませていくわけです(全く嘘を書くのは駄目ですが、少しぐらい話を”盛る”のは個人的にはありかなと思います)。

 

 逆に言えば、公務員試験に限らず将来自衛隊から転職したいと考えている方は上記のような事を考えながら日々の勤務に取り組むと、転職するときにも手持ちのネタが多くなりアピールもしやすくなります。上手に文章を書くことができれば、頭の中でもある程度自分のPRポイントをまとめることができ、実際の面接で色々聞かれても滞ることなく答えられるようになるかと思います。

 

 自衛隊という職歴はやはり一般の企業よりは目立つので面接試験で他の受験者よりも注目してもらえる確率も高くなります。ただ、そこを生かし切れるかどうかは個人ごとの取り組みにかかってきます。公務員を目指されている方は、自衛官という特性を最大限に生かして是非とも最終合格を勝ち取っていただきたいと思います。

技能予備自衛官と即応予備自衛官の話

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※今回の記事は未確認の内容も含みます。正確な情報を知りたい方は最寄りの地方協力本部に確認をお願いいたします。

 

 元自の予備自衛官が資格を取得すると昇進するという話は過去のブログで何度かしました。

 

reserve-f.hatenablog.com

 

reserve-f.hatenablog.com

 

 この資格昇進した元自の予備自衛官のことを「技能予備自衛官」といいます(技能公募予備自衛官とはまた別の区分になるので注意)。

 

 技能予備自衛官になると階級が上がる代わりに即応予備自衛官に志願することができなくなります(ついでに言えば技能公募予備自が参加できる技能訓練にも参加できない)。

 

 しかし、昔は即自をやる余裕もなかったから技能予備自の方を選んだけど、今は時間に余裕ができたのでやっぱり即応予備自衛官をやってみたいという方もいるでしょう。そういう方については即自になる方法がないわけではありません。

 

 詳細は地本に確認して頂きたいのですが、一度予備自衛官を退職すると技能での昇進が抹消されるため、その後再度予備自衛官になれば「普通の元自予備自衛官」になり、そこから即応予備自衛官に志願することも可能になるという事です。この際に階級はそのままなのか、それとも技能昇進前の階級に戻るのかは未詳です。

 

 この情報自体は私も伝聞だけですので次の招集訓練時に地本の人に確認してみたいと思うのですが、例え階級が陸士長に下がったとしても現在の即自は50歳まで志願可能ですので年配の方以外は即自への道が再び開けることになります(ちなみに予備自衛官についても陸士では55歳まで志願可能です)。

 

 技能予備自だからと即自を諦めていた方は一度、地本に相談してみてはいかがでしょうか?

自衛隊で取得できる公務員試験に役立つ資格

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 自衛官で他の職種の公務員に転職したいという方は一定数いるのではないかと思いますが、やはり一番の問題となるのは採用倍率ではないかと思います。

 

 公務員というのは職種によっておおむね事務職と技術職の2つに分類できます(国家公務員の場合はそれぞれ事務官、技官となる)。

 

 事務職の公務員試験については学歴・年齢要件さえ満たせば誰でも受験できるものがほとんどであり、受けられる人数が多い分、採用倍率も高くなっております。採用試験についても一般的には1次の学科試験から2次、3次試験といくつもの段階をクリアしていかなければなりません。特に大卒区分では近年、プレゼンテーション試験を導入する自治体も出てくるなど試験対策は益々大変になっております。

 

 一方で、技術系の公務員は一部無条件で受験できる自治体が存在するものの、基本的に土木、建築、電気等の各分野に応じて大学・高校の特定学科を卒業していたり、資格(技術士建築士施工管理技士等)の資格を保持していなければならない等の条件があります。必然的に受験者は制限されるため倍率も全体的に低めです。また、学科試験では専門知識が必要とされますが、その他は小論文や面接試験など従来型の公務員試験という所も多いです。

 

 要するに、職種にこだわらず公務員になりたいのならば技術系公務員の方が難易度は低めという事になります。ただ、誰もが土木や建築等の学科を卒業しているわけではありませんし、資格についても実務経験が必要だったりして簡単に取れるものでもありません。

 

 一方、自衛隊で取得できる資格の中には技術職の公務員採用試験に役立つものもあります。

 

 例えば海上自衛隊で艦艇勤務に従事した場合、海技士の受験に必要な乗船履歴と認められ海技士試験を受験することができます。また、職種によっては1級小型船舶操縦士の免許を公費で取得することができます。

 

 国や地方自治体では海技士を対象とした採用試験を行っているところもあります。職務内容は教育機関の実習船乗組員や都道府県警察の警備艇乗組員等で、航海士や機関士の募集が多く、通信士は少なめという印象です。また海技士資格と小型船舶操縦士の両方を必須とする募集も多いので、両方の資格を持っていた方が応募できる件数も増えることになります。

 

 募集人数は他の職種の公務員より少ないですが海技士資格や小型船舶操縦士の免許を持っていることが受験条件なので当然、受験者数は少なく合格率は高くなります(もちろん学科の勉強は必要です)。

 

 注意点として、特に渡船や実習船の乗組員は勤務地が田舎になる可能性が高い事と、海上勤務になるため休日や勤務時間が不定期なる傾向が強いという事です。また、職場の性質上、人事異動が限られてくると思われますので、職場の空気になじめないと辛い部分はあるかもしれません。

 

 この他、自衛隊で調理に関わる仕事(陸自:糧食勤務 海空自:給養員)に2年以上従事した者は調理師試験の受験資格を得ることができます。地方自治体では技能労務職(定型的な業務に従事する職員)として調理師を採用しているところもあり、試験の難易度もそれほどではないのでとにかく公務員になりたいという方にはお勧めです(その代わり事務職や技術職と比べて給与は低い)。

 

 取得難易度は上がりますが1級建築士技術士(建設部門)、1級施工管理技士(採用は土木、建築が多い印象です)などを持っていれば、専門の学科を出ていなくても土木職や建築職の公務員採用試験を受験できる場合があります(自衛隊では陸自の施設科、海空自の施設職域が関連する職種になると思います)。これらの職種は国、地方自治体でも人手不足なので倍率も低く採用されやすい状況です。

 

 技術系の公務員と言っても様々な資格で募集をかけているので、興味のある方は以下のホームページで探してみて下さい。

 

 

koumuwin.com

 

 自衛隊では士の任期満了退職予定者に対し希望者に公的部門受験対策講座(警察官や消防職員採用試験向けの講座)を受講させたりしています。それはそれでいいのですがその他にも、自衛隊では公務員試験に有利になる資格が取得でき、退職後は技術系公務員になる道もあるというライフプランを提示できれば今時の若者向けにも魅力的な広報になるのではないかと思います。

日本版G.I.Bill(退職自衛官向け給付型奨学金)の続報について

※当記事は公開情報を元に支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。また記事の内容は投稿日現在のものです。

 

 以前、退職した任期制自衛官への奨学金について記事を書きました。

 

reserve-f.hatenablog.com

 

 これについて隊友会の機関紙「隊友」令和2年10月号に詳細が記載されていたので紹介したいと思います。記事本文より概要を抜粋しますが、全文を参照したい方は以下のリンク先を参照ください。

 

taiyukai.or.jp

 

 以下記事概要。

 

 防衛省は任期制自衛官で任期満了後に国内の大学に進学した者に対して、在学期間中に即応予備自衛官予備自衛官に任官した場合は一定額の給付型奨学金を支給する制度を創設する(一般曹候補生は含まれない模様。給付型とは原則返済不用の奨学金の事)。

 

 制度開始は早くても令和3年度から。

 

 対象となるのは4年制大学のみで、短大や専門学校は含まれない。

 

 予算要求上の給付額は即応予備自衛官の場合、入学金相当額約28万円に加えて学費相当額として1年間に54万円。合計すると4年間で244万円。これは国立大学学費の標準額に相当する。予備自衛官は即自の6分の1の金額(入学金相当額約4万6千円、学費相当額は1年間で9万円となり、4年間で約40万6千円となる)。

 

 給付型奨学金を受けている即応予備自衛官予備自衛官も訓練招集手当や災害派遣手当が支払われる。

一般人が即応予備自衛官になる方法を1から説明する

※当記事は公開情報を元に支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。また記事の内容は投稿日現在のものです。

 

予備自衛官等制度とは

 

 我が国の予備自衛官等制度は諸外国の予備役に相当するものであり、平時は定められた日数の訓練を受け、有事の際は招集されて最前線部隊や後方警備等の任務に従事するものでです。

 

 予備自衛官等制度は予備自衛官即応予備自衛官予備自衛官補の三つから成っており、有事の際に常備自衛官と同じく最前線で任務に従事するのが即応予備自衛官、後方や駐屯地の警備任務等に従事するのが予備自衛官です。即応予備自衛官予備自衛官は元自衛官からの任用されますが、自衛隊経験の無い一般人についても予備自衛官補として採用され教育訓練を修了すれば予備自衛官に任官することが可能です。

 

 更に令和元年度からは一般公募予備自衛官から即応予備自衛官への志願も可能となりました。実際に教育訓練を修了して即応予備自衛官に任官されている方も続々と増えつつあります。

 

 では具体的に一般人が予備自衛官補を経て即応予備自衛官になるにはどのようにすればいいのか? 今回は一連の流れを解説したいと思います。

 

 ちなみに、自衛隊に入隊して1年以上勤務すれば陸海空関わらず退職後は即応予備自衛官になることができます。今は自衛官候補生、一般曹候補生の志願者が不足しているみたいなので我こそはという方は入隊しましょう(切実)。

 

予備自衛官補になるには

 

 さて、自衛隊経験のない方が即応予備自衛官になるにはまず予備自衛官補に採用されなければなりません。この際、気を付けなければならない点として、予備自衛官補には「一般」と「技能」の二つのコースに分かれています。「一般」は特に資格が無くても18歳以上、34歳未満ならば応募資格があります。一方「技能」は医師や看護師、弁護士等の資格を持った人に限定されますが、資格により53歳未満から55歳未満まで受験可能です。

 

 即応予備自衛官に志願できるのは現在の所、予備自衛官補(一般)から予備自衛官に任官した者のみですので即応予備自衛官になりたい方は一般の予備自衛官補に応募しなくてはなりません。

 

 つまり34歳以上の方は残念ながら即応予備自衛官にはなれないという事になります(ただし、技能予備自衛官補の応募資格については比較的簡単に取得できるものもあるので、一般公募が年齢的に無理でも資格を取って技能公募として予備自衛官になる道は残されています。こちらも参照ください)。

 

 予備自衛官補(一般)に応募するために一番手っ取り早いのは、地方協力本部(通称「地本」)に問い合わせをすることです。自衛隊では隊員募集業務を地方協力本部の募集課が担当していますが、細かいことは考えずに住んでいる都道府県の地本に電話して「予備自衛官補に志願したいです」と言えば担当部署につないでくれます。

 

 地本の連絡先一覧はこちら。

www.mod.go.jp

 

 残念ながら令和2年度の採用試験は終了してしまいましたが、毎年1月から4月あたり(募集状況によっては7月~9月に第2回の募集を行う事もある)に応募期間を設けているので次回の採用試験に応募したい方は年明けに地本に電話すればタイミング的にもちょうどいいのではないかと思います。

 

防衛省募集HP

www.mod.go.jp

 

 ここから採用試験受験までは、正直ここで書くことはほとんどありません(勉強は必要ですが)。地本には広報官という募集担当の自衛官がおり、疑問点等があればそれこそ手取り足取り教えてくれます。

 

 初めて自衛隊を受験される方は、「視力が低い」とか「アトピーだけど大丈夫なのか」、「筆記試験はどんな問題が出るのか」、「面接はどんなことを聞かれるのか」など色々と不安になると思いますが、あれこれ悩むよりはまず広報官に聞いてみましょう。力になってくれると思います。

 

 ちなみに筆記試験については高校卒業程度(国語、数学、理科、社会、英語、作文)です。短期間で点数を伸ばしたい方は数学に力を入れると良いのではないかと思います(基本的に公務員試験では数的推理、判断推理などの解答法が分かっていれば解ける問題で点数を稼ぐのがセオリー)。

 

予備自衛官補の訓練

 

 さて、無事試験に合格して採用されたとしましょう。ここからが最大の難関となる予備自衛官補の教育訓練です。一般の場合、3年以内に50日の訓練を受ける必要があります。

 

 肉体的、精神的な問題で訓練自体についてこれない人はそこまでいないと思います。最初は慣れないことも多く大変かもしれませんが、モチベーションがあればやり遂げることはそこまで難しくないはず。

 

 それよりも問題なのはどうやって訓練出頭の時間を確保するかだと思います。予備自衛官補(一般)の訓練は5日間×10回で実施されますが、おおむね平日に訓練が行われるため、学生の方はともかく社会人にとってはだいぶきついスケジュールとなっています。

 

 ただ、この訓練を修了して予備自衛官にならなければ即応予備自衛官への道も閉ざされてしまうので、どうにか頑張るしかありません(ちなみに予備自衛官補(技能)については期間が2年以内と短いですが日数は10日(5日×2回)で更に土日を含めた日程が組まれているため、訓練修了は社会人でも比較的容易です)。

 

即応予備自衛官になるために

 

 頑張って教育訓練を修了し予備自衛官に任官したら、いよいよ即応予備自衛官に志願することができます。教育訓練修了式には恐らく地本の担当者も来ると思いますので、志願したい旨を伝えてみましょう。また地本に直接電話して志願するのもアリです。

 

 即応予備自衛官に任官するためには基本軽火器(小銃手等)で36日、基本迫撃砲(小銃中隊の迫撃砲小隊もしくは重迫撃砲中隊で迫撃砲の操作に携わる)で39日の訓練を受け特技(MOS、自衛隊の部内資格)を取得しなければなりません。これには最低2年から最長3年の期間(やむを得ない場合は1年延長可)がかかります。

 

 1年ですべての訓練を終えられないのかと思った方もいるかもしれませんが、予備自衛官補と違い予備自衛官は年間に受けることのできる訓練の上限が決まっています。即応予備自衛官を志願したといっても、身分はまだ予備自衛官ですので1年間に受けられる訓練の上限は20日となり、即応予備自衛官に任官する為にはどうしても1年以上の期間が必要になってしまいます。ただ、即自になるための訓練については予備自衛官補と違い土日が中心ですので仕事との調整はまだ苦労しないのではないかと思います。

 

 訓練を受ける部隊は現在の所、普通科連隊に限定されているみたいですが、コア部隊の雰囲気についてはこちらもご参照を。

 

 なお、予備自衛官から志願して即応予備自衛官に任官した場合、雇用企業には自衛隊から即応予備自衛官育成協力企業給付金として56万円が給付されます(各種条件有)。ただし雇用企業の側から申請しなければもらえませんので、勤務先へのアピールもかねて有効活用していきましょう。

 

奈良地本HP

www.mod.go.jp

 

 無事、教育訓練を修了すればMOSが付与され晴れて即応予備自衛官に任官です。今後は年間30日の訓練出頭をこなしていかなければならず大変かもしれませんが、即応予備自衛官は訓練招集も常備自衛官に準じた内容で、災害招集の機会も予備自衛官より多くやりがいや充実感は大きいと思います。もし、即応予備自衛官を目指して予備自衛官補(一般)に志願する方がいるなら、是非ともその目標を達成して頂きたいと思います。

予備自衛官等関連資料 即応予備自衛官育成協力企業給付金支給要綱について(通達)(防人育(事)第157号)

 一般公募予備自衛官から即応予備自衛官へ教育訓練を受けて任官した場合に雇用企業に対して56万円の給付金を支給するというもの。一般公募予備自が志願したらその時点で給付されるのではなく、教育訓練を終えて即自に任官した場合のみ雇用企業の申請により支給される点に注意されたい。ちなみに、教育訓練途中に雇用企業へ入社した場合は、入社前の訓練参加日数に応じて給付金は減額される。

 

 支給要件は即応予備自衛官雇用企業給付金とほぼ同じで以下の通り。

 

・1週間の所定労働時間が30時間以上であること。

・申請時において1年以上引き続き雇用されることが見込まれること。

・一般公募予備自衛官が訓練招集等に応じる期間を、特別休暇、勤務免除扱いとする等、労働協約又は就業規則等により措置することによって不利益な取扱いをしないことが明らかであること。

・雇用企業内において予備自衛官及び即応予備自衛官制度等の周知に努めること。

・一般公募予備自衛官即応予備自衛官に任用されたときに雇用関係を有すること。

 

 なお、例によって「国、地方公共団体及び法人税法(昭和40年法律第34号)別表第1に掲げる公共法人」は対象外である(本当に何とかならないんだろうか、これ)。

 

 全文を確認されたい方は以下(防衛省情報検索サービス)を参照されたい。

 

即応予備自衛官育成協力企業給付金支給要綱について(通達)防人育(事)第157号

地味に予備自で役立つ動画

※当記事は公開情報を元に支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。また記事の内容は投稿日現在のものです。

 

 最近は公式、非公式問わず自衛隊の動画が多数YouTube等に上がっていますが、その中でも個人的に予備自衛官の訓練で役立ちそうなものをいくつか紹介したいと思います。

 

 自衛隊を退職して間もない方は概ねご存知の内容とは思いますが、公募予備自衛官や退職して長くなる予備自の方には参考になると思いますので、ご覧になっていただければと思います。

 

自衛隊体操

www.youtube.com

 

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 陸自の場合は朝礼前にラジオ体操のごとく駐屯地中に音楽が流され、ほぼ毎日やることになる自衛隊体操です。恥ずかしながら陸空自と海自では体操が違うという事を初めて知りました。

 

 訓練部隊によるかと思いますが、私は即自、予備自の訓練招集で自衛隊体操をした記憶はありません(訓練出頭することの多い土日祝の朝は自衛隊体操の放送は無いのでそのせいかもしれませんが)。ただ、自衛官なら知っていて当たり前と思われていますし、興味ある方は覚えてみてもいいかと思います。体操という割には動きがハードですので、結構いい運動にもなります。

 

準備体操

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 自衛隊体操とは別で、訓練や体力錬成前にやる準備運動です。部隊や個人によって差異はありますが陸自ならどこに行ってもおおむね内容は同じです。訓練中に準備運動を実施せよと言われたとしても、この動画の内容ができていればとりあえず格好は付きます。

 

 即自の場合は準備運動の際に前に出てやらされることもあるので覚えておいた方が良いかと思います。予備自の訓練ではそういうのは常備自衛官がやってくれるので特に覚えていなくても大丈夫でしょう。ただ、日ごろ運動するときに使えたりしますので、覚えていておいて損はないと思います。

 

 私も内容を忘れていたりするので思い出そうと動画サイトで探してみたのですが、なぜか自衛隊体操の動画はたくさんあるのに準備体操の動画は上に挙げた一つだけでした。自衛隊の公式動画で紹介してくれんかなぁ・・・。

 

天幕展張

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 演習でよく使う6人用天幕の展張作業です。即自は勿論、予備自についてもこれから災害招集などで使う機会があるかもしれませんので参考にしていただけたらと思います。

 

 動画では色々と省略していますが、本来は地面に敷幕を広げてから展張します。私もこれも見ていて「ああ、そうそう、こんな感じでやってたなぁ」と懐かしい気分になりました。

 

小銃射撃

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 自衛隊出身のお笑いタレント、トッカグンさんが射撃姿勢について一通り解説されています。特に技能公募予備自衛官の方は射撃で慣れない点もあるかと思いますのでご覧いただけでば役立つのではないかと思います。

 

120mm迫撃砲RT

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 これは即自で他職種からコア普通科連隊の重迫撃砲中隊に配属された方向けになりますが、120mm迫撃砲RTの据砲動作を撮影した動画です。未経験者が重迫に来た場合、恐らく最初はこの据砲動作を繰り返しやることになると思いますが、分隊員全員の動きがよく分かるように撮られています。

 

 即自でも訓練は月1回ぐらいだと思いますので、予習、復習に活用できればと思います。この他にもYouTubeには重迫や軽迫(81mm迫撃砲)の動画が数多く上がっておりますので参考がてらに見てみるのも面白いのではないでしょうか。