予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

自衛隊から他職種の公務員になりたい人へ

※当記事は一般公開しても支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。

 

 自衛隊の士(兵隊)は3曹に昇任する意思がなければ任期満了か依願退職でやめていくわけですが、再就職先は様々です。自衛隊の援護を使って民間企業に就職する人もいれば専門学校や大学に入学する人もいる。そんな中で他職種の公務員試験を受けて転職する人もまれにいます(私もそんな元自公務員の一人です)。

 

 よく聞くのは公安職の警察官や消防官ですが、これは体力が必要とされたり規律性が重んじられる等、自衛隊との共通点があるという理由によるものではないかと思います。

 

 しかしながら、公務員には公安職以外にも様々な職種が存在しています。そこで今回は自衛官で(もしくは元自衛官で)他職種の公務員に転職したいという方に役立つ情報をいくつかピックアップしたいと思います。

 

 

 

公務員試験の情報収集

 基本的に公務員の採用試験は国を別として各自治体(都道府県・市町村等)ごとに行われます。公務員志望者は働きたい自治体の採用試験情報を見て願書(今はネット申し込み出来たり雛形をホームページからダウンロードできます)を提出したりするわけですが、「絶対にこの自治体(もしくは官庁)に行きたい!」という人でもない限りいくつか併願して受験すると思います。

 

 ただ、国家公務員はともかく、地方公務員は都道府県、市町村、一部事務組合、地方独立行政法人、各自治体の公営企業部門、その他準公務員団体などがそれぞれ試験を実施しており、更に大卒と高卒、あるいは事務職、技術職と専門職で試験時期が違う上に年齢制限も異なるなど、個人でそのすべてを確認しようと思えば膨大な手間がかかります。

 

 そこで頼りになるのが以下の公務員試験情報サイト。両方とも検索機能がついているので、例えば住んでいる都道府県の自治体で高卒の事務職といった条件で探すという事も出来ます。恐らくこの2つのサイトに定期的に目を通していれば取りこぼしは少ないはず。まずは一度ご覧になってみてください。

 

koumuwin.com

comin.tank.jp

 

 ちなみに公務員採用試験において一次試験の学科試験は基本的に土日に行われるのですが、二次試験以降の面接等になると平日に行う官公庁も多くあります。現職自衛官で試験を受けることを所属部隊に秘密にしたい方以外は、あらかじめ部隊と訓練予定等をしっかり調整した方がよいと思います。

 

技術職は狙い目?

 昔ほどではないとはいえ、現在でも事務系公務員の採用試験は高倍率です。一方で技術系(土木、建築、化学、電気など)公務員は低倍率の傾向にあり、土木職などは需要が多い割に志望者が少ないため場所によっては倍率2倍~3倍なんてところが普通にあります(例えば京都府の実績など)。

 

 更に、近年は土木職の受験資格に学歴条件(高校や大学の土木科出身等)を設けていない自治体も増えてきていますので技術系以外の学校を卒業している方でもチャンスはあります。自衛隊で施設科などの仕事をしていたなら、志望動機も説得力が持たせられるでしょう。もちろん、学科試験に専門知識を問うところがほとんどですので勉強は必要ですが。

 

 他の分野の技術職についても倍率だけ見れば事務職よりハードルは低いので、技術系の学科出身の方や、職種にこだわらずとにかく公務員になりたいという方は挑戦してみるのもありです。

 

技能労務職も狙い目。ただし他の職種と賃金格差も

 技能労務職とは、公務員の中でも清掃作業員、公営バス運転手、調理師、校務員、看護助手、守衛など単純な労務に雇用される一般職の職員を指します。多くの官公庁では事務職や技術職とは採用試験も別で、業務内容も定型的なものが殆どを占めます。因みに国家公務員の労務職の場合は募集要項に行政職俸給表(二)が適応されると書かれています。

 

 官公庁業務のアウトソーシングが進んだ現在、業務委託によって技能労務職が削減されているところも多いのですが、自治体によっては技能労務職の採用を続けているところもまだあります。

 

 いわゆる役所の中のブルーカラー職種ですので、事務職ほどの人気はありません。試験内容も簡単(高卒程度)なので、現場仕事が好きで公務員でも現場で働きたい方は目指してみるのもよいかと思います。残業もそれほどないとは聞きますが、部署によっては力仕事だったりシフト制で夜間勤務につかなければならない所もあるとか。まぁ、自衛隊警衛やら検閲やら経験していれば苦にはならないでしょうが。

 

 ただ、技能労務職は多くの自治体で事務職や技術職とは別の給料表(自衛隊で言うところの自衛官俸給表)が適用されており、他職種よりも賃金が低く設定されています。つまり生涯賃金が行政職に比べてだいぶ低くなる可能性もあるわけで、そこは注意が必要です。実際にどれぐらいもらえるかは志望先の給与表を確認してみればある程度分かります。

 

学科は自信があれば独学でも可、ただし面接練習は予備校で

  公務員試験も多様化した現在、社会人経験者採用試験では学科試験を行わないところも増えてきましたが、殆どの自治体は一次試験で学科試験を課しています。問題の難易度は高卒区分、大卒区分、また事務系か技術系か等によって変わってきますし、SPIを導入している地方自治体も少しづつ増えてきていますがいずれにしろ勉強が必要なことには変わりありません。

 

 公務員試験の勉強は基本的に公務員予備校に通うのが一番効率的ですが、金銭面や居住地の問題、仕事の都合で無理という人もいるかと思います。昨今は公務員予備校でも通信制講座があったりしますが、もし勉強に自信があるという方は参考書と問題集だけ買って独学で挑戦してみるのも手かと思います。

 

 ただし、予備校に通うと試験情報の提供や、志望理由の書き方、勉強方法のアドバイスが受けられるので色々と有利ではあります。また面接試験対策は公務員予備校で受けた方が絶対良いです。実は公務員予備校を受講する最大のメリットはこの面接対策にあるといっても過言ではありません。

 

 大手の予備校では学科受講生には何回でも面接練習をしてくれるところがほとんどですし、他の受験者の受験内容報告レポートを提供してくれるサービスもあります。実際問題、面接練習は一人でやるには限界があります。予備校の面接練習ではプロの目によって評価を受けられるので、するとしないでは全然合格率が変わってきます。面接練習のみ受けられるところもありますので、面接で失敗して後悔するよりも多少お金を使ってでも面接練習を受けることをお勧めします。