予備自衛官雑事記

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予備自のモチベーションを保つために

予備自のモチベーションを保つために

 

※当記事は一般公開しても支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。

 

 「即自はつらい、予備自はだるい」

 

 これは私が即応予備自衛官をやってた頃に、予備自から即自に来た陸曹の言葉です。当時の私は予備自の訓練を経験せず即自になったのでその陸曹の言う意味が実感できませんでした。現在、予備自と即自を両方経験してみて何となくその意味が分かります。

 

 即自については所属部隊において明確な目標があり、検閲など訓練成果を発揮する機会もあります。求められるレベルが高い分、訓練もつらいですが招集の回数が多いので能力の向上を実感しやすく、モチベーションの維持も容易です。一方、予備自については訓練日数が年5日と限られる上、訓練に参加する間隔がどうしても空いてしまうため、能力が向上を実感しにくい環境にあります。

 

 自衛隊側も予備自衛官中央訓練や転地訓練等を行うなど、練度向上には努めていますが実際に参加できるのは中央訓練で60名(平成30年度)のみ。

 

 もちろん、5日間の訓練が大事なのは言うまでもありません。しかし、能力の向上を実感したり、目標を達成したという感覚が薄く、人によってはやりがいを感じにくいのも事実ではないかと思います。若い一般公募予備自衛官の方は特にそうではないでしょうか。かといって、世の中即自を志願できるような環境にある人ばかりではありません。

 

 そこで私が思い至ったのが、「訓練招集以外の場所で予備自衛官としてスキルアップする」という考え方。ご存知のとおり、陸上自衛隊には15の職種があり普通科中隊の小銃手からパソコン相手の会計隊員まで色々な仕事があります。訓練招集だけでなく、有事を見越して役立つ資格やスキルの取得を目標とすればモチベーションの向上にもつながるのではないでしょうか。

 

 そのような観点から、今回は参考までに救急法関連の資格を紹介したいと思います。予備自衛官(技能)の対象にはなりませんが、それほど無理をせずに取得出来る資格ですので興味のある方はご参照ください。

 

赤十字救急員養成講習 上級救命講習

 

www.jrc.or.jp

 

www.tokyo-bousai.or.jp

 

 ご存知の方も多いと思いますが、応急処置に関する講座です。

 

 救急法は予備自衛官の招集訓練でも課目として実施されることがありますが、自衛官ならば絶対に必要な知識です。予備自衛官としてだけでなく、日常生活でも役立つ技術ですので受けてみて損はないかと思います。

 

 救急員養成講座は日本赤十字社が、上級救命講習については各自治体の消防が実施しています。詳しくは居住地の赤十字支部自治体消防のホームページを参照ください。

 

 赤十字の救急員養成講習については救急法基礎講習修了者が対象ですが、二つの講座をセットで受講することも出来ます。費用はセット受講で3,200円。3日間の講習となりますので日程の調整が大変ですが、AEDの使い方から、心肺蘇生法、止血法、搬送法など充実した内容になっております。

 

 講習の最後には検定が行われ、合格者には救急法救急員認定証(3年間有効)が交付されます。私も何年か前に受講したことがありますが、手当の方法だけでなく傷病者の発見から搬送までをロールプレイングで行ったりと実践的な講習でした。

 

 消防においては上級救命講習が同等の内容になっております。赤十字と違って受講費は無料の自治体が多いですが(教材費等が必要なところもあります)、自治体によってはAEDや心肺蘇生法のみの普通救命講習しか行っていないところもあります。

 

 近隣の自治体で上級講習が行われていても、消防の救命講習は参加者を当該自治体の居住者か通勤通学者に限定していることも多いので、もしお住まいの地域で上級救命講習が受講できない場合は赤十字の救急員養成講座を受講しましょう。

 

 もし、これらの講座を受講し救急法に興味を持たれた方は、以下の資格にも挑戦してみてはいかがでしょうか。受講費は数万円単位となりますが、野外衛生を専門とする民間資格講座ですので予備自衛官としてだけでなく、アウトドア派の方にも有意義ではないかと思います。特に、TACMEDAについてはテロ対策救護を目的とした資格講座ですので、予備自衛官としてのスキルアップにも大いに役立つのではないでしょうか。

 

WMA JAPAN (Wilderness Medical Associates JAPAN)

www.wildmed.jp

 

TACMEDA

tacmeda.com

 

 今回は救急法関連の紹介となりましたが、ほかの分野でも例えばDIY(日曜大工)が趣味の人ならば第二種電気工事士、事務仕事をしている人ならMOSMicrosoft Office Specialist、自衛隊でもWord Excel Power pointは必須です)など、自分で探してみれば色々と発見があるかもしれません。

 

 ただ、全く関係ない分野の資格を取るのはやめた方が良いでしょう。例えば、フォークリフト運転技能講習については自衛隊でも役立ちますが、日常からフォークリフトに乗る機会があってこそ生きるものです。講習だけ受けて普段はフォークリフトに乗る機会がないといざ有事の際には役に立ちません(無いよりはましでしょうが…)。

 

 自分の職業や趣味に合わせたスキルアップを図っていくのが良いのではないかと思います。