予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

「勤務招集」制度が必要ではないか

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 予備自衛官等が招集されるのは通常の訓練招集と防衛招集、国民保護等招集、治安招集(即自のみ)、災害(等)招集で、訓練招集を除き内閣総理大臣の承認を得て防衛大臣が招集命令を発します。訓練招集以外の招集命令が発出される場合は当然なにがしかの非常事態が発生している(もしくは発生しようとしている)事が前提である訳で、例えば災害招集命令を予備自衛官等に出すためには、災害派遣が行われていなければなりません。

 

 このような現行の制度だと何もない平時に予備自衛官等を招集して何かしらの業務に当たらせる事が出来ません。例えばコロナワクチンの自衛隊大規模接種会場は災害派遣ではなく、自衛隊病院が通常業務の一環として実施する形態だった為、医療系予備自衛官の招集は不可でした。一方で米軍では業務に遅延が発生した場合、予備役を召集して業務に当たらせる事も可能です。

 

 防衛省自衛隊では防衛3文書等で予備自衛官等の役割を見直すとしていますが、予備自衛官を必要に応じて平時の業務に従事させる「勤務招集」制度を創設すれば、自衛隊組織全体の運用にも弾力性が増すのではないかと思います。思いつくところを上げれば現在は訓練招集の担当を全て現職自衛官が行っていますが、予備自衛官を勤務招集しその一部を代替させる、或いは東京オリンピックのような式典支援に予備自衛官を活用するなどが挙げられると思います。

 

 ちなみに自衛隊には任期付自衛官という、育児休養等の代替要員として一定期間に限って採用される制度もあるのですが、一般官公庁の任期付職員(一定の期間内に終了することが見込まれる業務、一定期間業務量が増大する場合に採用できる)の様にこの制度を拡充するというのも一つの方法かもしれません。

 

 予備自衛官等も防衛省の人的資源である訳ですから、非常時のみの戦力と拘らず、平時においても業務の増大等に対処するために活用を考えてみてはどうかと思います。そちらの方が予備自衛官即応予備自衛官の士気にも良い影響を与えるのではないでしょうか。