予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

予備自衛官等が長期間招集された際の保険、年金の取扱いについて

※当記事は公開情報を元に支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。また記事の内容は投稿日現在のものです。

 

 即応予備自衛官予備自衛官災害派遣招集が初めて行われたのは平成23年の東日本大震災でした。それから10年近くが経った現在、大規模災害時には即応予備自衛官の招集が当たり前のように行われております。令和2年7月豪雨では即応予備自衛官に加え予備自衛官の招集が行われ、被災地の生活支援に従事しました。

 

 さて、これまでの災害招集はおおむね1週間から10日程度の期間で実施されていましたが、今後、万が一有事が発生した場合は数カ月から年単位での招集も予想されます。その場合、色々と整理しなければならない問題が出てくるとは思いますが、身近なところでは保険や年金の取り扱いをどうするかという話が出てきます。

 

 日本国では国民皆保険、年金強制加入の制度を取っており、一部例外を除き全ての国民が何らかの制度に加入しております。大まかに説明すると以下の通り。

 

民間会社員   健康保険 厚生年金

 

自営業者等   国民健康保険 国民年金

 

地方公務員   地方公務員共済組合

 

 このように、予備自衛官等も通常はそれぞれの保険年金制度に加入しています。一方で、防衛省には国家公務員共済組合(防衛省共済組合)があり、自衛官を含めた防衛省職員が加入しています。予備自衛官等が招集された場合、本来ならば国家公務員共済組合法に基づく組合員資格を取得するため、防衛省共済組合に加入することになります。要するに、自衛官としてフルタイムで働くので年金や社会保険、福利厚生については元の職場じゃなくて自衛隊の方で面倒見ますよ、ということです。

 

 ただ、これまでの災害招集では招集期間が短期間であり、利点も少ないことから防衛省共済組合に加入することはありませんでした。しかし、例えば防衛招集によって年単位で職場を離れる場合は当然、防衛省共済組合に加入することが想定されます。

 

 具体的な事務手続きについては招集時に防衛省側から説明があると思いますが、会社員や地方公務員の場合は現在加入している保険年金や共済から離脱する手続きをしなければならなりません。長期間招集されると分かったら、地本に確認を取ったうえで出来るだけ早く職場の担当部署(総務課、人事課、職員課等)に相談しておく方が良いかと思います。特に地方自治体の場合は意思決定に時間がかかる場合も多いので早めに行動しましょう。

 

 また、扶養家族がいる方についても認定手続きの為に収入証明や在学証明等の書類が必要になる場合がありますので地本に必要書類を確認の上、早めに準備する方がいいでしょう。

 

 なお、本業が国家公務員の方については既に国家公務員共済組合に加入しているため今回解説した手続きは特に必要ないようです。

 

 今回解説した内容については以前紹介したパワーリザーブ2020年度版(第51号)の41pでも触れられております。興味のある方はこちらもご参照ください。