予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

即自と予備自の訓練期間が短縮されるという話

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 以下の報道によると、防衛省は即自と予備自の訓練期間を短縮する方向で調整しているようです。

 

news.yahoo.co.jp

 

 予備自衛官等の定員割れに対し、防衛省としては練度(訓練日数)よりも充足率を優先するという方向で対策を進めるようです。

 

 これについては色々と意見があるとは思いますが、そもそも諸外国の予備役と比べて予備自衛官が少ない理由は財務省が予算を認めないからとかではなく、単純になり手が少ないからです。何故なり手が少ないのかと言えば勿論、待遇面も多少は影響しているでしょうが、大きくは仕事(本業)との兼ね合いが難しいという点に尽きます。記事にもあるように即自の充足率が約五割と低いのも仕事の都合で志願できる人が限られてしまうからです。

 

 この状況で防衛省が「予備自衛官等の定員を増やします! 予算下さい!」といっても財務省から「それならまず現在の定員を満たせよ。志願者がいないのに定員だけ増やしても何の意味もないだろうが」と言われて終わりです。そこで防衛省としてはとにかく「数」を確保するために(そして将来的な定員増のために)訓練日数を若干犠牲にするのはやむを得ないと考えたのでしょう。

 

 勿論、本筋から言えば、予備自衛官等を労働基準法に定める「公の職務」に認めるとか、「消防団充実強化法」の予備自衛官版をつくるとかの方が効果があるのでしょう。しかし今の日本でそれをやろうとすると、とてつもない政治的労力が必要だと思われます。従って防衛省としては充足率向上に一番「手っ取り早い方法」として訓練日数の短縮という判断を下したものと、個人的には予想しています。

 

 ただ、これで充足率が上がったとしても練度が下がっては意味がないので、訓練日数が減った分だけの対策は必要になってくると思います。既に予備自衛官補の教育訓練ではeラーニングが導入されているという話も伝え聞きますが、予備自衛官即応予備自衛官についてもこのような施策が必要となってくるでしょう。ポーランド軍では予備役(領土防衛軍)向けに体力錬成アプリを開発したりしていますが、予備自衛官等についてもここら辺はもっと改善の余地があると思います。