予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

予備自衛官等関連資料 諸外国軍隊の予備役制度に関する調査

 防衛省が令和3年度に諸外国の予備役制度について民間企業に委託調査させたもの。報告内容はアメリカ、イギリス、フランスの三か国の予備役制度について。

 

 内容については下記リンク先を参照されたい。

 

諸外国軍隊の予備役制度に関する調査

https://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/yosan_shikko/2022/2022_oversea.pdf

 

https://www.mod.go.jp/j/approach/hyouka/yosan_shikko/index.html

 

 委託費用として約670万円も掛けているが、その割には正直言って内容が薄いような気がする。予備役制度をまともに運用できている国と言えば、上記の他にイスラエルや北欧諸国、ポーランドウクライナの領土防衛軍等も挙げられるだろうが、そこら辺も調査の対象として欲しかった。委託先の株式会社現代文化研究所はトヨタ自動車系列の自動車関係専門シンクタンクらしいが、一般競争入札とはいえ応札条件で安全保障系のシンクタンク・コンサルに縛るとか出来なかったのだろうか。

 

 とは言え、上記三か国の予備役制度について、訓練、招集、動員、待遇等、一通り記載されているので私のような外国語が苦手な人間にとっては有難いものである。

 

 一読して驚くのが米軍予備役・州兵に対する補償の厚さ。これは自衛隊だけでなく英仏両軍と比較しても手厚いものである。但し、日本固有の事情として重要となってくるのは予備自衛官等の待遇向上だけでなく雇用企業に対する配慮であろう。というのも、米英仏においては予備役軍人が解雇規制等によって法律で保護されていたり、予備役制度に対する社会的理解が浸透しているなど、訓練・招集と本業を両立させるための環境が整っている。

 

 一方で、我が国の予備自衛官制度は社会的理解が進んでいるとはいえず、また法律上はあくまで副業という扱いになる為、雇用企業の理解が無ければ予備自衛官等になるのも難しいという状況である。そのため、予備自衛官等の待遇の向上については雇用企業のメリットにもなる(例えば訓練招集でパソコン技能を学べたり本業で活用できる各種資格・免許を取得できる課程を設置する等)という着眼が必要だろう。