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防衛省が関係省庁、地方自治体及び民間事業体と退職自衛官の再就職について申合せを締結したとのことです。
ちなみに予備自衛官等制度に関する取り組みについても申合せの中で触れられています。
定年退官後に再就職した自衛官の処遇について、年収の大幅低下など厳しいとの声はよく聞きますが、これを改善する取り組みの一環のようです。報道によれば今後他業種の事業体にも広げていく予定とのことで、退職自衛官がより良い条件で再就職できるようになれば隊員募集にも利点になると思います。
ただ、私が思うに民間事業体や地方自治体に協力を要請するなら、まず国自身が出来る事からやるべきではないかと。
例えば中央省庁や独立行政法人では昔と比べ大幅に数は少なくなりましたが技能職員(行政職俸給表(二)が適用される職員。守衛や自動車運転手等)を採用しています。防衛省では令和6年度に自動車運転手、守衛、ボイラー・配管工、電気整備の技能・労務職を募集しました。
これらの職員に定年退官した自衛官を充てるようにすればどうでしょうか。年収は現職時代よりも下がるでしょうが、それでも経年加算によりある程度の給与と再任用を含めて65歳までの安定した雇用が保障されます。
また本人の能力に基づいて防衛省の事務官や技官への任用替や、他省庁へ採用もしくは異動等の方法も考えられます。
特に土木、建築、電気、化学等の分野で知識、技能を持つ自衛官ならば、技術系の国家公務員については令和6年度の採用試験が定員割しているような状況なので、受け入れる官庁側もメリットはあるのではないかと思います。
ちなみに、戦前には定年となった陸軍下士官を陸軍省軍属や他省庁の官吏・公吏(地方公務員)として採用する制度がありました(採用に積極的だったのは陸軍省のみで他省庁は技術系兵科出身以外の軍人採用には消極的だったようですが)。
自衛隊の側でも関連する職種の隊員に施工管理技士や建築士等の関連する資格の取得を促してスキルアップすれば国家公務員だけでなく地方公務員(技術系なら50歳以上でも正規職員採用試験応募可となっている自治体も増えている。そして、それでも規模の小さい自治体では応募者が少ない!)への道も開けてきます。
国の機関で実施出来る分、民間企業に「お願い」するよりはハードルが低いでしょうし、退職した自衛官にある程度の年収と安定した就職先を用意するという点でも望ましいと思いますので、国や防衛省には「隗より始めよ」の精神で取り組んで頂けたらと思います。