予備自衛官雑事記

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公務員から公務員への転職と自衛官

※当記事は公開情報を元に支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。また記事の内容は投稿日現在のものです。

 

 自衛隊に関わった事のある方はご存知かと思いますが、自衛隊の場合、入隊したからと言って全員が定年まで残るわけではありません。自衛官候補生や一般曹候補生で入隊した隊員は3曹に昇進しなければ2~6年程度で退職していきますし、幹部にしても1~2割は尉官の段階で退職していくようです。

 

 任期制隊員は特殊な例ですが、幹部自衛官でも退職者が一定数いるというのは意外ではないかと思います。これは自衛隊だけでなく普通の国家公務員や地方公務員でも同様で、役所内で転職の話を聞くことは珍しくありません。

 

 民間では昔と比べて、一つの会社で新卒から定年まで過ごすという意識は低下しているとのことですが、公務員の世界でも(特に30代以下の若手には)新卒で入庁して定年まで同じ役所に勤めるといった固定概念はだいぶ薄くなっています。自分のライフスタイルやキャリアを考えて他所に行きたければ転職するといった考え方の職員が増えてきた感じでしょうか。

 

 そんな中でも一番多いパターンは公務員から公務員への転職です。

 

 私の知っている範囲でも、

 

自衛隊(幹部)→市役所

省庁→市役所

県庁→市役所

市役所→県庁

市役所→(他の)市役所

 

などと事例には事欠かない状態です。最近では社会人採用を実施している自治体も多いため、待遇の良い自治体(県庁や政令市等)が近隣自治体の優秀な職員を吸い上げてしまうという現象も発生しているとか。特に技術系公務員については現状どこの自治体も採用倍率が低いため転職の増加に一層の拍車がかかています。

 

 転職の理由は様々ですが、良くある理由として挙げられるのが地元に帰って働きたい、転勤が嫌(省庁や県庁から市町村に来るのは大体これらのタイプ)、もっと大きな仕事、専門的な仕事してみたい(市町村から政令市、県庁へ行く等はこのタイプ)などでしょうか。

 

 気になるのは面接で公務員であることがどう評価されるのかですが、しっかりと転職したい理由を考えて面接官に伝え納得させることができれば特に問題ないと思います。

 

 当然ですが地元に帰りたいとか、今の部署が激務なのでもっとましなところに行きたいとかの理由では駄目で、転職したい省庁、都道府県庁、市町村の特性と、そこで自分が何をしたいか、今の職場でそれは出来ないのか等の点を考慮したうえで志望理由を考える必要があります。それさえできれば特に不利になる点は無いかと。

 

 実際に、私も自衛官(陸士)から他職種公務員への転職組ですが、採用面接で自衛隊の経歴がプラスに働いたことはあっても不利に働いたことは無いと思います。要はちゃんと転職理由を説明できれば問題ないという事ですね。

 

 あと、現職の士の皆さんにこれだけは言いたいのですが、任期制・一般曹候補生問わず出来る事なら最低でも1任期分は在職しましょう。退職理由に「任期を満了する(した)から」が使えるのでだいぶ説明しやすくなります(一般曹候補生についても「ちょうど1任期分勤務したのでこれを区切りに外の世界で挑戦してみたいと思った」とか言えば説得力が出ます)。

 

 また、公務員試験を目指す場合は出来るだけ採用試験に受かってから退職するのがベストです(そもそも自衛隊の場合、次の就職先が決まってなかったら辞めさせてもらえないと思いますが)。消費税増税と新型コロナの影響による経済悪化で、今後公務員試験の倍率も上昇することが予想されます。数年間は退職するリスクも跳ね上がるでしょう。

 

 高校、大学で土木・建築・電気・化学・機械などの学科を卒業された方は技術系公務員という道もありますが、全体的に公務員の求人も少なくなっていくと思います。公務員に転職しようと思われている方は、曹になる気は無くてもある程度予防線を張っておくほうが良いかと思います。