予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

予備自衛官が災害招集されると給与はどれぐらいになるのか

※当記事は公開情報を元に支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。また記事の内容は投稿日現在のものです。

 

 予備自衛官は年間5日間の訓練に出頭した場合、年額88,500円の手当が支給されます。一方で災害招集された場合は「招集に応じて出頭した日をもって、現に指定されている階級の自衛官となる」ため自衛官俸給表が適用され、常備自衛官と同様の給与が支払われます(招集及び招集解除が月の途中の場合は日割り計算で支給)。

 

 この給与がどれぐらいになるのか、参考となりそうな資料がありましたのでご紹介したいと思います。

 

広島地本ホームページより。

www.mod.go.jp

 

災害招集等時の予備自衛官の給与決定要領(参考)

https://www.mod.go.jp/pco/hiroshima/images/06/rf_03_1113c.pdf

 

 少しややこしいのですが、順を追って見ていけば理解できると思います。

 

 招集時に自分がどれぐらいの給与をもらえるのか知りたいという方は、まず退職時の号俸を調べましょう。例えば退職時の号俸が士長16号俸だった場合、俸給月額は218,000円です

 

elaws.e-gov.go.jp

(別表第二を参照)

 

 もし、招集時に階級が士長のままだった場合はここに経験年数加算された金額が給与になります。例えば自衛隊退職後、予備自に任官しながら企業で2年(24ヶ月)間働いていたとします。その場合、申告すれば以下の数式により号俸が加算されます(予備自に任官していなかった期間については経験年数加算の対象とならないため注意)。

 

加算号俸=24ヶ月×換算率÷12×4号俸×80/100(災害招集の場合)

 

 換算率については以下の通り。

 

国家公務員、地方公務員又は民間における企業体、団体等の職員としての在職期間のうち、自衛官として有用な職務に従事していたといえる期間があるか否か。

ない場合:(在職証明書で確認できない場合や未申告期間を含む):25/100

ある場合:技能公募予備自衛官受検に必要な資格を有している者:100/100

     上以外の資格を有している者:80/100

     資格を有していない者:50/100

 

 今回は自衛官として有用な職務に従事していた(換算率50/100)として計算すると、加算号俸は3(端数切捨)となり、士長19号俸が適用され俸給月額は22,4300円です。

 

 ちなみに、経歴を申告しなかった場合や無職だった場合でも25/100の換算率が適用されます。また、経歴の一部だけを申告することも可能です。

 

 次に士長から3曹に昇進していた場合です。この場合、まず退職時の俸給で3曹に昇任したと仮定して号俸を当てはめます。

 

elaws.e-gov.go.jp

(別表第一のロ参照)

 

 士長16号俸が3曹に昇任した場合、3曹8号俸になりますので、俸給月額は221,500円です。ここに経験年数加算を先ほどと同じように計算して号俸を加算すれば招集時の給与が算出されます。

 

 また予備自衛官補から採用された予備自衛官については、基準となる号俸が各階級の1号俸になります(2士の場合は2士1号俸、2曹の場合は2曹1号俸)。従って広島地本の例を見てもわかる通り、例えば3佐で採用された場合は3佐1号俸の320,400円に経験年数加算した号俸が給与月額になります。

 

 なお、広島地本のホームページには経歴年数の申告に必要な在職証明書の雛形と記載例もありますので、参照して頂けたらと存じます。