予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

訓練は駐屯地だけでやるという発想は転換すべきではないか?

※当記事は公開情報を元に支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。また記事の内容は投稿日現在のものです。

 

 今年度は昨年から続くコロナ禍と緊急事態宣言の影響で、予備自衛官の訓練についても中止や延期が相次ぎました。新型コロナについては一時期に比べて収束しつつあるものの、変異株の出現など予断を許さない状況です。令和3年度も予備自衛官等の訓練について影響が出る可能性は大きいでしょう。

 

 コロナ禍において官公庁や民間企業ではテレワークを推進したりしてきましたが、その動きが全く見られないのが予備自衛官の訓練です。令和2年度は一部だけ若しくは全く訓練に参加できなかった予備自衛官もいたと思いますが、練度やモチベーション維持の観点から問題ではないかと思います。かといって、予備自衛官の場合は外部に出せない訓練内容が多いため民間と違って「資料を送るからこれで勉強しといてね」という訳に行かないのが悩ましいところです。

 

 ただ、予備自衛官が訓練するための情報は何も機密事項だけとは限りません。例えば体力錬成で言えば、筋トレのやり方、筋力をつけるための食事のメニュー、体をメンテナンスするための準備体操やストレッチの方法等、世間一般に公開しても問題のない範囲で予備自衛官の能力向上に直結する情報を伝えていくことは出来ると思います。

 

 以前にもブログで紹介しましたが、ポーランド領土防衛軍(Wojska Obrony Terytorialnej 予備役の郷土防衛部隊)ではトレーニングアプリを作ってGoogle Playストアで配信しています。また、訓練にeラーニングも導入されています。

 

play.google.com

 

reserve-f.hatenablog.com

 

 他にも例えば基本教練の内容は教育訓練招集日数の少ない技能公募予備自や退職後にブランクを経て予備自衛官に任官した人などが訓練前の復習として参考にするのに良いのではないかと思います(基本教練は体験入隊者にも教えているので保全上も問題ないでしょう)。また、予備自衛官訓練でやる野外衛生に関してはAEDの使い方や心肺蘇生法など機密性のない情報もあるでしょう。

 

 防衛省YouTubeSNSを広報で活用しているのですから予備自衛官に向けてこのような情報発信は是非ともして欲しいところです。あるいはアプリではなく動画配信や希望者にアカウントとパスワードを付与してeラーニング形式で出来るようにするのも良いかもしれません。

 

 下手をすれば新型コロナの影響は数年続く可能性もあります。そうなれば予備自衛官等の訓練も数年単位でままならないという状況になりかねません。必然的に今までの「訓練は駐屯地だけでやる」という発想にも限界が来るでしょう。

 

 既に世の中は1年前とは大きく変わっています。防衛省においても固定概念にとらわれるのではなく、将来を見据えて柔軟な発想で訓練方法の改善に取り組まれて頂ければと思います。