予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

任満退職する予定だけど特にやりたいことも無い自衛官はとりあえず大学に行こう

※当記事は公開情報を元に支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。また記事の内容は投稿日現在のものです。

 

 以前このブログで触れました退職自衛官向けの奨学金についての続報です。

 

news.yahoo.co.jp

 

 産経新聞の記事によると、任期制自衛官自衛官候補生)を対象に46人分の予算、約1千万円を計上するとのこと。即応予備自衛官に登録した場合は年に24万円(予備自衛官の場合は4万円)が支給されるとの事で、4年分に換算すると96万円(予備自は16万円)です。

 

 当初の予定よりも支給額がだいぶ減額されましたが、国の財政が厳しい中で新規事業として立ち上げられただけでも良かったと言うべきでしょう。任期制自衛官の募集という観点からも画期的な制度だと思います。

 

 46人というのは防衛省が事前に需要調査を行ったうえでの数字だと思いますが、もし希望者が予定数を超過した場合は先着順とか選抜という形になると思います。

 

 ただ、私が危惧しているのは逆に希望者が予定数を大幅に下回った場合です。そうなると来年度の予算査定で財務省から「希望者が少ないならこの制度いらないですね~」と予算を大幅カットされるか、悪ければ制度自体が廃止される可能性があります。

 

 だから・・・という訳でもないのですが、任期制自衛官で任満退職を予定している皆さん。娑婆に出てやりたいことが特にあるわけでもないなら大学進学を視野に入れてみてはいかがでしょうか?

 

 「え、でも今更受験勉強するもの大変だし・・・」と思われるかもしれませんが、私立なら受験教科数は少ないですし現在では社会人入試やAO入試などで受験できる大学も増えています(とは言え、小論文や面接試験はあるのでそれなりの努力は必要とされますが)。

 

www.kwansei.ac.jp陸上自衛隊で2年間勤務した後、AO入試で大学に入学された方の紹介。関西学院大学ホームページより)

 

 基本的に社会人を経験して大学に進学してきた方は学習に対するモチベーションが高い傾向にあります。高校からストレートに大学進学する場合と違い、実際に働いた経験があることに加え学費や生活費は自分自身のお金で賄うので勉強に対する真剣さが違うのです。何しろ学費を換算すれば1回授業を受けるだけで数千円のお金がかかるのですから。その分、大学生活から得る物も大きいと思います。

 

 授業の他にも最近ではMOS試験(ワードやエクセル、パワーポイント等の資格)の講座を格安で受講出来たり、社会人マナー講習を行ったり、学科によっては教員免許や学芸員、図書館司書資格などが取得できるなど、社会に出るうえで大学というのは相当に活用できる手段です。

 

 大学には自衛隊とは違った意味で色々な人間がいますので、授業のみならずサークル活動等を通して自らの知見を広める良い機会になると思います。

 

 また現実的な話をすれば、例え卒業時の年齢が周囲より高いとはいえ、大卒ならば就職先の幅は高卒よりも大きく広がります。この傾向が最も顕著なのが公務員試験で、とりあえず大学さえ出ていれば受けられる試験が増えますし、年齢制限も高くなります(但しデメリットとして高卒限定の試験を受けることは出来なくなる)。

 

 世間では大学生は遊んでばかりとかFラン大は全部潰せとか色々と言われていますが、私は真面目に学生生活を送るなら大学進学にメリットはあれどデメリットは無いと思っています。余りに目的意識が無さ過ぎてろくに授業にも出ず途中で退学なんてことになっては駄目ですが。ただし、どうせ進学するなら、どうしても行きたい所があるのではない限り、出来るだけ良い大学に進んだ方が良いというのは事実です。

 

 もし、大学進学に興味が湧いたなら、部隊で大卒の同期や先輩、後輩に大学の事を聞いてみても良いでしょう。何はともあれ、せっかく防衛省が制度を作ろうとしているのですから、利用できるものは利用しなければ損というものです。自衛隊を辞めてやってみたいことがあるのなら話は別ですが、援護から紹介された仕事に何となく就職するぐらいなら、もう一度学び直して可能性の幅を広げてみるというのも選択肢の一つだと思います。