予備自衛官雑事記

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自衛隊で取得できる公務員試験に役立つ資格

※当記事は公開情報を元に支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。また記事の内容は投稿日現在のものです。

 

 自衛官で他の職種の公務員に転職したいという方は一定数いるのではないかと思いますが、やはり一番の問題となるのは採用倍率ではないかと思います。

 

 公務員というのは職種によっておおむね事務職と技術職の2つに分類できます(国家公務員の場合はそれぞれ事務官、技官となる)。

 

 事務職の公務員試験については学歴・年齢要件さえ満たせば誰でも受験できるものがほとんどであり、受けられる人数が多い分、採用倍率も高くなっております。採用試験についても一般的には1次の学科試験から2次、3次試験といくつもの段階をクリアしていかなければなりません。特に大卒区分では近年、プレゼンテーション試験を導入する自治体も出てくるなど試験対策は益々大変になっております。

 

 一方で、技術系の公務員は一部無条件で受験できる自治体が存在するものの、基本的に土木、建築、電気等の各分野に応じて大学・高校の特定学科を卒業していたり、資格(技術士建築士施工管理技士等)の資格を保持していなければならない等の条件があります。必然的に受験者は制限されるため倍率も全体的に低めです。また、学科試験では専門知識が必要とされますが、その他は小論文や面接試験など従来型の公務員試験という所も多いです。

 

 要するに、職種にこだわらず公務員になりたいのならば技術系公務員の方が難易度は低めという事になります。ただ、誰もが土木や建築等の学科を卒業しているわけではありませんし、資格についても実務経験が必要だったりして簡単に取れるものでもありません。

 

 一方、自衛隊で取得できる資格の中には技術職の公務員採用試験に役立つものもあります。

 

 例えば海上自衛隊で艦艇勤務に従事した場合、海技士の受験に必要な乗船履歴と認められ海技士試験を受験することができます。また、職種によっては1級小型船舶操縦士の免許を公費で取得することができます。

 

 国や地方自治体では海技士を対象とした採用試験を行っているところもあります。職務内容は教育機関の実習船乗組員や都道府県警察の警備艇乗組員等で、航海士や機関士の募集が多く、通信士は少なめという印象です。また海技士資格と小型船舶操縦士の両方を必須とする募集も多いので、両方の資格を持っていた方が応募できる件数も増えることになります。

 

 募集人数は他の職種の公務員より少ないですが海技士資格や小型船舶操縦士の免許を持っていることが受験条件なので当然、受験者数は少なく合格率は高くなります(もちろん学科の勉強は必要です)。

 

 注意点として、特に渡船や実習船の乗組員は勤務地が田舎になる可能性が高い事と、海上勤務になるため休日や勤務時間が不定期なる傾向が強いという事です。また、職場の性質上、人事異動が限られてくると思われますので、職場の空気になじめないと辛い部分はあるかもしれません。

 

 この他、自衛隊で調理に関わる仕事(陸自:糧食勤務 海空自:給養員)に2年以上従事した者は調理師試験の受験資格を得ることができます。地方自治体では技能労務職(定型的な業務に従事する職員)として調理師を採用しているところもあり、試験の難易度もそれほどではないのでとにかく公務員になりたいという方にはお勧めです(その代わり事務職や技術職と比べて給与は低い)。

 

 取得難易度は上がりますが1級建築士技術士(建設部門)、1級施工管理技士(採用は土木、建築が多い印象です)などを持っていれば、専門の学科を出ていなくても土木職や建築職の公務員採用試験を受験できる場合があります(自衛隊では陸自の施設科、海空自の施設職域が関連する職種になると思います)。これらの職種は国、地方自治体でも人手不足なので倍率も低く採用されやすい状況です。

 

 技術系の公務員と言っても様々な資格で募集をかけているので、興味のある方は以下のホームページで探してみて下さい。

 

 

koumuwin.com

 

 自衛隊では士の任期満了退職予定者に対し希望者に公的部門受験対策講座(警察官や消防職員採用試験向けの講座)を受講させたりしています。それはそれでいいのですがその他にも、自衛隊では公務員試験に有利になる資格が取得でき、退職後は技術系公務員になる道もあるというライフプランを提示できれば今時の若者向けにも魅力的な広報になるのではないかと思います。