予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

予備自衛官等に対する自衛隊法の適用除外

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 予備自衛官即応予備自衛官予備自衛官補は非常勤の特別職国家公務員という特性上、一般の自衛官が課せられる自衛隊法の規定が一部適用されないようになっています。

 

自衛隊

(適用除外)

第七十五条 第四十一条、第三節、第五十四条第一項、第六十条第二項及び第三項、第六十一条から第六十三条まで並びに前節の規定は、予備自衛官については、適用しない。ただし、第六十一条第一項の規定は、第七十一条第一項の規定による訓練招集命令により招集されている予備自衛官については、適用があるものとする。

 

2 第四十一条、第六十条第二項及び第三項、第六十一条第二項及び第三項、第六十二条、第六十三条並びに前節の規定は、第七十条第三項の規定により自衛官となつている者については、適用しない。

 

(これらの規定は即応予備自衛官予備自衛官補についても準用)

 

 例えば自衛隊法第六十一条は自衛隊員が選挙の候補者になることができないとしていますが、普段は一般社会で暮らしている予備自衛官に対してそのような制限を課すのは適当ではありません。そこで予備自衛官に対しては適用除外としているわけです。

 

 予備自衛官即応予備自衛官は有事に招集されると指定された階級の自衛官となりますが、その場合も第七十五条第二項の規定により同様に自衛隊法の規定が一部適用除外されます。

 

 自衛隊法第六十条、第六十三条では自衛隊員が他の国家機関や地方公共団体等の職員になるには防衛大臣の承認が必要となっていますが、公務員が予備自衛官をやる場合は勿論、招集されて自衛官になった場合でも適用除外の規定があるので兼職の承認申請は不要です。また、招集期間中でも勤務先の国家機関や地方公共団体等から給与を受け取ることが可能です。

 

 以下、予備自衛官等が適用除外により可能とされている項目を挙げると以下の通り。

 

議員、首長の選挙に立候補すること(招集中でも可能。ただし国会議員に当選した場合は国会法第39条の規定により国家公務員との兼職が禁止されているため予備自衛官等になることは出来ない)。

 

政党や政治団体の役員になること(招集中でも可能)。

 

政治活動(ただし訓練招集を含め招集期間中は不可)。

 

営利企業に従事したり役員になること(招集中でも可能。本業を持つ以上当然ですね)。

 

他の国家機関や地方公共団体の職員を兼ね、また給与を受け取ること(招集中も可能)。

 

 このように、いざ有事となっても本業の職場に在籍したまま招集に応じられるよう自衛隊法では配慮されています。これで会社側が無給休暇等で対応するなどしてくれれば招集解除後の心配をすることなく長期の招集にも応じられるのですが、そこらへんはやはり難しいところですね・・・。