即応予備自衛官は実際どんな感じなのか
※当記事は一般公開しても支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。
前年10月に即応予備自衛官の任用対象を一般公募出身の予備自衛官にも拡大するという報道がありました。また、採用年齢も平成30年10月より陸士長、1等陸士が50歳未満までに引き上げられています。
採用要件の緩和で即自に志願しようかと悩んでいる元自衛官や予備自衛官の方もいらっしゃるかもしれませんが、やはり最大のネックは実際に仕事と両立できるのかという点だと思います。また、後方職種出身者や予備自補出身者の中には普通科部隊でやっていけるのか不安で二の足を踏んでいる方もいらっしゃるのかもしれません。
私は5年以上前になりますが即応予備自衛官に任用されていた時期があります。災害派遣の経験はありませんが、招集訓練の日程調整や戦闘職種の部隊の雰囲気というのは概ね分かります。
今回はその経験を元に即応予備自衛官について実際にはどんなものなのか書いていきたいと思います。なお、公表されている情報以外については私の経験を元にした内容ですので、現在は変わっていたり、部隊によって異なっている点があるかもしれませんがその点はご了承ください。また、正確な情報を知りたい方は地本へお問い合わせを。
即応予備自衛官について
即応予備自衛官は非常勤の国家公務員であり、普段は本業に従事しつつ年間30日の訓練を受け、有事の際は招集されて任務に応じます。
予備自衛官と異なる点は、訓練招集が年30日課せられていること、あらかじめ特定の部隊に所属していること、治安招集にも招集義務が課されていること等が挙げられます。
一時期、即応予備自衛官の所属部隊(コア部隊という)は各方面混成団隷下の普通科連隊と普通科直接支援中隊のみとなっていましたが、平成28年度より後方職種のコア部隊として各方面後方支援隊隷下の補給大隊や、弾薬大(中)隊が各地で編成されています。
なお、訓練についてはコア部隊の駐屯地だけでなく他の駐屯地へ出張して行ったりもしています。近くの駐屯地にコア部隊が駐屯していなくても最寄りの駐屯地に訓練のたびに出張で来ている場合もあるので、興味のある方は地本に確認してみましょう。
即自の手当については下記リンクも参照ください。
訓練について
即応予備自衛官の訓練招集は年間30日と定められていますが、週末等を利用してできる限り本業に負担がかからないように出頭できるよう配慮されています。具体的な訓練タイプは以下の通り。
Aタイプ(2日)×1回 計2日
Bタイプ(2日)×3回 計6日
Cタイプ(2日)×4回 計8日
Dタイプ(4日)×1回 計4日
Eタイプ(3日)×2回 計6日
Fタイプ(4日)×1回 計4日
合計 30日
なお、帯広地方協力本部にコア部隊である第52普通科連隊、第305普通科直接支援中隊の平成31年度訓練招集日程表が掲載されていますので参考にしてください(下記リンク先の一番下辺り)。
千葉地本のホームページによれば補給大隊の即応予備自衛官については普通科と違い、2日間×12回+3日間×2回の計30日となるようです。千葉地本ホームページ以外に情報がないので他の部隊ではどうなのかわかりませんが、興味のある方は地本に確認してみてはいかがでしょうか。
私個人の経験ですが、即応予備自衛官をしていた頃は月に1~2回、2~4日の割合で訓練招集に出頭していた記憶があります。訓練出頭はできるだけ土日祝日に重なるような日程にしていましたが、それでも年間4~5日は即自の為に休暇を取っていたと思います。
また、訓練出頭するとその週の休みがなくなるので人によっては疲れがたまるかもしれません。私も土日の訓練に出て月曜からまた仕事でつらいと思ったことがありますが、そんな時は即自手当の事を考えて乗り切っていました(笑)。
部隊の雰囲気について
予備自衛官と即応予備自衛官とでは訓練の雰囲気が全く違います。予備自衛官が「訓練を受けている」という感じだとすれば即応予備自衛官は「部隊の一員として参加している」といった感じでしょうか。ノリもどちらかと言えば現役部隊に近い感じです。陸士に敬語で話しかけたりする陸曹はいません。
当然ですが訓練内容は予備自の訓練に比べて結構負荷がかかります。また、訓練中に現職自衛官の怒号が飛ぶことは当然あります。ただ、他職種から来た人には一からちゃんと教えてくれますので、まじめにやっていればついていけないという事はないと思います。
顔を合わすメンバーも毎回ほぼ同じなので、仲良くなると課業終了後に飲みに行くこともよくあり、現職、即自問わず参加して和気藹々とやっていました(もちろん強制ではありません。全く来ない人もいました)。同じ部隊に所属しているという事もあり、即自同士の団結力は予備自よりだいぶ強いと思います。
全体的に言えば、語弊があるかもしれませんが現職の時よりちょっとゆるい程度と思っていただければと思います。部隊によって多少差はあるでしょうし、今はだいぶ状況が変わっているかもしれませんので、ここら辺の内容についてはあくまで参考程度とお考え下さい。