予備自衛官雑事記

予備自衛官のあれやこれや

資格を取れば10日の訓練で予備自衛官になれる

※当記事は一般公開しても支障のない範囲で記述しておりますが、もし問題がある個所がありましたら筆者まで一報頂ければ幸いです。

 

 仕事が忙しいけど予備自衛官補に志願したい人へのオススメ資格

 

  予備自衛官補に志願したいけど、50日(5日×10回)の教育訓練なんて無理だ、という方は結構いらっしゃるのではないかと思います。

 

 実際に大阪地本に掲載されている予備自衛官補の訓練日程(平成30年度)を見てみると、ほとんどの訓練が平日の月から金までとなっています。訓練修了まで3年間の猶予があるとはいえ、単純計算で1年平均約17日の休暇を取得しなければならない計算となり、正直社会人でこの日程はきつい人が多いのではないかと思います。

 

 そこでそんな方にお勧めしたいのが、予備自衛官補(技能)。一般の予備自衛官補と違い、技能区分の予備自衛官は2年以内に10日間(5日間×2回)の訓練を修了すれば予備自衛官に任官できます。しかも先述した大阪地本の訓練日程では全ての訓練に土日が含まれており、職場との調整がだいぶ軽減されるようになっています。

 

 これは、防衛省側が一般区分の予備自衛官補を大学生、技能区分の予備自衛官補を社会人と想定している為かもしれませんが、何はともあれ、訓練に土日をはさんでいるので上手く行けば2年間で6日間の休暇を取るだけで予備自衛官に任官することができます。

 

 「でも、技能区分に応募できるような資格なんて持ってないし…」という方。それならば資格を取ってしまえばよいのです。

 

 2019年度予備自衛官補採用試験での技能区分受験資格はこちらの「予備自衛官補採用案内(技能公募)」から確認できます。医師や弁護士など高難易度の資格も記載されていますが、他にも多種多様な資格が列挙されており、実務経験や学歴等関係なく受験できるものもありますのでいくつか紹介したいと思います(2019年度現在の対象資格ですので今後変わってくる可能性もあります。ご注意ください)。

 

 なお、予備自衛官任官時の階級については「予備自衛官の任免等細部取扱いに関する達 別表第一」を参照ください。

 

測量士補

 

  測量士の作成した計画の元で測量を行う為の技術者資格。この試験を取得するためには大学や高等専門学校等で所定の教育を受けるか、測量士補国家試験に合格する必要があります。技術区分は建設。予備自衛官に任官した際には3等陸曹の階級が指定されます(測量士は2曹)。

 

 国家試験と言えど難易度はそれほど高くなく、平成30年度の合格率は33.6%でした。文系の方でも挑戦できるレベルでしょう。更に、測量士補の資格を取得すると土地家屋調査士(国家資格、不動産登記の専門家)試験の午前試験が免除になります。測量や登記分野のキャリアに興味のある人はスキルアップにも繋がるのではないかと思います。

 

 ちなみに、上位資格である測量士は平成30年度試験で合格率8.3%の難関資格となります。

 

 基本情報技術者

 

  コンピューター、ネットワーク、プログラム等に関する情報処理技術者の国家資格。レベル4まである情報処理技術者試験の中でレベル2に位置づけられる資格です。技術区分は情報処理。予備自衛官任官時の階級は3等陸曹となります。

 

 IT分野の技術者に必要とされる資格ですので、まったくの素人が挑戦するには難易度が高いかもしれません。もし、一からスタートするという方はまずレベル1の試験であるITパスポート試験合格を目指してみるのもよいでしょう。内容が一般人向けで試験も毎月実施されており、合格率も概ね50%程度と高いため、ITパスポート試験に合格してから基本情報技術者に挑戦すればモチベーションも維持できると思います。

 

 昨年12月に定められた防衛大綱や中期防衛力整備計画ではサイバー防衛能力向上が課題として挙げられ、今後、情報処理技術者の重要性は自衛隊でも大きくなっていくものと考えられます。予備自衛官についても情報処理に係る技能公募予備自衛官転地訓練が実施されるなど、活躍の場が広がることが期待されます。

 

 また、上位資格を取得することによって階級が上がっていく(応用情報技術者等で1等陸曹、ITストラテジスト等で陸曹長)というメリットもあります(詳しくは前記「予備自衛官の任免等細部取扱いに関する達 別表第一」参照)。

 

 実用英語技能検定準1級

 

  言わずと知れた英語に関する資格です。技術区分は語学。予備自衛官任官時の階級は3等陸曹です。因みに英検1級合格者や外国語大学卒業者の場合は2等陸曹になります。

 

 準1級のレベルは「社会生活で求められる英語を十分理解し、また使用することができる。」とのこと(公益財団法人 日本英語検定協会HPより)。この他、外国語短期大学卒業者、国際連合公用語英語検定試験A級以上などでも応募可能です。

 

 恐らく、予備自衛官の中で最も転地訓練の機会が多いのが語学区分の予備自衛官だと思います。東日本大震災で米軍との通訳として招集されたのは有名ですが、日米共同の指揮所演習や防災訓練でも語学区分の予備自衛官が通訳として参加しています。今後、米軍との連携がますます重視される中で、訓練だけでなく災害時の実任務にも活躍が期待されるでしょう。

 

 勿論、簡単な資格ではないので普段英語に接していない人が取得しようとすれば時間がかかることは間違いありませんが、自身のスキルアップにも繋がりますし普段の仕事や日常生活でも生かせる資格ですので挑戦してみる価値はあると思います。場合によっては英検2級ぐらいから段階的に勉強してみてもいいのかもしれません。

 

 

 

 以上、いくつか紹介しましたが、この他にも司法書士電気主任技術者陸上無線技術士、総合無線通信士など、無条件で受験できる試験はいくつかあります。また、実務経験が必要ですが2級建築機械施工技士、2級施工管理技士(建築、土木、管工事)は試験の難易度もそれほどではなく、建築土木業界で働いている方には本業のキャリアアップにもなるのでお勧めです。

 

 最後に、当たり前ですが資格を取得しても肝心の予備自衛官補採用試験に受からなければ元も子もありません。身体検査の基準もありますので募集要項にはあらかじめ目を通しておいて下さい。

 

 なお、2019年度より一般公募予備自衛官から即応予備自衛官へ志願することが可能になるとの報道が出ております。

 

www.jiji.com

 

 防衛省のホームページでは何もアナウンスされていないのですが、技能区分で採用された予備自衛官即応予備自衛官に志願できるのかどうかは不明です。一般公募の予備自衛官は技能区分の対象となる資格を取得すれば技能公募の予備自衛官になることができますが、その場合、即応予備自衛官に志願できなくなる可能性もあるので今後の動向にご注意ください。